外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が7月29日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。7月28日に行われた石破元自民党幹事長ら超党派の議員団と台湾・蔡英文総統の会談について解説した。
日本議員団が台湾・蔡英文総統と会談 ~台湾有事に備え協議を行う考えを示す
台湾の蔡英文総統は7月28日、台湾を訪問中の自民党の石破茂元幹事長ら超党派の議員団と会談し、アジア太平洋地域の安全保障問題などについて意見交換した。蔡総統は安倍晋三元総理が「台湾有事は日本の有事」との認識を示していたことに触れた上で、「台湾は国際社会の一員として、日本など民主主義国家と協力して地域の安定に取り組んでいきたい」と述べた。一方、石破氏は台湾有事に備えた協議を台湾側と行っていく考えを示し、「日本がアジア太平洋地域において然るべき責任を果たしていきたい」と語った。
新行)また石破さんは、中国による台湾への軍事圧力が強まっていることを念頭に、日本と台湾が想定される事態や適用し得る法律、部隊運用などについて「共通の理解」を持たなければ「抑止力にはならない」と指摘したとのことです。
議員外交という形で日台の協議を行い抑止力を高めることが必要
宮家)アメリカのペロシさんが台湾に行く、行かないという話がありますが、石破さんに浜田靖一さん、長島昭久さん、清水貴之さんなど、みんな外交や防衛、安全保障の専門家です。とても現実的な考えをする方々で、彼らが行って台湾有事に備えた日台の意見交換をを行う。
新行)超党派の議員団として。
宮家)中国の軍事圧力が強まっているから、日台が想定される事態や適用し得る法律、部隊運用などについて共通の理解を持たなければ抑止力にはならない……。こういうまともな議論がやっと動き始めたなという感じがします。
新行)まともな議論が。
宮家)台湾については、1972年の共同声明以降、日中間で約束事がありますから、その枠のなかで対応することが前提になります。しかしながら、台湾をめぐる状況は大きく変わりつつあります。そのなかでこういう議論が行われるのは、いいことだと思います。なかなか政府ではできないことです。ですから、議員外交という形でこうした議論が進められるのは、いいことではないでしょうか。
新行)議員外交という形で。
宮家)ペロシさんばかりではなく、こういうことについても中国の方々にはよく理解してもらわないとね。「台湾の現状変更は簡単にはできませんから、おやめなさい」と言いたいですね。
「何が起こるか」ということを明確にしておくことが抑止力として効果的
新行)2022年版の防衛白書でも、台湾有事の扱いがかなり大きくなっていて、具体的なシナリオも出ているということです。それだけ台湾に関する日本の意識は高まってきているということですか?
宮家)そういうことでしょうね。今回、ワシントンに行ったときも、各シンクタンクで最も関心の高かった問題が台湾問題です。
新行)そうですか。
宮家)アメリカではたびたび「ウォーゲーム」という政策シミュレーションを行います。「台湾のシミュレーションをやりたい」、「やった」という声がこの1~2年で増えましたね。
新行)この1~2年で。
宮家)大きな動きだと思います。そういう形でウォーゲームをやれば、その中身は当然のことながら日本も関係してくるわけです。日本もいろいろな方面と協議をすることで、台湾をめぐり「何が起こるか」ということをある程度明確にしておくことが、抑止力としては効果的だと思います。
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