深刻な世界の干ばつ被害 ~上半期で1.8兆円

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地政学・戦略学者の奥山真司が9月6日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。異常気象による世界の干ばつ被害について解説した。

中国最大の淡水湖、鄱陽湖の干潟に「大地の樹」が出現 江西省(南昌=新華社記者/万象)= 配信日:2022(令和4)年8月25日、クレジット:新華社/共同通信イメージズ

世界の干ばつ被害

保険仲介大手エーオンによると、2022年1月~6月期の干ばつによる被害額は全世界で132億ドル(約1兆8500億円)に上った。同時期としては2019年~2021年の平均比で4.7倍に急増している。

新行)世界の干ばつの被害が1月~6月期で1.8兆円と深刻です。

奧山)欧州を中心に、ここ500年で最も酷い干ばつだということです。河川が干上がってしまい、第二次世界大戦中に沈んだドイツの船が出てきたという報道もあります。欧州だけでなく中国でも、同じく河川が干上がって約600年前の仏像が出てきているそうです。

新行)干上がってしまって。

奥山)干ばつになると水がなくなってしまい、水力発電ができず、電気が供給できなくなる。また、川の水がなくなるとドナウ川などの大きな国際河川では、船が川底についてしまって動かせなくなり、物流が止まってしまいます。

新行)荷物を制限しなくてはいけなくなってしまう。

奥山)換算すると、上半期で1.8兆円の損害ということで、大きなインパクトがあるなという印象ですね。

パキスタンでは水害で7人に1人が被害を受ける

奥山)同時にパキスタンなどでは大洪水になっていて、25個のダムが崩壊してしまい、国内の作物の95%がダメになったという情報もあります。国土の30%が水浸しになり、7人に1人が被害を受けているということです。尋常ではない状況になっています。

新行)そうですね。

奥山)我々は「気候変動を疑うべきではないか」と思っていたところなのですが、実際に温暖化は大きなインパクトがあるのだなという印象です。

2021年の倍となるヨーロッパの電気料金 ~日本の4倍~5倍

奥山)ヨーロッパに友人がいるので話を聞いたのですが、現在のヨーロッパの電気料金は、去年(2021年)に比べて2倍になっているそうです。

新行)2倍。

奥山)日本でも電気代は上がっていますが、ヨーロッパの電気料金を調べてみました。8月31日の時点で、日本は1キロワットアワーあたり20円台です。ところがヨーロッパでは、同じ1キロワットアワーあたりドイツは91円、フランスでは103円と、4倍~5倍の値段になっているのです。スペインはまだ日本と同じで20円台ですが、ヨーロッパの電気料金は上がっています。

「強制配給」「価格調整」など、まるで戦時中のようなキーワード

奥山)国がマーケットにそのままものの値段を委ねるような時代が終わってしまったのではないかと思います。「計画停電」などと言われるではないですか。

新行)そうですね。

奥山)日本での計画停電は3.11のときにあったくらいで、ほとんど実施されていないのですが、ヨーロッパでは強制配給や価格調整、あるいは「エネルギー市場の取引を停止する」、「一部産業の操業を停止」というキーワードが出てきます。このようなキーワードが出てくるというのは、戦時中のような状況ですよね。

新行)戦争状態のような。

奥山)「70年前くらいに経験しました」というような状況になっています。地政学で研究しているテーマは「地理は基本的に変化しない」ということなのですが、現在のように劇的に地理が変化してしまうと、地政学も少し考えなくてはならない時代がきているのではないかと、個人的には感じます。

第三世界が被害を受けることで政情不安が起こる可能性も

新行)干ばつの被害で牧草が育たず、チーズの生産に影響が出たり、オリーブが枯れてしまうなど作物にも影響が出ています。

奧山)ロシアへの経済制裁の影響で、ドイツは冬までにガスの消費量を2割削減しなくてはならず、いま必死に備蓄しているようです。ようやく100%に近付いているということですが、もう1回ガスを止められると2ヵ月半しか持たないという厳しい状況です。

新行)ロシアにもう1度ガスを止められてしまうと。

奥山)お金持ちの国は、高くてもお金を払えばエネルギーが届きますが、パキスタンやバングラデシュなどの国はそのような対応ができません。第三世界が最初に大きな被害を受けることになると、物価高騰は政情不安にもつながりますので、アラブの春のような事態になるのではないかと心配しています。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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