「FTXトレーディング」の経営破綻により、暗号資産業界で連鎖破綻が出てくる可能性

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが11月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。暗号資産交換業大手「FTXトレーディング」の破綻について語った。

「FTXトレーディング」の経営破綻により、暗号資産業界で連鎖破綻が出てくる可能性

※画像はイメージです

暗号資産交換業大手「FTX」が破綻、負債7兆円か

暗号資産の交換業大手「FTXトレーディング」は11月11日、アメリカ法人や日本法人を含む約130のグループ会社が、アメリカ連邦破産法11条の適用を裁判所に申請したと発表した。AP通信によると、負債総額は最大で500億ドル、日本円で約7兆円になる見通し。

飯田)兆円規模の負債となると、すごいですね。

「エンロン型の破綻」なのか、「リーマン型の破綻」なのか

クラフト)久々の大型破綻です。過去を遡ると、エンロンやリーマンという会社があります。

飯田)リーマン。

クラフト)よく言われるのが、「エンロン型の破綻」なのか、「リーマン型の破綻」なのかということです。

飯田)それぞれ破綻の型があるのですね。

クラフト)エンロンは不正会計で破綻しています。リーマンはどちらかというと、リスクを取り過ぎて破綻しているので、少し違います。今回は顧客の資金などを横領して貸し出すなど、ガバナンスが効いていない。

これから暗号資産業界で連鎖破綻が出てくる

クラフト)サム・バンクマンフリード氏というのは……。

飯田)30歳のCEOです。

クラフト)暗号資産業界ではスター的な存在だったのですが、一気に犯罪者になりかわるという、映画ができるような話です。

飯田)栄光からの転落と。著名なスポーツ選手ともスポンサー契約を結んでいて、それこそ大谷翔平選手などにギャラは支払われるのか、という話になっています。

クラフト)アメリカンフットボールの有名なクォーターバックであるトム・ブレイディ氏も出資しているとか。

リーマンショックのように世界的な不況を引き起こすような破綻ではない

クラフト)投資もしているという話もあるので、おそらく暗号資産業界では連鎖破綻が出てくると思います。

飯田)連鎖破綻が。

クラフト)問題は金融市場全般、また経済全般にどこまで影響があるのかということです。例えばソフトバンクも100億円近く投資しているわけです。そういう損失もこれから徐々に出てくると思います。リーマンショックのように世界的な不況を引き起こす破綻ではないと言われていますが。

飯田)そこまでではない。

日本での顧客資産は守られている ~日本の規則で、顧客資産を分別管理しなくてはいけない

クラフト)今回よかったのは、金融庁による日本の規制が効いていることです。顧客資産を分離して分別管理させるという。

飯田)世界全体のものとは別に。

クラフト)日本は日本の規則で、顧客資産を分別管理しなくてはいけないため、不正・横領があっても、日本の場合は顧客資産が守られると言われています。おそらく個人投資家の被害はないのではないでしょうか。

飯田)日本法人だけで見ると、負債よりも資産の方が多く、資産超過だと言われていますね。そこからお金を返していけばいいのですか?

クラフト)もともと顧客から預かっているお金は信託で別管理しているので、資産をあてがう必要もないし、顧客の資産が横領されることもない。もちろん、ビットコインや暗号資産に投資していることが推測されますので、いまビットコインの資産価値は下がっているため、投資の目減りはあります。

飯田)値段の変動による損はあると。

暗号資産は投資ではなく、投機と考えなくてはならない

クラフト)暗号資産は投資ではなく、投機として見なければならないのです。

飯田)投機として見る。

クラフト)それを理解した上で行うのならばいいのですが、為替や株式と違って、どうして上がったり下がったりしているのかはよくわかりません。ファンダメンタルズにつながっていない。

飯田)暗号資産の場合は。

クラフト)為替であれば金利差、株式であれば企業収益によって影響されるのですが、暗号資産はどうして上がったり下がったりするのかわからない。突然、暴騰したり、暴落したりします。そういう投機的な意味合いが大きいことを理解して行う分には問題ないのですが、株式と同じだと思い込んで投資すると、今回のように痛い目にあうかも知れません。そこは気を付けた方がいいと思います。

技術としては優秀なブロックチェーン技術

飯田)暗号資産のベースにあるのは、ブロックチェーンという一連の技術ですが、さまざまなところに応用可能なのですか?

クラフト)そうなのです。ブロックチェーン技術は、技術としては経済に貢献する優良な技術なので、決算やサイバーセキュリティなど、さまざまな応用ができる技術です。ただ、ブロックチェーンの技術がビットコインなどの暗号資産に全面的に出てしまっていて、一部では「暗号資産=ブロックチェーン」という認識になっていますけれど、実態は全然違う。そこは切り離して見る必要があると思います。

飯田)送金などの際には使えるということですか?

クラフト)使えます。米軍は既にブロックチェーン技術をサイバーセキュリティに使うよう、法律で定めているのです。

飯田)そうなのですか。

クラフト)ですから、技術としては有能です。変なことに使うと大変ですが、きちんとした使い道があると、今後の経済発展にもつながるということです。

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