政府が行うべき経済対策の財源は「これだけある」 高橋洋一が指摘

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴と、数量政策学者の高橋洋一が10月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。世耕参議院幹事長が発言した自民党の総合経済対策について解説した。

政府が行うべき経済対策の財源は「これだけある」 高橋洋一が指摘

2022年10月14日、挨拶する岸田総理~出典:首相官邸HP(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202210/14startup.html)

世耕参院幹事長、総合経済対策「30兆円の発射台」を改めて強調

10月内に政府が取りまとめる総合経済対策の規模について、自民党の世耕参議院幹事長は記者会見のなかで、2021年度補正予算で経済対策関連の歳出が31兆円超えだったことを念頭に、「真水で30兆円が発射台だ」と改めて強調した。

飯田)具体策の調整について、政府は10月18日に電気・ガス料金の激変緩和策を講じる他、中小企業向けの補助金の拡充などがメニューとして示されています。規模感や中身はいかがでしょうか?

高橋)内閣は「15兆円」と言っていますが、GDPギャップを普通に計算すると、おそらく30兆円ほどです。ですので、30兆円というのは1つのミニマムとしてあるのだと思います。

飯田)ミニマムとして。

高橋)今回の財源論は簡単です。外為でおそらく30兆円ほど出しますね。

飯田)外為で。

債務償還費も組み替えれば外為と合わせて50兆円 ~経済対策に30兆円、防衛基金に20兆円組み替えることができる

高橋)他にも「債務償還費」がありますが、これは組み替えできるので、20兆円は出せます。そうすると50兆円ほどあるのです。経済対策に30兆円を使い、残りの20兆円は防衛基金として組み替えるというのが最も簡単なやり方です。

飯田)20兆円は防衛基金として組み替える。

高橋)20兆円を防衛基金にあてれば、4年間~5年間はそこそこの水準になります。あとは経済成長に乗せていけば、恒久財源が入ってくるはずです。

飯田)経済成長に乗せれば。

高橋)当面のことを考えたら、防衛基金に20兆円を積んでおけばいいのです。いまのやり方は増税とはまったく関係ありません。これをやったところで財政には関係ないですから、「なぜやらないのか」という感じです。

飯田)GDPギャップ、つまり需要と供給のバランスで、本来はこれだけつくれるけれど需要がないという部分が、大体いま30兆円ぐらいあるということですね。

高橋)内閣の計算だと15兆円ぐらいになっているのですが、供給の天井を低く見積もっているので、低く計算されるのです。それは少し違っていると思います。

飯田)ある意味、日本の実力を低く見積もっているのでしょうか?

高橋)そうですね。低く見積もっているからGDPギャップが少ないのだと思います。いつもそうなのですが、日銀に持っていくと、もっと低い数字が出てきます。

飯田)なぜ、それほど自分たちの実力を低く見積もろうとするのでしょうか? 謙虚なのですか?

高橋)謙虚なのではないと思いますよ。

数字をいじるテクニックに騙されてはいけない ~小泉政権の際も財務省が「財源はない」と言ったが、60兆円出た例も

青山)高橋さんが「数量政策学者」と名乗ることには意味があります。数字には数字で対抗するべきなのです。ただ同時に、数字というのは高橋さんがおっしゃる通り、いじれてしまうという側面もあります。

飯田)低く見積もるというようなテクニックで。

青山)その計量を公平にすることが大事です。高橋さんがずっと努力されていることはそれだと思いますが、最も騙しやすいのが数字になってしまっています。

飯田)そこが説得力に影響してしまうのですね。

青山)ただ、わかってきてしまっていますけれどね。

高橋)天井になっているはずが、突き抜けることがあるので、嘘だということがすぐにわかりますよね。

飯田)上限・下限の話で言えば、昔、「失業率は4%を超えて下がらないのだ」と、「それ以上は転職したりするので、どうしても失業率は出るのだ」と言われていましたが、2.5%まで下がりました。

高橋)日本銀行はそのように言っていましたね。そもそも計算が違っていたのです。私は安倍さんにも「計算が違います」とはっきり言って、下限についても言いました。大体2%前半くらいで、もっといくと。そうしたら予想通りになりました。

飯田)そうですね。

高橋)役所が言っていることに対し、「このように違っています」と言って、本当にそうなると、「やはり嘘だったのか」という話になります。財源の話も、いつも財務省は「ない」と言います。小泉政権のときも「ない」と言っていましたが、60兆円ほど出ました。それは自民党のなかでぜひやって欲しいですね。

政府が行うべき経済対策の財源は「これだけある」 高橋洋一が指摘

2022年10月12日、日経リスキリングサミット~出典:首相官邸HP(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202210/12reskillingsummit.html)

外為で政府が儲けているのならば、円安で苦しんでいる人に戻すべき

青山)高橋さんは小泉政権時代の実績があるので、「実際にできます」ということを実証なさっています。私は安倍さんには功罪あると思っています。消費増税や習近平国家主席の国賓招来などには反対しました。

