第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣が6月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。飯田浩司アナウンサーによるダイソー銀座店の現地取材を交え、100円ショップの今後について解説した。
銀座に進出したダイソー
100円ショップ「ダイソー」を運営する大創産業は、主要な3つのスタイルのグローバル旗艦店を4月15日、銀座3丁目にある商業施設「マロニエゲート銀座2」の6階に同時にオープンした。「DAISO(ダイソー)」の他、300円ショップの「Standard Products by DAISO」、「THREEPPY(スリーピー)」という3つのスタイルがあり、店の面積はダイソーが316坪、Standard Productsが130坪、THREEPPYが51坪。すべて合わせるとテニスコート6面分、約500坪という広い規模となる。まずは現場の店員の方のインタビューから。
ソロキャンプ・ブームによってキャンプ用品も豊富 ~3ブランドの総アイテム数は3万点弱
飯田)ミニバーベキューグリルなどがありますが、やはりコロナ禍でこういう商品が売れるようになったのでしょうか?
店員)そうですね。いま特に「ひとりキャンプ」がブームになっていますので。
飯田)「メルカリで使える」というのは何ですか?
店員)このまま発送ができるものになっています。
飯田)なるほど。ここまでのサイズだったら100円、というように。
店員)そうですね。また、(店内では)お掃除ロボットを導入しています。営業中も営業時間外も稼働しています。
飯田)アイテム数はどれくらいですか?
店員)ダイソーが2万4000点、THREEPPYが2400点、Standard Productsが2000点くらいです。
飯田)全部で約3万点弱にもなるわけですか!
訪日外国人に対してのアプローチはどうなるのか
飯田)お店のなかにメルカリ専用のポストがあり、荷物を出すことができるサービスもやっておりました。他にもStandard Productsという別業態のお店は、今治産のタオルや関市の包丁などが売られています。タオルが500円、包丁が1000円です。100円ショップというと、「安いものを中国から持ってきて売っている」というイメージがありますが、国産のものも多くあります。かつて、100円ショップはインバウンド需要もあったわけですが、訪日外国人に対してのアプローチはどうなっているのか、佐々木店長にお話を伺ってまいりました。
インバウンド向け商品の強化を予定
飯田)グローバル旗艦店という名がついているではないですか。オープンにあたって、どのような意図が含まれているのでしょうか?
佐々木)今回のマロニエゲート銀座店は、3業態が入る初のお店になりますので、国内だけではなく世界に発信するというところが大きなポイントになります。
飯田)発信するというのは、「ダイソーはこういうお店なのだ」という自己紹介のような感じですか?
佐々木)そうですね。
飯田)これから先、インバウンドのお客さんが来た際の対応も考えていらっしゃいますか?
佐々木)いまは大々的に「インバウンド向け」という売り場はつくっていないのですけれども、今後、インバウンドのお客様が増えてきたときには、以前インバウンド需要があったときに人気だった化粧品や食品、トラベルグッズ、モバイルグッズ等の強化をしていこうと予定しています。
銀座をメディアとして使う ~ブランドのイメージを上げるために銀座に出店する
飯田)銀座でインバウンドというと、コロナ禍の前は都市型の免税店がオープンして盛り上がっていましたが、コロナ禍でその需要はなくなりました。この先の展開については各店、知恵を絞っているようです。ダイソーと並び、廉価のブランドである「ワークマン」が、やはり銀座の「イグジットメルサ」5階に「#ワークマン女子 イグジットメルサ銀座店」をオープンして注目されました。こちらは訪日外国人を意識せず、国内の若い人たちへのアピールとして銀座に出店したということです。銀座を発信拠点として使うという意味では、先ほどのダイソーも「自己紹介」という言葉がありましたけれども、銀座をメディアとして使うような姿勢もあるのではないでしょうか。「銀座をどう使うか」というところに各社が知恵を絞っている気がしました。
永濱)ワークマン広報の方も言っていましたが、ユニクロもワークマンも、もとは安さを売りにするお店だったけれど、そのブランドイメージを上げたい。インバウンドにも影響すると思うのですが、その象徴として、「銀座に出店する」という戦略をとっているのだと思います。今回のダイソーもその一環かなという感じがします。
多様化してきた銀座の客層
飯田)銀座がプチプラ化、低価格化しているのではないかというような指摘もありますけれども、逆にブランドに乗って客単価を上げようという狙いもあるのですか?
永濱)もちろんそれもありますし、銀座と言えば、一昔前のお金持ちの人が集まっていたというところから、少し若年層の人も集まるようになってきているので、客層が多様化しているということも言えると思います。
飯田)かつては若年層向けへの訴求として、渋谷や新宿にお店を出すところが、銀座に進出してきたというのは、客層が変わっているのかも知れませんね。
永濱)いい意味で、昔ほど駅ごとにおける客層の特徴が、差別化しにくくなっているのではないですかね。
飯田)ダイソー銀座店の佐々木店長にお話を伺ったところ、土日と平日で客層がまったく違うということでした。土日はカップルや若い女性グループが買い物に来ている。昔であれば、親子連れや熟年カップルが多かったイメージですよね。
円高のメリットを活かして訪日客に売る ~日本製のよい商品が安く手に入る
永濱)多分、これまでも銀座で大量に爆買いしていたのは中国人の方だったと思います。ご存知のように中国はまだゼロコロナ政策をやっているので、水際対策を緩和しても、すぐには入ってこないと思います。
飯田)そうですね。
永濱)ただ、入ってくるようになれば、ダイソーはかなり売れるのではないかなと思います。日本ではダイソーの商品は100円で当たり前なのですが、海外では、同じ商品が日本の1.5倍~2倍で売られているわけです。となると、単純に日本で買えば、それだけ安く買えるわけです。水際対策が緩和されれば、インバウンドにも売れるのではないでしょうか。
飯田)ダイソーは100円ショップだけではなく、「Standard Products」というブランドもあります。こちらはミニマリズム的なお洒落な商品がたくさんあるのですけれども、関市の包丁が1000円ですから、いまの円安で換算すると7ドル~8ドルで買えてしまうという話です。
永濱)外国人からすれば相当魅力的な商品です。
飯田)外国人からすれば、「安いではないか!」となりますよ。インバウンドだけを考えたら、円安の有利さも活かせるのですか?
永濱)かなり活かせるのではないでしょうか。なかなか円高にできない状況ですから、できるだけ円安のメリットを活かせるようなところを伸ばしていくのも重要だと思います。
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