外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が9月9日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。9月15日からウズベキスタンで行われる予定の習主席とプーチン大統領の会談について解説した。
中国・習近平国家主席とロシア・プーチン大統領がウズベキスタンで会談 ~中国がロシアと同盟を組んでアメリカに向かうことはない
新行)中国の習近平国家主席とプーチン大統領が、9月15日からウズベキスタンで会談するというニュースも出ています。
宮家)中国が本気でロシアと同盟を組み、アメリカと喧嘩しようとしているとは到底思えません。
新行)本気でロシアと同盟を組むことはない。
宮家)ロシアにとっても中国にとっても、アメリカとの関係こそが戦略的に重要で、逆に言うと、アメリカとの関係が悪いときには、お互いが必要なのです。ロシアと中国の関係自体は「戦略的同盟関係」というより、「戦術的なパートナー」でしかありません。
中国はロシアを戦術的なパートナーとして利用しようとしているだけ ~ロシアと運命を共にすることはない
宮家)仮にロシアがアメリカとの関係を改善できるのなら、中国そっちのけでアメリカに専念しますよ。中国も同じように、いまアメリカと対立しているからロシアを利用しようとしているのです。
新行)ロシアを利用しようとしているだけ。
宮家)そう考えると、どちらから声を掛けたかはわかりませんが、中国が会いたくて会いに行くというわけではないと思います。むしろ中国としては、ここまで来てしまった以上、アメリカとの関係もあるし、ロシアを支援せざるを得ないのだけれど、ロシアを支援しすぎるとアメリカとの関係がこじれるので、これ以上リスクを取ってまでロシアにのめり込むかと言うとそういうわけではない。
新行)これ以上、のめり込むことはない。
宮家)習近平さんも北京オリンピックの直前に、北京でロシアと首脳会談をしたでしょう。そして共同声明を出し、「中国とロシアの友情にリミットはない」と言ってしまったわけです。当初はもっと早く(ウクライナとの)戦争が終わると思っていたのかも知れません。しかし、これだけ戦争が長続きしてロシアに対する反発が高まれば、当然、スピルオーバーしている中国に対する批判になるわけです。
新行)ロシアへの反発が高まれば。
宮家)そのことにやっと気が付いて、中国はずいぶん軌道修正をしました。それ以来、中国はロシアに対して必ずしも完全に支持しているわけではない。急に状況が変わったとも思えないので、ロシアとはつかず離れずになると思います。切るわけにはいかないですよね。切ったらアメリカが中国に強く出る可能性もあるので、ロシアに頑張ってもらわないといけない。でも、中国がロシアを最後まで支持して運命を共にすることはありません。
ロシアが北朝鮮に頼ることはロシアの窮地を表す象徴的なこと
宮家)残念ながら今のロシアはだいぶ苦しい感じがします。象徴的なのは、北朝鮮から武器・弾薬を買うことでしょうか。
新行)バイデン政権が「ロシアが北朝鮮から大量の弾薬の調達を打診している」と明らかにしたということです。
宮家)足りなくなってきたのですね。いまのウクライナでの戦争は、基本的に消耗戦・物量作戦ですから。北朝鮮の砲弾がどれくらい正確に飛んでいくのかはわかりませんが、ここに極まれりですよね。「ロシアもついに北朝鮮に支援を求めなければいけなくなったのか? 大丈夫なのか?」と。そのくらい窮地に追い込まれている印象を受けました。
あくまで戦術的なロシアと中国の関係
新行)中国との関係が戦術的とおっしゃいましたが、ロシア軍と中国軍の艦艇が日本列島を回ったことがありました。
宮家)それも戦術的なものですよ。
新行)ボストークの軍事演習に参加したのもそういうことですか?
宮家)両国が一緒に戦えるとは思えないですからね。統一の司令部がなくて、どうやって戦うのでしょうか。あれは政治的なデモンストレーションで、もちろん政治的な意味はありますし、我々もそれを無視するつもりはありません。しかし、彼らの動きは極めて戦術的で便宜的な部分がまだあると思います。ただ、これからロシアや中国を追い込めば追い込むほど、お互いの絆は強まると思います。
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