キャスターの辛坊治郎が4月4日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ウクライナ情勢をめぐって、東部地域で「停戦ライン」を意識した“陣地のせめぎあい”が始まっているとニュースを深読みした。
辛坊が解説したニュースは、米・ニューヨークタイムズが1日に報じた記事。「バイデン政権がロシア軍の攻撃にさらされたウクライナ東部地域の防衛強化を目指し、同盟国からウクライナへ(ウクライナ軍が使い慣れている)旧ソ連製戦車の供与を支援すると報じた」というニュース。
辛坊) アメリカのバイデン政権が旧ソ連型戦車の供与を支援する。言うのは簡単だけど実際に実行するのは大変なことですね。空域が閉鎖されているわけじゃありませんから、空路でウクライナに戦車を運ぶわけにはいかない。陸路から入れるとなると、周辺国の同意も得なきゃいけないし、そんなに簡単なことじゃないんです。
でも何でここへきて、戦車供与が浮上しているかと言うと、いま最大の焦点は「どこのタイミングでウクライナとロシアが講和条約のようなものを結ぶか」ということ。つまり「いつ停戦に合意するか」っていうことが焦点になっているということなんです。
停戦した時の最前線、つまり両軍の戦っている“一番フロントライン”というのが「停戦ライン」になります。そこの戦線よりも東側は恐らく実質ロシア領になっているだろうし、ウクライナはかなり国土を減らされることになるだろうと思います。
そうなるといまの状況って、ロシアは首都キーウ(キエフ)の侵略を諦めたようで、軍を東側に移しているんだけど、そうするといま最後の戦いで停戦になるまでに、ロシアとしては東部の占領地域をできるだけ西側に拡大したいと思うし、ウクライナはもうすでに占領されているところをちょっとでも東側に押し戻したいと思いますよね。
増山)はい。そうですね。
辛坊) いままでの戦いであれば、戦車などを撃退するには「ジャベリン」(編集部注 可搬式の対戦車ミサイル)とか「スティンガー」(同 携行式地対空ミサイル)だとかあるんですがね。ジャベリンっていうのは対戦車砲なんですけど、まあいってみれば土管の筒のようなものですね。
あれを人間一人で持って行って、戦車から2キロ~3キロぐらいまでの至近距離に行かなきゃ効果がないんです。そこに行くまでにロシア側から攻撃されて多分、相当な数の兵士が亡くなっていると思うんだけど。
ロシアの戦車が目視できるところまで近寄ることができたら、その土管みたいなものを肩に掲げてですね、照準を合わせてぶっ放す。そこからミサイルが飛んで行って、戦車に当たる直前で150メートルぐらい上昇して、戦車の真上からドーンと落ちる。
戦車の前面っていうのは、ものすごい分厚い装甲がされているから、攻撃されたってそんな簡単には壊れないんだけど、戦車の上部は弱いんです。戦車全体を分厚くすると、重くて動かないから、どこかを薄くしなくてはいけない。その薄いところを狙うんです。
ジャベリンっていう可搬型の対戦車砲は肩に抱えて照準を合わせてどーんと打つと、自分で戦車の熱源みたいなものを追跡していくから効果的な攻撃できる。それがすごく効いていて相当数のロシアの戦車がやられているわけです。
増山)なるほど。
辛坊) それでまあロシアは東部の方へ逃げていく状況なんだけど、奪われた領地を取り戻すとなると、この道具じゃダメなんです。戦車がいるんですよ。
だからもうアメリカとしては、ここからさらに最後の停戦の時のラインをちょっとでも東側に押し返すための武器というのを供与し始めていると。
戦況はそういうところに、いま進みつつあるという。ニューヨークタイムズが伝えたのは、そういう意味のニュースなんですね。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)