中国市場を取り込みたいツイッター社の「ギブアンドテイク」の可能性 ~「中国の工作員」の存在を内部告発者が証言

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ジャーナリストの鈴木哲夫と、産経新聞社・月刊「正論」編集長の田北真樹子が9月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。元ツイッターのセキュリティ責任者による内部告発について解説した。

中国市場を取り込みたいツイッター社の「ギブアンドテイク」の可能性 ~「中国の工作員」の存在を内部告発者が証言

香港返還25年記念式典で、演説する中国の習近平国家主席=2022年7月1日、香港(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

ツイッターのセキュリティチームに中国工作員が含まれているとの証言

元ツイッターのセキュリティ責任者で、内部告発を行ったピーター・ザトコ氏が現地時間9月13日、米上院司法委員会で開催された公聴会に出席し、ツイッターのセキュリティチームのなかに少なくとも1人は中国の国家公安安全部の工作員が含まれていたことなどを証言した。これにより、ユーザーの個人情報が利用される危険性を指摘した。

個人情報を聞きにくい時代 ~中国やロシアなどは浸透しやすい環境

飯田)米連邦捜査局(FBI)から、「中国の工作員が社内にいる」と連絡を受けていたことも明らかにしています。然もありなんという感じですか?

田北)いまは人材を採用しようとしても、「その人が中国の工作員かどうか」を判断するのは難しいと思います。旧統一教会問題でも言われていますけれど、宗教も含めていろいろな個人情報を聞けなくなっているではないですか。それが世界規模の企業となると、一層難しくなります。逆に言えば、中国やロシア、北朝鮮からすると、浸透しやすい環境だと思うのです。

飯田)確かにそうですね。

田北)ザトコ氏が証言していますが、中国の工作員はツイッターから給料をもらっていたそうです。少なくとも1人だということで、他にもまだいる可能性があります。ツイッターは中国でも見られているではないですか。

中国市場を狙うツイッターが中国側の要望を受け入れる可能性も ~犠牲になるのはセキュリティ

飯田)ネットの接続を調整すると、中国国内でもつながるという。

田北)中国の外務省もツイッターで発信しています。ということはツイッターとしても、中国市場をある程度は取り込みたい。そのためにはギブアンドテイクで、ツイッター側もそれなりに中国側の要望を受け入れなければならないのでは。となると、犠牲になるのはセキュリティです。

飯田)個人情報の部分。これを渡さないと、中国国内では活動させないぞと。

田北)そうなりますね。

ウイグルの人権問題を追及する活動家の個人情報が狙われ、中国工作員によって身元が判明する可能性も

田北)同時にどこまで中国の人間が、ツイッター内部の情報にアクセスできたのでしょうか。特にいまはウイグルの人権問題を追及している活動家が海外にたくさんいるではないですか。日本国内でも自分のバックグラウンドを明かさずに、ツイッターでいろいろ発信されている方はいるのです。

飯田)日本国内から。

田北)世界中にいらっしゃると思うのですが、そういう方が誰なのかを「中国の工作員が把握できていたのか」というところまで知りたくなりますね。それが可能だったとすれば問題でしょう。

飯田)身元を明かさないというのは、自分の親族などに直接影響を及ぼすかも知れない。そのリスクがあるから、明かそうと思っても明かせない人たちがいるわけです。だから匿名でツイッターを使う形になっていたのに、「おや?」ということになりますよね。

田北)そうでなくても、日本国内にいるウイグルの方々は、常に中国当局から電話がかかってくるなど、そういう状況にも晒されています。

飯田)「こういう感じでかけてくる」という動画もあがっています。

田北)そうです。

日本の商社で働く中国人留学生から情報が送られていた例も

飯田)そうなると、単なるアメリカ企業の話というわけではないですよね。

鈴木)日本もそうです。中国とマスクを一緒につくっていたような日本の専門商社の方に取材したのですが、そういう複雑な話ではないと。そこがケアしているのは、技術協力です。中国から「技術を一緒に開発しませんか?」と言ってくるのだそうです。しかし、実はそれがある種のスパイだったということです。

飯田)技術を盗られてしまう。

鈴木)もう1つ、留学生の話もされていました。非常に真面目で「勉強したい」という留学生であれば、こちらは受け入れます。しかし、その留学生が実は、情報をすべて中国に送っていた。サイバーだけではなく、基本的な人的交流にも落とし穴があります。

飯田)真面目に勉強するような留学生から。

鈴木)取材したのは中堅の日本の専門商社でしたが、こういうことも含めて、警戒感が必要だと言っていました。いま経済安全保障をやっていますが、法律でどこまで対応できるかということは、なかなか難しい。また議論になってくると思いますが、日常の経済活動のなかで気を付けなければいけないところが、日本には相当あるのではないでしょうか。

セキュリティ・クリアランス導入は喫緊の課題

飯田)次の通常国会で出すという話もありますが、高市担当大臣は政調会長の時代から、セキュリティ・クリアランス(適格性評価)の導入を訴えています。これは喫緊の課題になりますね。

田北)セキュリティ・クリアランスは、その人のバックグラウンド調査を行うのですが、アメリカでも時間をかけて行われます。何十人もの人員が、その人に対してバックグラウンドチェックをするわけです。例えば「鈴木さんはあのとき、あの人に会いましたね」とか、「中国に行って誰と会いましたか?」など、すべてを調べるので大変な話です。

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