「マイナ保険証、報酬加算見直し」の背景にある「各省庁縦割りの障害」

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数量政策学者の高橋洋一が5月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。マイナ保険証の報酬加算見直しについて解説した。

「マイナ保険証、報酬加算見直し」の背景にある「各省庁縦割りの障害」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

マイナ保険証、報酬加算見直しへ

政府は5月24日、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」に対応する医療機関の受診で、患者の窓口負担が増える仕組みを見直す方向で検討に入った。マイナ保険証に対応できる医療機関を増やすため、4月の診療報酬改定で加算措置をスタートさせたが、患者の自己負担が増えるため、国会で批判が高まっていた。

飯田)国会で批判が高まったということですが、「なぜマイナ保険証をつくった方がお金が掛かるのか」と、普通であれば思いますよね。

高橋)病院に行くとわかるのですが、カードを読み込む機械は基本的にないのです。そこは診療機関が遅れているところです。病院ごとに診察カードがあるでしょう。

飯田)診察券が。

高橋)マイナンバーカードで全部代用してくれればよろしいのに。いろいろな診察券を持って、さらに「保険証を見せてください」と言われる。全部が1つであれば楽ですよね。

デジタル庁で予算を取って処理すれば済むこと

高橋)デジタル庁で予算を取って一元的にやれば、それで終わるのではないかと思いますが。

飯田)デジタル庁は相当な衝撃だったようです。診療報酬というのは、厚労省の所管であると。本来はその辺りに横串を通すのがデジタル庁の役割で、だからこそ勧告権まで与えたわけですが。

高橋)だからデジタル庁で予算を取る。デジタルだから予算が取りやすいはずです。

飯田)デジタル庁から、若い人たちや能力のある人が辞めているという報道もあります。

高橋)一生懸命やっても、報酬のところは厚労省がやってしまうわけでしょう。それで「初診料21円、再診料12円、調剤料9円の追加負担」という窓口負担を決めたわけです。そうすると、デジタル庁が悪いように言われてしまうではないですか。

飯田)悪者扱いされてしまう。

高橋)だから、デジタル庁できちんと予算を取って、そこで全部処理すれば終わるのです。マイナンバーカードを保険証で使うと決めるときに、全部やれば簡単です。結局そうなのでしょう? でも、最後はまだ厚労省が自分たちのところで予算を処理すると思いますよ。

各省庁から出向した官僚が親元の権利を守るために「話を聞かせろ」と言う ~官僚の説得に時間が掛かり話が進まない

飯田)デジタル庁発足のとき、これをつくった議員の方々などに話を聞くと、「マイナンバーカードはある意味の肝である。ここを核にしていろいろなことができる」、「Society 5.0をやるのだ」というようなことを言っていたわけですが、政治のあと押しが弱くなっている部分はありますか?

高橋)ありますね。こういうものはリーダーシップを取らなければいけないのですが、最近、デジタル大臣の影が薄いですよね。何を言っているかわかりませんし。

飯田)そうですね。

高橋)いろいろな省庁から官僚が来るでしょう。1つのプロジェクトを立ち上げるとき、各省庁から出向した官僚が親元の権利を守るために「話を聞かせろ」と言うわけです。そうなると話は何も進まないですよね。だから、つくるときに予算を全部取っておけば、どうということのない話なのです。

事務方トップの石倉洋子デジタル監が退任

飯田)デジタル大臣は現在、牧島かれん大臣が務めています。

高橋)最近出てこないし、よくわかりません。

飯田)事務方トップのデジタル監であった石倉洋子さんが退任され、後任は内部昇格という形で浅沼尚さんが就任するようです。

高橋)何でもそうなのですが、予算をきちんと取ればいろいろな話は解決しますよ。

鳴り物入りで発足したデジタル庁だが

飯田)鳴り物入りでできたデジタル庁だけに、これで大丈夫なのかなと思ってしまいます。

高橋)今回は参議院選挙があったから、負担の話が明確に外へ出たのです。

飯田)本来は、保険証の他に電子カルテ化についても、メーカーによって互換性がないという問題をどうするかなど、この先の未来が語られていたはずなのですけれども。

高橋)各省庁がいろいろなことを言って、縦割りの弊害が出てきてしまうといけないという感じですね。この機会に縦割りをやめて欲しいです。

飯田)それには政治の責任も伴うはずだと。

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