地政学・戦略学者の奥山真司が11月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。福井県で実施された地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の訓練について解説した。
PAC3の機動展開訓練を福井県で実施
飯田)地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の機動展開訓練が実施されました。原発のある市町村で行われたのは初めてであり、日本海側での実施も初めてだそうです。
奥山)福井県ですよね。
飯田)おおい町で行われました。
奥山)危機管理関係は「自治体ごとに温度差がありすぎる」と指摘されています。北海道のように、自治体と自衛隊が密接な関係を持っているところは、こういう訓練を積極的にやっていただけるらしいのですが、その辺りがなかなか進んでいない。
各自治体の首長に頑張ってもらい、同様の訓練をしていただきたい
奥山)首長さんの意識に影響されているところがあるのですが、日本全国すべての自治体の首長さんにこういうことをやっていただきたい。現実として、北朝鮮がミサイル発射実験を次々に行っている状況があります。
飯田)そうですね。
奥山)安全保障面で、北朝鮮のペースにこちらが合わせるしかない状況になっているのが非常に恐いです。いまの日本は何もできず、「なるべくミサイルは落ちてこないでくれ」と願うしかない状況が続いています。「このままでいいのか」と思いますね。自治体、特に首長さんには頑張っていただいて、このような訓練をすることが大事だと思います。
有事が起きた場合、「誰もどう対処したらいいかわからない」ことが大きな問題
飯田)安全保障に関して、あるいは危機管理に関しての権限が自治体に分散している形になっている。
奥山)そうですね。
飯田)これを有事でどうするかと考えると、憲法議論になってしまうのですが。
奥山)首長さんの意識や意志1つで、ある程度は変わるのです。ただ、問題は防災とは少し違うということです。防災に関しては既に起こったことですから、震災などに対してリアルに「次はこうしよう」と言えるのですが、我々は戦争を77年間やっていないので、それができないではないですか。
飯田)確かに。
奥山)「実際にこういう事態が起きたときにどうするか」という安全保障の危機を実感していないので、誰もどう対処したらいいかわからない。それがいちばん問題だと常に思っています。
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