ロシアとウクライナ「停戦交渉」から遠い現在の状況  その「意外な理由」

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地政学・戦略学者の奥山真司が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ情勢の今後について解説した。

キエフで、現在の状況を説明するウクライナのゼレンスキー大統領(ウクライナ・キエフ) AFP PHOTO /UKRAINIAN PRESIDENCY PRESS OFFICE  写真提供:時事通信社

キエフで、現在の状況を説明するウクライナのゼレンスキー大統領(ウクライナ・キエフ) AFP PHOTO /UKRAINIAN PRESIDENCY PRESS OFFICE  写真提供:時事通信社

今後、ウクライナ東部で重大な戦闘が起こる

ウクライナに侵攻したロシア軍は4月11日、南東部最大の要衝マリウポリの制圧に向け攻勢をかけた。マリウポリが陥落すれば東部ドネツク州の南部は完全にロシアの支配下に入り、ロシア軍は同州北西部への攻撃に全力を傾けるとみられる。

飯田)「今後2週間にわたり東部で重大な戦闘が起こる」という見解を、ウクライナ高官が示しているという報道もありますが。

奥山)その2週間の意味するところは、「弾薬的なもの、兵站的なものも含めて」ということだと思います。プーチン大統領は今回、新たな軍の司令官を指名して、戦略の仕切り直しを行っています。首都キーウの攻防戦から、東部と南部の方に比重を置くやり方に変えてきています。

現在の状況では停戦交渉を行うことは難しい ~キーウを獲り戻したウクライナは実は「勝っている状況」でもある

奥山)いまも停戦交渉を行おうとしています。日本の元外交官の方なども、「停戦させなければいけない。外交で停戦させるのだ」と言っていますが、停戦には程遠い状況にきていると思います。

飯田)程遠い。

奥山)むしろ停戦は遠のいていると思います。ウクライナは現在、勝っていますよね。首都にボリス・ジョンソン首相が訪問し、防弾チョッキなしで普通に街を歩く。そういうことができるとアピールしているということは、世界の認識として、「プーチンさんは追い詰められている」と受け止めるはずです。

飯田)なるほど。あの画は「撃てるものなら撃ってみな」という。

奥山)そういうことですよね。「ミサイルの脅威が」などと言われていましたけれども、実際はそのようなことはなく、それをわかっていてジョンソン首相も入っている。つまり、現状はロシアが負けて守りに入っているということになるのです。

状況的に負けているロシアが狙うのは「一発逆転」であり、停戦交渉ではない

奥山)ギャンブルをする人であればわかると思いますが、「いま数万円負けている」となったら、儲けるまでやろうとするではないですか。

飯田)これで帰るという選択肢はなく、「種銭を倍にして絶対取り返すぞ」ということになりますね。

奥山)戦争は基本的にギャンブルですので、どうなるのかわからないところがありますが、自分の負けが込んでいる場合、普通のギャンブラーでしたら「取り返さないといけない」という気持ちになりますよね。

飯田)そうなります。

奥山)一発逆転だということになる。通常、「ここで負けたから停戦だ」とはなりにくいわけです。極めて大事なのは、「ウクライナが勝ってしまっているという事実が、実は停戦する状況を遠のけている」ということです。

ウクライナが攻めるための兵器を西側がどれだけ供給できるか ~勝負の分かれ目

奥山)もう1つは具体的な戦争の話になりますが、これまでは「ジャベリン」などを使って、守る側の歩兵が入ってきた戦車を撃つというような攻撃をウクライナはしてきました。そのための兵器をアメリカなどから供給されて、それが成功している。

飯田)これまではそうですね。

奥山)しかし、今度はウクライナ側が攻め込まないといけないわけです。そうなると、反抗するためには装甲車両、戦車が必要になります。問題は、そういうものが西側から供給されるのかどうか。「まったく足りないのではないか」ということが危惧されています。

飯田)戦力的に。

奥山)現在、我々が認識しなくてはいけないのは、ウクライナには人が大量にいます。しかし武器が足りない。反対にロシアの場合は、大量に兵器はあるのだけれども、戦う人数が足りない。

飯田)人がいない、あるいは士気が低い。

奥山)この2つのコントラストがいま見えてきてしまっている。「西側が早急に兵力を出せるか」ということが勝負になると思います。

飯田)チェコから旧ソ連製の戦車が出て、ポーランドとの国境に集結しているというような報道がありますけれども、実際にウクライナ側へ渡ったかどうかはわかりません。

奥山)そこは隠すと思いますが、それにしてもあの数だけではまだ足りないのではないでしょうか。その部分をどれだけ西側が供給できるかが勝負の分かれどころだと思います。

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