数量政策学者の高橋洋一が7月27日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。2023年3月までガス使用量を自主的に15%削減することで合意した緊急エネルギー相会合について解説した。
EU、緊急エネルギー相会合でガス使用量15%削減に合意
EUは7月26日、ブリュッセルで緊急エネルギー相会合を開き、ロシアが天然ガスの供給を停止する場合に備え、8月1日から2023年3月末までの間のガス使用量を自主的に15%削減することで合意した。深刻なガス不足が生じた場合は警告を発し、各国に消費抑制を義務付けることができる。
新行)ロシアは既にヨーロッパ向けのガス供給を絞っており、EUは加盟国に需要が高まる冬に備えて備蓄を進めるよう求めているということです。
高橋)日本でも起きるかも知れませんが、ついに「節ガス」ですね。いよいよエネルギーが大変になってきたということでしょう。
新行)節ガス。
高橋)もともとはドイツが東日本大震災以降、原発を次々に止めたり、廃炉もしてしまって、再生可能エネルギーにシフトしていった。その一方で天然ガスに依存していたのだけれど、天然ガスはロシアにバルブを閉められてしまったので、焦っている感じですね。
有事なのだから「脱炭素、原発廃炉はとりあえず据え置く」という手もある
新行)脱炭素という方向性になり、石炭火力発電所を少なくして、ガス火力の方にシフトし、ロシアへの依存が高まっていった。
高橋)こういうときにはCO2の話は据え置く、あるいは残り3基の原発の廃炉が決まっていますが、廃炉せずに動かせばいいのではないかと、傍目には思ってしまいます。ドイツの国内事情でどこまでできるのかわかりませんが、そういう議論も出ています。
新行)最後の3基は廃炉にしないで。
高橋)また、石炭はドイツからたくさん出ますので、「CO2もとりあえず据え置き」という手はあるのです。冬を乗り切れるかどうかという話ですから。
新行)命に関わりますからね。
高橋)「1~2年はCO2の話や脱原発を据え置く」と言ってもいいと思います。そこまでできるかどうかはわかりませんけれど。そうしないと、今回のように節ガスになってしまうのでしょうね。
エネルギーはすべて使うべき
新行)有事であるということですよね。平時で脱炭素という考え方なのか、有事でもその考え方を維持するのかどうか。
高橋)日本も同じです。天然ガスが「サハリン2」から来なくなります。日本の場合はパイプラインがないので、天然ガスではなく、液化天然ガスにして持ってくるのですが、日本が高値で買い過ぎているという批判もあります。EUが節ガスをするというときに、「日本がたくさん買っているから、より厳しくなっている」という話になる可能性もあります。
新行)日本のせいだと。
高橋)岸田総理が「冬に備えて最大9基の原発を再稼働する」と、ほとんど決まっている話をしましたが、ああいう言い方はいかがなものかと思います。決まっている話をしているだけではないかと。東日本はやらないでしょう。東日本の柏崎刈羽や泊は動かさないですよね。
新行)今回の話は西日本のものです。
高橋)私は再生可能エネルギーも否定しないし、エネルギーはすべて否定しません。あればあるほどいいではないですか。「脱原発」や「脱炭素」と言って片寄せしていると、こういうときに危なくなってしまうのです。
新行)エネルギーはあればあるほどいい。
高橋)日本もあるものは全部使った方がいいと思います。でも、脱原発の人は強いのです。どのような状況になっても「脱原発でいこう」という人が多い。脱炭素の人もそうです。
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