飯田)安倍さんに対して。

青山)いままで「できない」と言われて、財務省の言いなりになっていた状況を変えようという動きはありましたが、そのカウンターとして「変えよう」としたのは事実であり、高橋さんは非常に影響力を持っておられたと思います。総理を辞められてからの安倍さんは、その辺りをもっと本音でおっしゃっていました。

高橋)総理のときから、「円安になったら外為を使えます」ということは説明していました。そのときは(円安に)ならなかったのでやらなかっただけですが、いまはそのチャンスです。

飯田)いまは円安になって、1ドル=149円台の水準まできました。いままで1ドル=100円ぐらいで買っていた米国債などの含み益の部分を、財源として使えるということですよね。

高橋)日本では、民間も含めた純資産額があり、大体500兆円なのです。そのうち5分の2ぐらいは政府なので、政府が最も儲けているのは間違いない。民間の方々も海外投資をしている人は儲かっています。ただ、政府が最も儲けていて、円安で苦しんでいる庶民もいます。儲かっているのが政府なら、分け与えるのが当たり前ではないかと私は思います。

青山)私もそう思います。政府側で余っている部分は、まずそこに回さなければいけません。

飯田)円安で苦しんでいるということは、庶民の生活だと、エネルギーの値段や電気代、ガス代などもありますよね。

高橋)あとは輸入関連の人も大変です。苦しんでいる人がいるのは事実なのです。政府は儲けなくてもいいのだから、戻してくれればいいのです。

飯田)戻してくれないのでしょうか?

高橋)戻してもまだお釣りがあります。

「増税」ではなく、経済対策として使える財源である

青山)何でも財務省のせいにするのもどうかとは思いますが、「お金が余っている」と言った瞬間に「減税しろ」という話になるのが嫌だから、ということが問題なのです。税金の話で言うと、財務省は必ず増税のことしか考えないというのは、極めておかしい話です。

飯田)増税のことしか考えないのは。

青山)なぜいつも増税の話だけが念頭に置かれるのか。税金は本来、減らすべきものです。仁徳天皇の「民のかまど」通りではないですか。それが我が国なのです。

高橋)今回、経済対策で「一時的な話なのでしょう」と言うので、増税の話をしたら財務省が困るのは私にもわかります。だから「増税」とは言わず、このように「財源として使えるでしょう」と言っているだけなのです。経済対策として早くやった方がいいと思います。そのための簡単なやり方を言っているのです。

基本的には「適度なインフレ」であるべき

飯田)「財政出動をするとインフレになってしまう」と言う人もいますよね?

高橋)GDPギャップがあるうちは、それほどのことにはなりません。どちらかと言うとコストプッシュなので、少しインフレになり、それを財政資金で吸収するぐらいの方がいいのです。最終消費者にお金を渡しておいて、転嫁できた方が世の中はスッキリします。

飯田)一般庶民の人たちに少し余裕ができ、「値上げしても大丈夫だな」という環境をつくるということですね。

高橋)コストプッシュなので、いずれは誰かが負担しなくてはなりません。であれば、いま財政資金を使い、最終消費者のところで吸収した方が経済はうまく回ります。

青山)資本主義はもともとインフレーションなのです。住宅ローンを借りて一生懸命返済していても、「デフレでお金の価値が大きくなってローンが重くなる」ということはあり得ませんよね。

飯田)そうですね。

青山)基本的には、適度なインフレであるべきです。日本は長年デフレで苦しんできたのですが、デフレーション主義にないはずのことが起きたので、ついていけない経済学者の方々が世界的にも多いのです。

飯田)長年デフレで苦しんできたので。

青山)それがいまカオスになっていて、その代わり、そのカオスからいままでにはなかった発想が新たに生まれています。混乱やいままでの常識が壊れるという状況は、希望の芽でもあるのです。人間のすべてについても言えることです。

飯田)いままでのものが壊れる状況は。

青山)アメリカは過度にインフレを警戒していると思います。バイデン大統領は、どこまで理解されているのかよくわからないのですが、「ドル高容認」の発言をしました。「インフレ、デフレの関係がどこまでバイデンさんの頭に入っているのかな」と思いました。

飯田)「ドル高容認」という発言で。

青山)日本は健全なインフレを目指すと。だから為替についても、適切なレートを政府が決めるわけにはいきませんが、そのようなことを私たちの側は国会議員も含めて考えていくべきだと思います。どの辺りのレートに落ち着かせるのを目指すべきなのか。

飯田)国会議員も含めて。

青山)円安について、「急激に動くのはよくない」と黒田さんが介入を決めたことに関しては、私は支持します。いま利上げしたら中小企業はバタバタ倒れてしまいますから、黒田さんはよくやっていると思います。あれだけ国会でもいろいろと言われて、よく我慢なさっていると思います。

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