キャスターの辛坊治郎が11月28日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。中国で新型コロナウイルス対策として厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策に反対する動きが各地に広がり、中には習近平国家主席の退陣を求めるスローガンも掲げられていることについて、「誰かが仕掛けているのではないか」と持論を展開した。
中国で新型コロナに対する「ゼロコロナ」政策への不満が高まっている。26日から27日にかけ、上海市や北京市など中国各地で抗議行動が相次ぎ、習近平国家主席の退陣を求める場面もあった。
辛坊)中国の「ゼロコロナ」政策に対する抗議活動は今後、かなり警戒しておいたほうがいいと思います。この種のデモは、これまでの中国ではほとんど起きていません。というのも、中国国民は1989年6月4日に天安門事件を経験していますからね。天安門事件は、民主化を求めて天安門広場に集まった若者を中心とするデモ隊を中国共産党政権が戦車まで投入して、抑え込んだ事件です。武力行使により多数の死傷者を出しましたが、その人数はいまだに分かりません。
天安門事件は中国国内ではなかったことになっています。ですから、今の中国の若い人 の多くは天安門事件を知らないのではないでしょうか。今回、中国各地に広がっている抗議デモは、天安門事件を知らないからこそ起こせるのかもしれません。中国共産党政権の恐ろしさに実感がないのかもしれませんね。天安門事件を知っている世代は、中国共産党政権に歯向かうと殺される危険があるという意識がありますから、恐ろしくて抗議デモなどできないと思いますよ。
それにしても、このタイミングで一斉に抗議デモが起きているということは、誰かが仕掛けているのではないでしょうか。現地からの情報を総合すると、抗議デモのスローガンの中には、習近平国家主席の退陣を求めるものや、中国共産党による独裁政権そのものに反対するものも散見されています。これまでの中国であれば、あり得なかったことです。このまま「反習近平」「反共産党政権」が広がっていくと、いつか天安門事件のようなことが起きるのではないかとも感じますね。
習政権はひとまず傍観しているような状況です。しかし、「今、火に油を注ぐことはやめておこう」と、軍隊による武力行使のタイミングを見計らっているようにも思えます。習政権による「ゼロコロナ」政策きっかけに中国全土に広がりつつある抗議デモが、もっと大規模な政権批判や政権転換につながっていくかどうか-。そのときに今の中国政府はどのような態度に出るのか-。大きなニュースであり、目が離せません。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)