ジャーナリストの須田慎一郎が9月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK!Cozy up!」に出演。公表時期が延期された自民党と旧統一教会との関係報告について解説した。
自民党の旧統一教会との関係報告、公表時期を延期
自民党幹部は9月2日、所属する国会議員に対し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について報告を求めていた調査で、9月6日に予定していた集計結果の公表を延期する考えを示した。曖昧な記述が多く、確認作業が発生しているとして、公表は今週後半以降にずれ込む見通し。
新行)各議員からの回答は2日に締め切られ、当初は5日に結果を取りまとめて6日にも公表する予定でしたが、報告の再提出が必要な議員もいるため、点検作業がずれ込むことになりました。
須田)調査がしっかり行われているかどうかは別としても、自民党を除く他党、特に立憲民主党などの野党ではもっと早く、党の責任で調査が行われてきています。それと比較すると、自民党の行った調査はあまりにも遅かった。
調査の方向性も示されず、個別の議員に丸投げだった
須田)8月26日くらいから方向性が示されて、8月31日の総理記者会見で念を押され、内部調査を行うことになっていました。その際、自民党の国会議員に話を聞くと、個別の議員に対し「自主的に調査しなさい」と丸投げだったと言います。
新行)丸投げ。
須田)ただ「調査をしなさい」と言われ、「その関係性について」と言われても、曖昧ではないですか。何をもって関係があるとするのかということについても、何も示されず、責任はすべて個別の議員に丸投げされていたということで、相当不満が高まっていたのです。
本来、茂木幹事長が責任を持って行うべきだった ~基準も曖昧で茂木幹事長の判断ミス
須田)なぜそのような状況になったのか。この調査については岸田総裁が陣頭指揮を執って行うというよりも、本来であれば、党の実務ナンバー1である茂木幹事長が責任を負う形で対応を決め、方向性を示して行うべきだったのです。
新行)茂木幹事長が。
須田)しかし、茂木幹事長が「責任を個別の議員に丸投げしてしまった」という状況が見えてきたわけです。そういった意味で言うと、茂木幹事長の判断ミスであり、その後、世論の反発が起こってきたために、慌てて「ではやります」というような状況になったのではないでしょうか。
新行)なるほど。
須田)それがとても拙速だった。加えて、「基準も曖昧」だということを考えると、問題が起こったあとの自民党のダメージコントロールは、0点に近いのではないかと思います。
批判が茂木幹事長に向かうことを避けたために個別の議員に押しつけたか
新行)世論の反発が大きかったということですが、反発は予想できなかったのでしょうか?
須田)ここまで大きくなるとは思わなかったのでしょう。もう1つは、調査を行ってみた結果、それが不十分だったら、またメディアや世論から反発が出てきます。その際、批判は個別の議員に対してというよりも、調査を実施した自民党、あるいは茂木幹事長に向かいます。それが嫌だったのだろうと。要するに、自分に責任が及んでくるのは嫌だったため、すべて個別の議員に押し付けたというような状況が見えてきます。
実態を明らかにして責任の所在を明確にし、再発防止策を考える ~違反した議員へのペナルティも明らかにする
新行)報告時期が「ずれ込んでいく」とのことですが、その後はどのような対応を行うのでしょうか?
須田)8月31日の総理記者会見では、「実態を明らかにして関係を断つ」と言っているわけです。ですから、「過去にはこのような関係がありましたが、それについては断っていきます」ということを、個別の議員から確約を取るという作業になってくるのだと思います。
新行)再発防止策のようなものもつくられるのでしょうか?
須田)そうでしょうね。党としては「関係を断つ」ということですから、最終的には実態を明らかにして、責任の所在を明確にし、再発防止策を考える。違反した議員にはどのようなペナルティが科されるのかというところまで進めば充分なのかなと思います。
霊感商法として布教活動が違法認定されたが、文部科学省が対応しなかったことが問題
新行)さまざまな報道を見ると、「少しでも関係があれば、もうダメなのだ」というような部分もあると感じますが、これまでの反応をどうご覧になりますか?
須田)過去、これは民事の損害賠償を請求する訴訟ではあるのですが、旧統一教会の布教活動……この場合の布教活動とは、いわゆる霊感商法と言われているものです。これについては違法だということで、布教活動そのものが違法認定されたのです。
新行)布教活動そのものが。
須田)20年以上前ですが、最高裁で確定判決を得ています。しかし、それに対して行政が動かなかった。文部科学省が、宗教法人として適切なのかどうかというところも含めて、対応を取ってこなかった。やはりこの点が問題なのだろうと思います。
「組織としての関係を断つ」ことと、「信者の方々との関係を断つ」ことは次元が違う ~憲法で「信教の自由」は認められている
須田)一方、そのなかで「政治的な動きがあったのかどうか」ということを含めて検証しなければならない。考えてみると、旧統一教会の組織の問題であり、宗教法人としての組織が問題なのであって、それとの関係を断つということなのです。
新行)関係を断つということは。
須田)そうすると、「その信者」に関しては、また話が違います。憲法では「信教の自由」が認められています。宗教法人として解散する、認定取り消しになるなどという状況になっても、内面の自由はあります。宗教を信じるというところまでは、国家権力が介在することはできないですし、党としても、そこまで踏み込むことはできないのです。
新行)信教の自由までは。
須田)その線引きだと思います。「組織としての関係を断つ」ということと、「信者の方々との関係を断つ」というのは、また違う次元の話だということです。
新行)そこが混乱してしまって、わかりにくい気がしますが。
須田)そこをきちんと線引きする必要はありますし、それほど難しい話でもありません。いま、私が5分もかからずに説明できたことですので、いとも簡単にできるのではないでしょうか。
秘書の人が信者だとしても内面の自由からそこには介入できない ~教団からの派遣であれば、それは問題に
新行)その基準、中身まで説明する必要性はあるのでしょうか?
須田)ただ、具体的に言えば、信者の方が秘書として入っていても、信者である秘書には内面の自由があるため、そこには介入できない。それをもってして解雇もできない。ただ、入ってくるときの経緯を考えると、「教団が関係しているのかどうか」というところは、きちんとみていかなければなりません。関係しているのであれば、対応を変える必要があると思います。
新行)教団が関係していて、そこから派遣されるような形であれば問題だと。
須田)そうです。問題です。
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