旧統一教会問題をめぐる「救済法案の成立」における与野党「3つの思惑」

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ジャーナリストの鈴木哲夫が12月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。旧統一教会の問題をめぐる被害者救済法案について解説した。

【世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会見】会見冒頭、謝罪する教会改革推進本部の勅使河原秀行本部長(左)と福本修也弁護士=2022年9月22日午後、東京都渋谷区 写真提供:産経新聞社

旧統一教会問題をめぐる救済法案 ~12月8日に衆議院通過、10日成立へ

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題をめぐる被害者救済法案について、12月8日に岸田総理大臣が出席し審議を行った上で、衆議院本会議で可決される見通し。政府・与党は今国会の会期を延長せず、会期末となる12月10日の参議院本会議で法案を採決し、成立させる意向だ。

飯田)「立憲も賛成」という形になった。与野党合意ということになると、延長もなく。

鈴木)そうですね。11月の終わりくらいですけれど、一部では立憲の国対が会期内で決着させる可能性もあると言われていました。妥協するわけではなく、スケジュール的にそういうことを言っていたという話も流れていた。おそらく、臨時国会はいろいろ重要な議題やテーマがあったと思うのですね。

旧統一教会の被害者救済法案、与野党合意における「3つの思惑」

鈴木)私は補正予算がすんなり通ったことは不満でした。それこそ相当な議論をしなければならなかったと思うのです。それと、やはり旧統一教会をめぐる救済法案も、非常に大きな山の1つでした。与野党合意の流れになってきた背景には、タイトル的な言い方をすると「3つの思惑」が見えています。

政権浮揚のためにも成立させたい岸田総理の思惑

鈴木)1つは岸田さんの思惑です。そもそも「やらない」と言っていたのです。

飯田)最初は「既存の法律で対応可能だ」と言っていました。

鈴木)自公も、やるにしても継続審議だと言っていたし、岸田さんを含め与党も「やらない」と言っていました。しかし、岸田さんにしてみると、これだけ支持率が下がって世論の高まりがあり、批判があると、やらざるを得なくなった。もしくは、やることによって支持率対策にもなるという計算があったのだと思います。「皆さんの言うことを聞きました」と言うと聞こえはいいのだけれども。

飯田)支持率も下がって。

鈴木)世論に押されて、「やらない」と言っていたものをやっているわけです。「成立させる」と言った以上は政権浮揚のための対策として、とにかく成立させなければならなかったという思惑があります。

法案を通して前に進みたい公明党の思惑

鈴木)2つ目の思惑は公明党です。

飯田)公明党。

鈴木)公明党は、最大の支持母体が創価学会ということもあり、与党側では難しい立場だったのです。自民党の茂木幹事長などもかなり食い込んで対応してきた。

飯田)そうでしたね。

鈴木)公明党としても、ギリギリ譲れるところまで譲らないとならない。「ここまでは大丈夫だ」と法案のなかでもラインを下げて、最後は「これ以上は法律も突っ込めない」、「突っ込まれるとまずい」というギリギリの線でいったわけです。

飯田)ギリギリのところで。

鈴木)公明党もこの法律を早く通してやらないと、前に進めないわけですよ。特に来年(2023年)の……。

飯田)統一地方選挙ですか。

鈴木)そうです。それもあるので、とにかく公明党も妥協点を探って成立させなければという思惑があった。

法案を衆院審議入りさせた野党の成果

鈴木)3つ目は野党です。そもそも岸田さんも自民党もやる気がなかったわけです。なぜ動いたかと言うと、今回は野党の立憲と維新という、どちらかというと対極とは言いませんけれど。

飯田)でも、いままでは水と油のような感じでしたよね。

鈴木)これが戦略的に一緒に組んだわけです。組んだことによって政権を動かし、法律をつくる方向に動いた。これは成果です。

飯田)成果である。

鈴木)岸田さんは最初「やらない」と言っていたのだから、それを「よく野党が動かしたね」という成果なのです。それに対して「まだ納得できない」と言っていると、「法律の成立が遅れているではないか」という、逆世論のようなものが出てくる可能性もあるわけです。

飯田)ここで反対の議論をすると。

鈴木)だから、立憲としても不満だけれど、野党として成果を得たのだから、ここは成立させるのが戦略的にもよいのではないかということです。この3つの思惑が、終盤で一気に成立へ向かっている背景だと思います。

旧統一教会の問題をめぐる被害者救済法案を通すことが「政争の具」になっていないか ~今後も被害者のためになっているかどうか検証を続けるべき

鈴木)私が気になったのは、自民党が「野党の希望をしっかり聞いた」と言っていますよね。

飯田)自民党が。

鈴木)でも、野党の要望を聞くのではなく、被害者の要望を聞いて欲しいわけです。結末を見ていると、「あれ? もしかしたら政争の具になっているのかな?」という感じがするのです。「本当に被害者のためになっているかどうか」という検証は、引き続きやらなければいけないと思います。

「配慮」ではなく「禁止」とするべきだった ~抜け道になってしまう可能性も

飯田)献金に関しての勧誘の配慮義務、これが強制になってはいけないというところですが、「十分に配慮する」という文言に変えたのですよね。

鈴木)これはある種の法律論であり、専門的な部分になってくるわけです。

飯田)そうですね。

鈴木)私たちの日常会話では、「十分に」と付けようが付けまいが大きな違いはないのだけれども、「十分に」と付けたことによって、より縛られる。

飯田)法律上は。

鈴木)そしてもう1つ、今回の条文に書いていなくても、いま国会で議論しているなかで岸田総理が法解釈の答弁をしているではないですか。「法律ではこう書いてあるのだけれども、もっと深い解釈なのです」と答弁している。

飯田)法解釈の答弁で。

鈴木)答弁は議事録に残り、ある程度は縛られていくわけです。だから「条文にはないのだけれど、答弁できちんと言っているから、深い意味があるのです」という説明をする人が多い。

飯田)答弁で言っているからと。

鈴木)しかし、これまでもいろいろな場面で、過去の答弁を平気でひっくり返しているわけではないですか。

飯田)そうですよね。

鈴木)ということは、過去に答弁されたものがどこまで先を縛っていくのかと言うと、曖昧なわけです。だから私は条文にきっちり書き込まなければいけないと思います。配慮か禁止かとなると、「禁止」と書かない以上は抜け道や抜け穴が残ってしまうのではないかと、私の意見としては思います。

飯田)最終的には、裁判所にボールが投げられるような形になってしまうわけですよね。

鈴木)被害者に対応してきた弁護士の話を聞くと、「前には進んだけれども、まだまだ甘い」と言います。どうも今回、最後は政争の具で決着がついたような匂いがするわけです。引き続き進めてもらわなければならないと思います。「不断の見直し」と河野大臣が言っていましたが、これこそ「不断の見直し」が必要だと思います。

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