数量政策学者の高橋洋一が6月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。南シナ海で発生した中国軍とオーストラリア軍機の接近について解説した。
南シナ海で中国とオーストラリア両軍機接近、双方非難
中国国防省はオーストラリア軍のP8哨戒機が5月26日、南シナ海西沙(英語名パラセル)諸島付近の「中国領空」に接近したなどとして、「断固とした反対」を表明した。これに先立ち、オーストラリア側は中国軍の戦闘機「殲16」がオーストラリア軍機に近づき、危険な進路妨害を行ったと非難していた。
飯田)発生したのが5月26日です。6月5日の時点でオーストラリア側は、中国軍機が公海上空で異常な接近をしてきて危なかったということを公表しています。そこで中国側は、「公海ではなく、中国の海だ」と言っているということですが、行儀が悪いですね。
中国軍機が「チャフ」を放出
高橋)「中国軍機がチャフを放出」とあります。映画『トップガン』に出てきますが、チャフを出して、ミサイルを攪乱するのでしょう。エンジンのなかに入ってしまったという話ですが、危ないですよね。
飯田)高温でチャフのアルミ箔が溶けて付着すれば、最悪の場合、墜落の可能性もあります。
高橋)鳥が入るのも危ないのに。
飯田)バードストライクという。
高橋)危険ですよね。
オーストラリアの新政権を試している中国
飯田)オーストラリアは政治的なことを考えると、アルバニージー首相の労働党政権に交代したばかりです。
高橋)狙われているのでしょう。政権交代をして「わかっているだろう」と。前の政権より中国に近いと言われています。だから試しているのではないですかね。
飯田)中国としては「わかっているんだろうな」と。
高橋)哨戒機が南シナ海まで行くというのは、オーストラリアもしっかりやっているなと思いました。
カナダの哨戒機にも同様のことを行っている中国
飯田)オーストラリア側の発表では定期的なもので、「いつも通りの飛び方をしていたのに」ということも言っています。公海上であれば、妨害されるような謂れはないわけです。中国軍機はオーストラリア軍機だけではなく、それに先立って4月~5月にはカナダの哨戒機に対しても行っていたということです。
高橋)自分の海だということを言いたいだけでしょう。公海なのに、中国からすれば「南シナ海は全部俺のものだ」と。
飯田)九段線と呼ばれるもの。
高橋)哨戒機が行くのは、あそこに潜水艦がいるからでしょう。
飯田)「見ているぞ」と。
AUKUSの枠組みのなかで、最前線となるオーストラリアと中国
高橋)安全保障に関して、「AUKUS(オーカス)」という枠組みがありますが、オーストラリアと中国は最前線になります。中国の方もソロモン諸島などを押さえたいのでしょう。
飯田)ソロモン諸島はハワイやグアム、オーストラリアを結ぶ線のちょうど線上にあって、ここを分断する狙いがある。
高橋)第二次世界大戦で日本軍が撤退した戦略上の要所です。いよいよこういうものが本格化してきました。
飯田)最近、オーストラリアへのプレッシャーが強まってきています。日本としても、クアッドなどの枠組みのなかで対応していかなければならないですよね。
高橋)クアッドはまだ安全保障までいっていませんからね。とりあえず経済の話であり、インドもいます。これは「AUKUS」の話になっていく気がします。
飯田)まずはアメリカ、イギリスとのアングロサクソンのなかで。
高橋)ゆくゆくは原子力潜水艦が南シナ海まで行くということだと思います。
飯田)オーストラリア軍が空ではなく、海からパトロールをする。
対岸の火事ではない日本
高橋)日本の近くでそういうことが行われるのだけれど、本当は日本側もそれなりの備えがないといけないと思います。オーストラリアの方が強いとわかれば、中国は日本の方に来ますよ。
飯田)狙いやすい。
高橋)やりやすいし、アピールしやすいところに来ます。日本も対岸の火事ではないのです。いまは南シナ海ですけれども、いずれはオーストラリア、日本、台湾という話になります。そのうち、東シナ海に来るのではないかと予想します。
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