弾道ミサイルを持たなければ日本を守ることはできない 「ウクライナ情勢」によって大きく変化する「安全保障の考え方」

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴と、数量政策学者の高橋洋一が10月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月18日から始まった自民・公明両党の与党協議について解説した。

弾道ミサイルを持たなければ日本を守ることはできない 「ウクライナ情勢」によって大きく変化する「安全保障の考え方」

※画像はイメージです

防衛力の抜本的強化に向けて、自民・公明の協議会が初会合

政府が安全保障関連の3文書改定や、防衛費の増額に向けた検討を本格化させるなか、自民・公明両党は10月18日午後、麻生副総裁と北側副代表をトップとする協議会の初会合を国会内で開き、両党の幹事長・政調会長らも出席した。

飯田)今後、実務者による作業チームで19日から具体的な議論を始めるということです。青山さんはこの顔ぶれなどを見て、どのような議論になると思いますか?

青山)私が7年前に議員になったときと比べて、安全保障の議論が大きく変わったと思います。自由民主党のなかの親中派の発言が本当に目立たなくなりましたし、本来、中国と近い公明党の押し戻す勢いも、私個人の感覚としては、かつてのような感じでは全然ありません。

飯田)中国に関して。

青山)本来であれば、来春は統一地方選挙なので、政党色をむき出しにしていてもおかしくはありません。自由民主党と公明党は別の政党なので、安全保障に関する考え方が当然ながら異なります。もっと押し返してくるはずが、私の受け止め方だと、そのような感じではないのです。

ロシアのウクライナ侵攻によって安全保障の考え方に変化 ~公明党の議論にも違いが

青山)はっきり言うと、中国共産党のおかげなのです。北朝鮮の朝鮮労働党よりも、中国の巨大な脅威が、ウクライナ戦争によってより皆さんに伝わったのだと思います。

飯田)中国の脅威が。

青山)いま戦争を行っているのがロシアであったとしても、それがわかるので、誰も「防衛費の増額自体がいけない」というようなことは言っていません。また、私は「反撃能力」という言い方については反対しています。もっと踏み込むべきなのです。

飯田)反撃能力ではなく。

青山)「反撃能力」というのは、第1撃を受けることに変わりありません。侵略戦争をしないというだけですから、専守防衛という考え方とは違います。国民を守らなければいけません。1撃目が核弾頭だったら、何十万人という自国民を失ってしまいます。そんなことを容認できるわけがありません。

飯田)第1撃が核弾頭であれば。

青山)それでも反撃能力は抑止力につながるという考え方を打ち出して、基本的にその考え方がいけないというように公明党が出てくるとは、とても思えないですよね。長いこと安全保障を考えていますが、この6~7年で四半世紀分の変化が一気に起きています。日本は外圧に弱いのではなく、外圧を活用する国なのです。1853年の黒船4隻だけで、あのよき江戸時代を自分で乗り越えました。その状況を(現在)つくっているのは、間違いなく中国です。

「専守防衛」では3倍返しの反撃はできない ~公明党の持論である「必要最小限の専守防衛」の解釈

飯田)高橋さんはいかがでしょうか?

高橋)外から見ていると、公明党は「専守防衛」と言っています。しかし、「専守防衛は必要最小限」という言い方をしていますが、「反撃能力」というのは通常の言い方だと、3倍返しの意味があるのです。しかし、(必要最小限の専守防衛では)それができなくなってしまいますよね? そこでまず1つ懸念を持ってしまいます。すべてを撃ち落とすのは技術的にも難しいですが、それでも3倍返し、5倍返しをするということであれば、抑止力にもなると思います。

青山)高橋さんがおっしゃっていることは大事なポイントです。ただし、「必要最小限」というのは、もともとどれほどの数量なのかがまったく曖昧なのです。

飯田)そうですね。

青山)「相手に合わせて変わる」ということも、いままでの国会答弁のなかでは言っています。相手である中国は間違いなく独裁主義なので、相手が大きくなっていけば、こちらの最小限度も大きくなっていくことになります。ですので、前ほど足枷になっていることはないと思います。ただ、高橋さんがおっしゃったように、3倍返しが基本なのだということは、党派を問わずみんなが持つべき概念です。

弾道ミサイルを持たなければ日本を守ることはできない

高橋)いままでは専守防衛という意識があったので、長射程ミサイルの議論はなかなかありませんでした。いまもせいぜい1000キロ程度です。アメリカを抜きにして、何倍返しの反撃ができるのだろうか、という不安はいつもあります。

青山)それは正しい判断ですよね。射程がいくら伸びたとしても、あくまで日本は巡航ミサイルの話しかしません。でも弾道ミサイルと巡航ミサイルは、基本的に違います。弾道ミサイルは音速の10倍を超えることもあります。もし、たくさん撃ってきたとしたら、すべて撃ち落とすのは米軍でも不可能です。

飯田)弾道ミサイルを。

青山)ただし、巡航ミサイルは飛行機と同じように横に飛んでいくので、簡単に撃ち落とせます。たとえ長く飛んでいったとしても、結局、撃ち落とされてしまっては同じなので、日本は弾道ミサイルを持つべきです。

飯田)弾道ミサイルを持つべきであると。

青山)「反撃能力」と言うのであれば、高橋理論の「最低3倍返しは必要だ」という認識は正しいです。私は3倍では足りないとも思っています。抑止力として本当に相手が躊躇う力を持つためには、もっと大きくないといけません。日本が侵略戦争をしないということははっきりしているので、弾道弾を持たない限り、反撃能力を満たすことはできないのです。

いまは議題に載せられないが、「弾道ミサイルをどうするか」ということは遠からず議題に載るはず

青山)いま、そのことを言っているのが私1人だとしても、この6~7年の変化を考えれば、やがて「弾道ミサイルをどうするか」ということがテーブルに載せられると思います。いまテーブルに載せてしまったら、自公協議が破裂してしまいますから、いまは載せていませんが。

飯田)現状としては、なかなか載せるわけにはいかないのですね。

青山)ただ、「弾道ミサイルはダメだ」と言う人には、弾道ミサイルの中身を理解していない人が国会内にも多いのです。

飯田)弾道ミサイルに反対する人のなかには。

青山)議員の資質というよりは、安全保障の話が長い間、他人事だったからなのです。怖いことはアメリカ様にやってもらおうという意識でしたから。ただ、先ほど高橋さんが「アメリカ抜きでも日本を守れるようにしなくてはならない」とおっしゃいましたが、それは大事なことです。それで初めて同盟関係なのです。アメリカに助けてもらわないとやっていけないというのは、同盟関係ではありません。

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