トラス新首相に5割以上の国民が「否定的」

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地政学・戦略学者の奥山真司が9月6日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。イギリスのトラス新首相について解説した。

インタビューを受けるトラス外相 英党首選、最後のアピール=2022(令和4)年8月31日、英ロンドン(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

トラス氏、イギリスの新首相へ

イギリスでジョンソン首相の後任を選ぶ与党・保守党の党首選挙の結果が発表され、トラス外相が選出された。トラス氏は会見で「減税と経済成長のための大胆なプランを実現する。エネルギー危機を解決し、高騰する光熱費問題にも対処する」と述べた。トラス氏は2010年に下院議員に初当選、ジョンソン政権では国際貿易担当相に続き外相を務めている。

新行)ここまでのイギリス党首選について、どうご覧になりますか?

奧山)スナクさんは前財務大臣であり、首相に次ぐ重要なポジションにインド系の方が就いたということで、「第二のバラク・オバマさんになるのではないか」と言われていました。

5割以上の国民がトラス氏に否定的 ~不人気で始まり、次の総選挙で戦えるのか

奥山)しかし、前首相であるボリス・ジョンソンさんに「後足で砂をかけて裏切った」と、保守党のなかで人気が落ちてしまい、結果として、ロシアに対して厳しい態度を取っているリズ・トラスさんが保守党のなかでは当選したということです。しかし、まだ国民全体の信任を得ていないことがキーポイントになるのではないかと思います。

新行)国民の信任を得られるかどうか。

奥山)実はトラスさんは、あまりイギリス国民のなかで人気がないのです。いろいろな市場調査でも、5割以上の方がトラスさんが首相になることに否定的な意見を持っています。国民のなかで彼女を「いい」と言っているのは2割くらいしかいないのです。最初からこれほど不人気な状態で始まって、次の総選挙で戦えるのかということが焦点になると思います。

トラス氏は「能力的に大丈夫なのか」と懐疑的に思われている ~以前から失言が多い

新行)イギリス国民はトラスさんに対して、どのような懸念を抱いているのでしょうか?

奧山)やはり財政です。日本ではあり得ない状況なのですが、「減税する」と言っています。「財政的に大丈夫なのか」というのが1つの懸念です。

新行)財政が。

奥山)もう1つの懸念は、彼女自身がいろいろなところで失言していることです。法律関係の大臣を務めていた時期があるのですが、そのときも法律を知らないような発言をしているのです。そんなことから「彼女は能力的に大丈夫なのか」と言われています。

ウクライナへの支援は続く ~ジョンソン前首相の路線を引き継ぐトラス首相

新行)トラスさんはロシアに対して強硬姿勢のようですが、ウクライナへの支援はどうなるのでしょうか?

奧山)彼女はボリス・ジョンソンさんを最後まで支えた閣僚の1人なので、ジョンソンさんの路線を引き継ぐことは確実視されています。ウクライナへの支援は続くと思います。ジョンソンさんも「彼女になって正解だ。ウクライナにとってもいい」という発言をしています。

中国にも厳しい姿勢のトラス氏 ~日本とはいい関係が望める

新行)日本とはどういうお付き合いになるのでしょうか?

奧山)彼女はインド太平洋の方にも積極的な姿勢を示しています。中国に対しても厳しい発言をしています。そういう意味では、戦略的には仲よくできる有望な人なのではないかと思います。

ロシアを頼りすぎている日本のエネルギー政策

新行)最近の日本とイギリスは安全保障面でも結びつきが深まっている印象がありますし、イギリスの原子炉開発に日本が参加するというニュースもあります。一方で、サハリン2にはイギリスのシェルが参加しない、新たな運営会社に出資しない方針を明らかにしました。この辺りについてはどうご覧になりますか?

奧山)日本のエネルギー政策については、基本的に経産省だと思いますが、「大失敗しているな」という印象です。サハリン1・2がありますが、両方とも、ロシア側は形としては実行していませんが、国有化するということです。

新行)サハリン1・2について。

奥山)日本の場合、安いエネルギーはロシアに頼らざるを得ない状況になっています。中東から持ってくるという手はあるのですが、いまは代替案がありません。経産省はまだロシア1本でいくと言っていますので、岸田さんもその路線で続ける姿勢です。

ロシアに善意を期待していいのか

奥山)しかし、ロシアにあまりにも善意を期待しすぎているのではないかと思います。終戦間際にはソ連に仲介を期待したものの、日本側が侵略されたという苦い経験があるので、それをまた繰り返してしまうのではないかと心配しています。

新行)イギリスもそうですが、各国から「日本はどうなのか」と思われるのではないでしょうか?

奧山)イメージ的にも悪いですし、日本は経産省も含めて、燃料がこれから高騰するということを1つの事実として受け止めなければいけないと思います。

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