「NFT政策検討プロジェクトチーム」の座長・平将明議員が語る「Web3.0」

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ジャーナリストの佐々木俊尚と、衆議院議員の平将明が9月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「Web3.0」について解説した。

「NFT政策検討プロジェクトチーム」の座長・平将明議員が語る「Web3.0」

※画像はイメージです

「Web3.0」 ~プラットフォーマーが情報を独占するのではなく、ブロックチェーンでみんなが管理し、資産をそれぞれが持つことができる

飯田)「Web3.0」をテーマにお話しいただきたいと思います。平さんは自民党のNFT政策検討プロジェクトチームの座長を務め、「NFTホワイトペーパー(案)Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略」というものも作成されていらっしゃいます。「Web3.0」、「NFT」と、まず単語がわからないのですが。

平)わかりにくいですよね。

飯田)Web3.0は、第三世代というようなイメージでいいのですか?

平)そうですね。大きく分けて「1.0」「2.0」「3.0」とあります。1.0で言うと、インターネットが使えるようになって、世界中の情報にアクセスできるようになりました。これは画期的なことでした。昔は通信料などがとても高かったのですが、メールなどを使って世界の人々とつながれるようになった。それが「Web第一世代」です。

飯田)そんな「Web第一世代」が「Web1.0」であると。

平)第二世代はSNSやGAFAなどを含む、いわゆるプラットフォームの時代です。逆に情報を囲い込んでGAFA独り勝ちというような世界観になります。

飯田)Google、Apple、Facebook、Amazonの独り勝ち。

平)Web3.0は第三世代で、今度は分散型でプラットフォーマーが情報を独占するのではなく、ブロックチェーンでみんなで管理し、情報はそれぞれが所有する。所有するというかデジタルアセット、「資産を持てる」というような世界になってきたのがWeb3.0です。自民党のなかでも「1.0も2.0も聞いたことがないのに、いきなり3.0と言われても困る」ということはよく言われます。

株式会社以来の発明である「DAO(自律分散型組織)」 ~NFTやブロックチェーンを使う

佐々木)Web3.0は私も重要だと思います。一方でビットコインから始まって、最近はNFTのどうでもいい画像が数百万円、数千万円で売り買いされるなど、投機的なイメージが付いてしまっています。そこを払拭しないと、「政府がなぜ金儲けの手伝いをしているのだ」と思われてしまう心配がありますよね。

平)まさにそうで、「マウントゴックス」や「Coincheck(コインチェック)」などいろいろな事象があり、日本は対応してきました。いわゆる暗号資産です。実際に暗号資産は、売り買いで「儲けた、儲けない」というマネーゲーム的な側面が強かったのです。

飯田)暗号資産として。

平)私が認識を変えたのはここ半年くらいです。テクノロジーの発展も速く、用途もいろいろと広がってきて、ブロックチェーンをベースに暗号資産があるのですけれども、そこはまさにビットコインなどの売り買いの世界です。

飯田)ビットコインなどの。

平)その先にNFTやブロックチェーンを使った「DAO(自律分散型組織)」があり、これは株式会社以来の発明ではないかと言われている組織です。

飯田)株式会社以来の発明。

平)私はこれが本命だと思っていて、トークンが暗号資産というより会員、人と人とをつないでコーディネーションするイノベーションのようなところがあります。たぶん様相はだいぶ変わってきたのだろうと思っています。

飯田)コーディネーション。

平)売ったり買ったりするマネーゲームを、政府が応援するつもりはまったくありません。よく芸能人の方々から「平さんはWeb3.0に詳しいですよね。どの暗号資産が儲かるのですか?」と言われるのですけれども、わからない人はやめておいた方がいいし、値動きも激しいです。

現在NFTがデジタルアートと結びついているのは本命ではない ~この先にキラーコンテンツが生まれてくる

平)ただ、この半年くらいで違うフェーズに入りました。おっしゃる通り、NFTもデジタルアートと紐づいて、数億、数十億円という話題になるではないですか。私もまさに同じ感覚で見ています。私は大田市場の八百屋出身なので経験していますが、初値で数百万円くらいしか価値のないマグロに1億円がついたり、3000円くらいのメロンに30万円ほどの値がついたりするではないですか。こういうことを言っていいのかわからないですけれども、話題づくりというものがあって、そのあと低迷するのです。

飯田)そのときには話題になっても。

平)NFTがデジタルアートと結びついていることは、「本命ではない」と私は思っています。インターネットもいろいろな使い方がそのあと出てくるのです。最初にベースが生まれて、初期はメールが「使いにくいよね。時間がかかるよね。届くか届かないかわからないよね。だったらFAXの方が便利だよね」という世界から、テクノロジーでいろいろな問題が解決され、ネイティブの人たちが新しいサービスを生み出していく。そのなかでWeb3.0もブロックチェーンを使っていろいろなこと、キラーコンテンツがこれから出てくるのだと思います。

「そういうことだったのか」とみんなが気付いたときに始めるのでは遅い

佐々木)新しい技術はインターネットもそうだったのですが、最初のころは怪しい山師などが出てきて……。

平)そうですね。

佐々木)「インチキ臭いな」と思っていて、それが過ぎ去ったあとに、ようやく「本質はこうだったのか」と気付くのです。たぶんWeb3.0もそういう流れになっていくのではないでしょうか。私の個人的感想では、2023年~2024年くらいになれば認識が広まってきて、「そういうことだったのか」とみんなが気付き出すのではないかと思います。

平)そうですね。技術もこなれてきて、方向性が見えてくると思うのですが、そのときに政府や民間が動き出してももう遅いのです。

飯田)みんなが気付いたときに動くのでは遅い。

平)いまのような黎明期にレギュレーション、規制の体系も整っていない、税金の体制も整っていない、そういうときにリスクを取りつつ、「ああでもない、こうでもない」と傷つきながらいろいろな体験をした人たちが、みんなが「そうだ」と思ったときに圧倒的先頭を走っているのです。

「中長期課題にしましょう」と手を出さずに「失われた10年」を3回繰り返した日本 ~米英独も対応し始めているのに日本だけが対応しないことはあり得ない

平)日本の悪いところは、「まだよくわからないよね」「まだリスクが多いよね」「技術的な問題が多いよね」と言って、「だから中長期課題にしましょう」としてしまう。それで失われた10年を3回繰り返してきたわけです。

飯田)日本は。

平)そろそろそれはやめて、日本もコントロールしながらリスクを取っていくべきなのです。特にシンガポールやドバイは進んでいますが、彼らは国自体が国家戦略特区のような国なので、我々は同じようにはできません。

飯田)シンガポールやドバイのようには。

平)しかし、アメリカもイギリスもドイツも対応し始めているので、日本だけが対応しないというのはあり得ないのです。だから「いまのうちにしっかり準備しましょう」というのが我々の主張です。

日本はもう1度テクノロジーの最先端を行くべき

佐々木)日本は80年代ぐらいまでは「電子立国」などと言って、テクノロジーで食っていた国だったはずです。でも最近はテクノロジーの話をすると、どこへ行っても「そんなものが出てきたら怖いですね」とか、「そんなものが普及したら怖いです」と、みんな「テクノロジーが怖い」とばかり言っている。これがマインドとして日本を没落させている大きな要因ではないでしょうか。

飯田)テクノロジーが怖い。

佐々木)ここをもう1回ひっくり返して、やはり「我々はテクノロジーの最先端を行くのだ」という気持ちに持っていかないとダメだと思います。

飯田)「何かあったらどうするのだ症候群」を、まず払拭しないといけない。

佐々木)そうなのですよね。

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