ニッポン放送「飯田浩二のOK! Cozy up!」(3月25日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。日本の難民受け入れについて解説した。
「差異」はあっても「差別」があってはいけない
飯田)「難民の受け入れの不平等」について、産経新聞(3月24日)の『宮家邦彦のWorld Watch』というコラムにもお書きになっておりました。
宮家)去年アフガニスタンのカブールがタリバンに制圧されて、多くのアフガン人が大変な思いをして出国した。日本も当然助けなければいけないということだったのですが、残念なことに自衛隊機は運べなかったのだけれども、そのあとも多くのアフガニスタン人が日本に行きたいということで保護を求めてきていた。そのなかのお一人の動きをたまたま知ることになって、なんとか手伝ってもらえないかと頼まれたのですが、なかなか私自身は難しかったのだけれども、多くの方の善意で一家族つい最近日本に来られたわけです。それはいい話なのだけど、彼らの安全を考えて、とにかくこれはコラムに書かない方がいいと初めは考えていました。名前や場所がわかったら何されるかわからないわけだから、その意味では命がけで出てこられたので。
ところがウクライナへの侵攻でも難民が発生したのですが、今回日本は英断ですよね、いままでの条件を相当外して手厚い保護をしたわけです。だけど、待てよ、と。ウクライナ人をこれだけ保護できるのだったら、他の国の人もね、と思ってつい書いてしまった。別に入管の悪口を言うつもりは全くないし、入管の方々もものすごくわかっておられたと思うのだけど・・・。
今回はコラムを書いて、要するにウクライナ人にこれだけ支援ができるのならアフガニスタン人もよろしくお願いしますよとということです。短期の特別の滞在許可が出たら、普通なら学歴や経験がないとなかなか就業まで行かないわけですよ。だけどもウクライナの場合は学歴なしでも就業を認めた。それは大英断ですよね。総理官邸が動かなかったら絶対できなかったと個人的には思うのだけれども、もちろん、直接詳細は聞いていませんからわかりませんけど。いずれにせよ難民の取り扱いも含めて、入国許可というのは主権行為ですから、すべてにおいて認めなければいけない義務はない。それどころか主権の範囲内ですから如何に取り扱うかは国家の権利なのですけどね。そういう主権行為だから対象国によって「差異」があるのは当然なのだけれど、そこに「差別」があってはいけないと思って書いたのです。
血の通った行政 アフガニスタン難民へも同様の措置
宮家)そうしたら昨日23日の夜に関係者から連絡をいただきまして、入管のサイトを見たらなんと、アフガニスタンの方に対しても同様の措置をとるという情報が流れたそうですよ。たまたま昨日僕のコラムと同時に出たので、コラムと直接関係はないと思うのだけど、これは血の通った行政ですよ。このアフガニスタン人等の問題は多くの人々が「」と思っておられたのだろうと思うので、これで少しでも日本の難民政策が進化していくといいなと思います。日本も法治国家ですからね、人権などの普遍的価値を守る国ですから、それを体現するという意味では、こういう形で少しずつでも難民の扱いを変えていくのは大事だと思ったわけです。
飯田)結構海外のメディアが「あの閉ざしていた日本が今回受け入れるぞ」というのをセンセーショナルに報じているのですよ。
宮家)それもまあ失礼な話なのだけどね。
飯田)確かに、いままでのを考えると、というか。
宮家)でもそれは、やっぱり、いいことだなと思いますよ。
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