支援は「行く人」ではなく「来る側」に行うべき 「県民割」旅行先7月にも全国に拡大へ

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ジャーナリストの鈴木哲夫が6月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府が全国に拡大する方向で調整に入った「県民割」について解説した。

【新型コロナ 入国者上限緩和・関西空港】海外から到着した人たちで混雑する国際線到着フロア=2022年6月1日午前10時9分、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

政府、「県民割」旅行先7月にも全国に拡大へ

政府は7月にも、都道府県が実施している旅行割引の支援事業「県民割」を全国に広げる方向で調整に入った。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きつつあることから、観光需要の喚起による経済活性化に軸足を移せると判断した。

飯田)県民割を県民以外にも適用することになるのでしょうか?

鈴木)そうですね。

飯田)それはもう県民割ではないですよね。

「県民割」拡大は「経済対策」

鈴木)「Go To」が名前を変えたと受け取った方がいいのでしょうか。県民割もそうですし、Go To や海外からの観光客の受け入れ緩和もそうなのですが、これは観光庁などの観光政策という色分けですよね。

飯田)観光政策。

鈴木)これを官邸の官僚に話したら、実は観光政策ではなく、経済政策なのだということです。いま経済が非常によろしくない状況ですが、海外の観光客であればインバウンドのようなもので、経済対策として進めていく。それが大方針としてあるのです。

旅行にもマスク着用にも慎重な国民

鈴木)観光が以前のように少し戻ってきたのと同時に、マスコミが世論調査などをやると、「旅行に行くか」という質問に対し、ゴールデンウィークの時点ではまだ「慎重に」という人が多かったのです。また、「マスクはどうしますか」となると、マスクは「まだ着用する」ということになる。

飯田)国民側は。

鈴木)国は大きく扉を開いているけれども、国民の方が慎重に「1つずつ」という感じで動いている気がします。このような調査を見ると、「政府よりも国民の方がしっかりしているのかな」といつも思います。

「参院選に向けて」という文脈もある

飯田)観光ということになると、都市部よりも地方部に対しての恩恵になります。そう考えると、「選挙を前にして」という文脈も当然ありますよね。

鈴木)2月~3月に取材をしたとき、同じ官邸の官僚の人が、5月のゴールデンウィーク前にGo To を再開して、夏休みにはほぼフルオープンにしたいと言っていました。そこには当然、選挙を意識したものがあるでしょう。当時はまだ本当に感染者が減っていくのかどうか、確実な見込みがなかったので、「慎重に」という条件はつけていましたが、うまくいけば参議院選挙に合わせてという狙いはあったようです。夏休みはイコール参議院選挙なのです。そこに向けてムードをつくっていくのだということは、最初からシナリオとしてはあったということも言っていました。

それでも飛行機の乗客数はコロナ禍以前の3割

鈴木)このままいくと、「オープンにしました。緩和もしました」、だから「あとは現場が頑張ってね」ということにもなるのでしょうが、そのやり方はどうなのかとも思うのです。先日、航空連合という労働組合の幹部の方とも話をしたのですが、いまは海外へも行き来でき、国内旅行もできるようになり、確かに飛行機の予約も増えています。

飯田)最近では。

鈴木)報道でよく「2021年に比べてプラス120%」というようなことを言いますが、2021年はコロナ禍の真っ最中だったわけです。本当に比較するならば、コロナ禍前の動きと比較しなければならない。そうすると、やはりまだ利用者は3割くらいなのです。その幹部は「まだまだ程遠い」と言っていました。飛行機も国内線などでは未だに減便しています。それはまだ復活されていません。

飯田)確かにそうですよね。

鈴木)ですので、いますべて戻ったのかと言うと、そうではないのです。私もいろいろと移動で飛行機を使いますが、まだお客さんが半分しか乗っていない便もあります。航空連合の幹部の方の話は、とても響きました。

観光業に対してはまだ一定期間の支援を続ける

鈴木)すべてオープンにして緩和したのだから、あとは現場の「自己責任で」ということではなく、観光業に対しても、ある程度の支援を一定期間は続けていかなければいけないと思います。

支援は「行く人」ではなく「来る側」に行うべき

鈴木)Go To ではなく、観光地に直接交付金のような形で配り、そこで感染対策にお金を使ってもらう。独自にクーポンをつくるなど、行く人ではなく、自治体に交付金としてお金を回した方がいいと思うのです。なぜなら皆さん、Go To がなくても旅行に行っていますよね。ですので、これからの最後の支援のお金は、「行く人」よりも「来る側」に回していく。そこで上手く使ってもらう。前向きに地域ごとのクーポンをつくるべきではないでしょうか。

飯田)その方が観光地、地元にお金が回りますよね。行く人に渡す形になると、半分以上が「東京の旅行代理店に入っていないか」という話にもなってしまう。

鈴木)その通りです。しかもそれは「行って使ってください」という二次的な効果です。本当に困っているのは観光地であり、旅行に行く人ではないのです。思い切って転換してもいいと思うのですが、その辺りの議論が出てこないのですよね。「Go To キャンペーン」と同じパターンでやってしまうということが少し残念です。

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