ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。17道府県で決定した「まん延防止等重点措置」の延長について解説した。
責任を負わない政府 ~17道府県で「まん延防止等重点措置」延長
政府は2月18日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」について、20日に期限を迎える21道府県のうち、大阪など16道府県で適用期間を延長することを決定した。また、27日が期限となっていた和歌山県も延長が決定。いずれも期間は3月6日までとなる。
新行)一方で山形、島根、山口、大分、沖縄の5県は20日で解除。昨日(20日)までの期限を延長された自治体についても、感染状況を踏まえて前倒しで解除する可能性を視野に入れています。
須田)まん延防止等重点措置のような行動規制を伴う措置というのは、そもそも、自治体の意向を踏まえて専門家の知見などを考慮に入れ、政府がリーダーシップを取って、責任を負う形で発出するというのが通常です。
新行)政府が責任を負って。
須田)しかし、政府や官邸の責任、リーダーシップがまったく見られていません。それが本当に必要なのか、基準に適ったものなのかということは一切問われずに、自治体の要望を丸呑みしているのではないでしょうか。
新行)自治体の要望を。
須田)いまは解除の方向へ向かって行く状況です。なぜその辺りが不透明になっているかと言うと、入り口のところ、つまりまん延防止等重点措置を発出するにあたって、基準が曖昧だったからなのです。
新行)発出する基準が曖昧だった。
須田)昨年(2021年)の段階で、こういった行動規制を伴う措置に関しては、感染者数だけではなく、主として病床使用率を見て、医療提供体制がどのレベルにあるのか、というところを十分考慮に入れるという建付けになっていたはずです。にもかかわらず、その辺がまったく無視されている。
新行)病床使用率について。
須田)自治体の気持ちもわかるのですよ。感染者数が激増して来ると、いまのところは医療提供体制に余裕があるけれども、このまま持つのかどうかと不安になるから、浮足立ってしまう。第一線で行政を担っている人はそうだと思います。
新行)自治体にしてみれば。
須田)経済的には大きな影響を伴うわけですから、それを受けて政府が丸呑みにするのではなく、「状況的にはこうだから、基準はこうなっているから」と、すり合わせをした上で慎重に発出するべきです。そこを冷静に考えるのが政府の役目なのだけれども、その形跡がないのですよ。手続きや作業をやった形跡がなく、自治体の意向を丸呑みにする。
新行)行った形跡がない。
須田)なぜそうなっているのかと言うと、やはり7月に予定されている参議院選挙です。ここを意識して、世論の反発や批判をどうすれば回避できるのか、自分たちが責任を負わないようにするにはどうしたらいいか、ということを考えるからです。
新行)世論の批判を回避するために。
須田)「自治体が言ったから」、「自治体から要求があったから」とすれば、政府の責任は曖昧になります。そういった点で言うと、入口のところで、つまり適用するにあたっての基準が曖昧だから、出口でも基準がないということになったのだと思います。
「まん延防止等重点措置が延長される一方で水際対策緩和」という政府の迷走
新行)3月1日からの水際対策の緩和が発表されましたが、“りんたろう”さんからご意見のメールもいただいております。「大部分の地域でまん延防止等重点措置が延長された一方で、水際対策は緩和。対策がちぐはぐだと感じます」ということですが。
須田)「ちぐはぐ」というのは、優しい言い方ですね。大迷走ですよ。振り返ると、新型コロナウイルスの感染が見受けられて、当時は安倍政権でしたけれども、そのときに「水際対策の対応が遅いのではないか」という意見があった。具体的に言えば、「中国からの入国をなぜ止めないのか」という批判が出て、内閣支持率が低下するという局面がありました。
新行)ありましたね。
須田)同じ轍を踏まないために、とにかく厳しくやっていれば世論は納得するだろうということで、厳しくやって来た。ところが、あまりに厳しくやってしまったので、経済界や学校関係者、留学生の問題があり、こういうところから批判が出て来た。加えて安倍元首相からも批判が出て来たということもあり、緩和される方針です。
新行)経済界や学校関係者から。
須田)アメリカの場合は、日本でワクチンを2回接種したという証明と、出国にあたっての検査の陰性証明があれば、入国当日から自由に出歩けるのです。でも、日本人が帰国するときは陰性証明があっても7日間待機です。これはどう考えてもおかしいだろうということになります。
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