東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が1月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナ治療薬について解説した。
新型コロナの重症化予防薬 ~「パキロビッドパック」「ラゲブリオ」
飯田浩司アナウンサー)現在、新型コロナウイルス感染症の治療薬として、どんなものが出ているのでしょうか?
尾﨑)いま飲み薬として出ているものは3種類あります。2種類は重症化を予防するための薬です。重症化予防の薬としては、「パキロビッドパック」と「ラゲブリオ」という薬があります。こちらは発病してから5日以内に使うことが原則です。
効果はあるが併用薬の禁忌項目が多い「パキロビッドパック」
尾﨑)パキロビッドパックは効果はあるのですが、併用薬の禁忌項目が多いのと、未だに流通において、認められた薬局や医療機関にしか配られていないので、どこでも使えるわけではありません。
効果は4割~6割の「ラゲブリオ」
尾﨑)一方、ラゲブリオは保険適用になっていますので、流通もよく、手に入りやすい。効果は4割~6割なのでパキロビッドパックに比べると落ちるのですが、使いやすくはなっています。
治療薬「ゾコーバ」
尾﨑)「ゾコーバ」は軽症の方でも使える薬ですが、こちらも併用禁忌がかなりあります。若い方であまり薬を飲まないような方には、問題なく使える薬です。ゾコーバは発病から3日以内に使うと、治験では症状(が出る期間)が1日短縮されたという結果が出ています。
飯田)3日以内に使うと。
尾﨑)5日~6日で感染力を持ったウイルスが減ってきますので、早めに療養解除できる可能性があると思います。医療従事者や介護従事者など、エッセンシャルワーカーの方、社会で重要な働きをしている方々が罹った場合に、ゾコーバを飲めば5日~6日でウイルスが減少しますので、そういう使い方もあるかも知れません。
「2類相当」の見直し
飯田)いま、新型コロナは感染症法上で2類相当となっていますが、その見直しについてニュースなどでも出ています。どうすればいいと思いますか?
尾﨑)今後も延々といまの状態のまま、ということはないと思います。新しい分類に変える必要はあるでしょう。しかし、いきなりインフルエンザと同じように5類に落とすことになると、検査や薬代も有料になります。
飯田)そうですね。
尾﨑)また、病院に対して「病床を確保してください」という命令もできなくなり、いろいろな不都合が出てくる側面もあります。ですから、段階的にステップを踏んで5類相当に持っていく。様子を見つつ、社会的に混乱が起きなければ、「次はここを緩めましょう」という形にしていくのが現実的ではないでしょうか。
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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます