「ロシア寄り」のインド その独自の立ち位置
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月22日放送)にジャーナリストの有本香が出演。3月21日に帰国した岸田総理のインド、カンボジアへの歴訪について解説した。
岸田総理大臣がインドとカンボジアの訪問から帰国
岸田総理大臣は3月21日、インドとカンボジアの歴訪を終え、帰国した。歴訪中は両国首脳と会談を行い、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって議論した。ただ、インドはロシアと伝統的な友好国のため、モディ首相は会談後の共同記者発表でウクライナ情勢に言及せず、共同声明にもロシアを名指しした表現は盛り込まれなかった。また、2022年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国であるカンボジアのフン・セン首相との共同声明では、「武力行使の即時停止と軍隊の撤退」を要求することなどは明記したが、こちらもロシアを名指しした表現は盛り込まれなかった。
伝統的に「ロシア寄り」のインド
飯田)岸田総理は総括として「力による現状変更は認めないという部分は共有した」と発言しましたが。
有本)インドは冷戦時代から伝統的にロシア寄りで、今回の国連におけるロシアに対する非難決議も、インドは棄権していますよね。
飯田)そうですね。
有本)我々から見ると、インドは「クアッド」という枠組みで連帯して行くということになりますが、インドはインドで独自の立ち位置があります。そして核保有国でもあります。
日印国交樹立70周年を記念しての訪印 ~タイミング的にウクライナ情勢が重なった
有本)インドは安全保障に対して影響力を持つ大国であるわけです。そして、ウクライナの件とは別に、日本とインドは今年(2022年)で国交樹立70周年なのです。今年はいろいろな国との節目の年で、例えばモンゴルとは1972年に外交関係を樹立してから、今年で50周年です。
飯田)モンゴルとは。
有本)1972年というと、もっぱら日中のことが言われるのですが、いろいろな国々との節目の年にあたっていて、もともとインドへは首相が訪問する予定になっていました。
飯田)もともと。
有本)去年(2021年)から70周年を記念する形での日印の企業交流というのでしょうか。日本からインドに対する投資を政府が後押しすることが計画されていて、その流れで岸田総理は訪問されたのですが、ウクライナ情勢を受けて、その部分のボリュームが大きくなったということです。
中国に近いカンボジアと日本は今後どう関係して行くか
飯田)他方でカンボジアですが、こちらはASEAN諸国のなかでもかなり中国に近いと言われています。
有本)いまはちょうどカンボジアがASEANの議長国です。ASEANはロシアへの非難決議でも、国によってかなり対応が分かれました。ベトナムやラオスなどのロシア寄りの国は棄権していますし、それ以外の国はほぼ賛成しました。
飯田)そうですね。
有本)カンボジアは中国とかなり近いですよね。ラオスもかなり近いですが、カンボジアは伝統的に中国の影響がものすごく強いです。
飯田)日本はどう関係して行くかということですが。
有本)日本はカンボジアに対しては、支援できる部分はいろいろあるだろうと思います。企業ももう少し向こうに行って活動してもいいのではないでしょうか。かなり中国が出て行っていますから。
飯田)日本が初めて国連平和維持活動(PKO)を派遣したのはカンボジアでしたね。
有本)今回、岸田さんが慰霊碑に献花しました。そういう意味合いもありました。
飯田)民間の非政府組織(NGO)で渡った中田さんと、高田警視が亡くなっています。
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