1つの問題に集中しすぎる「集中審議」の課題
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が10月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月24日に行われる衆参両院予算委員会の集中審議について解説した。
集中審議
国会では10月24日、衆参両院で予算委員会の集中審議が行われる。「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)をめぐる問題や、物価高対策が焦点となる見通し。
飯田)総理はオーストラリアから昨日(10月23日)帰国しました。ここでも「与野党攻防か」と言われていますが。
宮家)私は「集中審議」と聞くと「ゾッ」とします。集中審議というくらいだから、本当に議論が一つの問題に集中するのです。外務省北米局にいたころは安保問題の集中審議が頻繁にあり、外務大臣・官房長官・総理を合わせると、多いときは1晩で100問以上の質問が出るのです。
飯田)100問以上!
1つの問題に集中しすぎる ~一晩で100以上の質問をつくる場合も
宮家)集中審議は1つの問題に集中しすぎますよね。
飯田)集中しますね。
宮家)答弁案作りが大変なのですよ。うちの課は当時40人くらいいたのですが、それを総動員しても一晩に100問の質問に対する答弁など書けません。
飯田)そうですよね。
宮家)一応は答えをつくらないといけませんが、関係省庁と協議しているうちに、瞬く間に朝がきます。下手をすると50問くらい積み残してしまうので、午前中に残りをやって、それを昼に大臣に説明するという作業を繰り返す。
飯田)昼にですか。
宮家)今回も旧統一教会や物価等々、ばらけてくれればいいのですが、どこかに集中するのでしょう。霞が関は大変だと思います。慣れている人ならいいのですが、あまり国会答弁を書いた経験がないような人に、突然100問が「ドン」ときたら大変ですよ。
飯田)北米局の安保課というと、国会における総理や大臣の答弁がその後の政策を縛るかも知れないとわかった上で、前の答弁も調べながら書くのだけれど、というところですよね。
宮家)それがすべてなのですよね。でも「それが本当にいいのか」という議論はあります。本当なら国会でもっと秘密会を開き、機微な話も含めて国会議員に守秘義務を本格的に課し、しっかりと議論すればいいと思います。ところがテレビに映ってしまうと……。
飯田)生中継ですね。
宮家)そうすると、やはり政府を追及するのが政治ショーですからね。でも、そのショーと議論の中間ぐらいをやってくれればいいなと思うのですが、どうでしょうか。
本当の議論・審議をしてもらいたい
飯田)今回は「現下の諸課題」という参院のテーマがあります。衆院のテーマは「社会情勢等、内外の諸課題」で、「内外」と入っているので安全保障政策なども入る。
宮家)何でもできるのですよ。何でもできるように書いてあるのですけれど、大体は集中します。集中審議ですからね。
飯田)そういうことになると。
宮家)でも、やられる方は辛い。更に質問を事前に入手しても、それが質問されるという保証はありません。野党側は通告していないことを「突然ですけれど」といって聞くわけです。それは自由ですし、罰するものはないですから。
飯田)突然されても。
宮家)一生懸命、徹夜で100問なら100問の答えを書くのですが、「そんな質問は事前に聞いていない。答弁できません」などと言ったら大変なことになりますから、当然答えは「しどろもどろ」になる。そうすると「ほら見たことか!」とまた批判されるのです。昔はそれで「国会を止めるぞ!」などということがありました。最近は止まらなくなりましたけれどね。方向性としてはよくなっているのですが、やはり「本当の議論・審議をしてもらいたい」という気持ちは、役人の方々にもあるのではないでしょうか。政治家にもそれを望んでいる人たちがいると信じています。
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