ジャーナリストの須田慎一郎が8月1日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。7月の消費者態度指数について解説した。
7月の消費者態度指数が発表
7月29日に7月の消費者態度指数が発表された。消費者態度指数は、今後半年間の暮らし向きがどうなるか、消費者の景気の動きに対する意識を示した指数である。7月に行われた調査では、2人以上の世帯の指数が30.2となり、6月よりも1.9ポイント下回り、2ヵ月連続の悪化となった。
新行)2ヵ月連続の悪化ということですが。
須田)個人消費はGDPの5割強を占めています。景気の先行指標と言われていて、個人消費が増えていくと景気はいい方向に、つまりGDPはプラス成長になるのです。そこが冷え込んでくると景気が悪化するということですから、いま言われた消費動向調査は重要になります。
新行)消費動向調査が。
須田)物価上昇の影響が大きく出てきています。収入が増えないなかでの物価上昇は、消費を冷やすことになります。
これまでは企業が利益を削って値上げを先送りしてきた ~賃金を上げられない
新行)新聞各紙でも書かれているのですが、2000品目以上が8月から値上げになるということです。10月には8月を上回る6305品目の値上げが既に予定されています。
須田)私は値上げという点に関しては、さほど悲観的に見ていません。この20年くらい、各企業は利益を削って値上げを先送りしてきたというのが実態だと思います。
新行)利益を削って値上げ見送ってきた。
須田)「利益を削って」というところが重要です。そうすると賃金を上げられなくなってしまうのです。ですから適正な利潤を上げて、きちんとお給料を払っていけば、物価上昇にも耐えられる。そういう好循環をつくることが重要だったのです。
各企業の値上げによって利益が上がり、給料も上がり、好循環がつくれる ~「うまい棒」の値上げがターニングポイントだった
須田)後先になってしまいますけれども、各企業が価格を上げて利益を上げる。「うまい棒」というお菓子があるではないですか。よく言われるように、10円から12円に値上がりした。これは大きなターニングポイントだったのです。
新行)そうなのですか。
須田)うまい棒は「駄菓子」と言われる価格帯の安い「駄菓子界のプライスリーダー」だったのです。うまい棒がずっと10円で我慢してきたから、他の商品は「うまい棒が上がらないのだったら、うちが上げたら買ってもらえなくなってしまうのではないか」というような意識で、みんな我慢していたのです。
新行)うまい棒が値上げしないのであれば。
須田)駄菓子などは、1個当たりの利益が少ないですからね。銭単位で利益を削っていったわけです。そのうまい棒が12円に価格を上げて、それでも売れるということで「うちも上げても大丈夫だ」と、一斉に値上げが始まったのです。
新行)そうなのですね。
須田)価格帯の安いお菓子が上がると、「あそこで上がって買ってくれるのだから、うちも上げよう」となり、いま底が上がってきています。
値上げによって利益が上がり、給料が上がれば景気はいい方向に向かう
須田)きちんと利益を上げて、先ほど申し上げたように好循環に入っていく。つまり利益が上がって給料も増え、経営者の収入も増えて、ものが買ってもらえるという状況になれば、景気はいい方向に向かうのです。給料が上がらなければ景気は悪化していきます。いまはちょうどそのターニングポイントに入ってきているのではないでしょうか。
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