「新型コロナ以外の病気」が急増 その背景に「人流」との関係
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東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が12月26日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。2022年の医療状況について語った。
未だにはっきりとした出口の見えない新型コロナ感染症
飯田浩司アナウンサー)2022年を振り返ってみて、どんな1年でしたか?
猪口)第6波、第7波が来たのですが、一方で重症化率が下がってきました。新型コロナ感染症の「重症化が予防される」もしくは「死亡者が少なくなる」というのが1つの出口になると思っていたので、「出口が見えてくるのかな?」と期待しましたが、まだはっきりとした出口は見えていない感じですね。
人流が増え、新型コロナ感染症以外の病気も増加
飯田)気になる医療の動きや状況などはありますか?
猪口)我々は医療提供体制のところでアラートをかけ、赤色の最大警戒レベルまで上げました。新型コロナ感染症だけでなく、冬場に起こりがちな脳卒中や心臓疾患、あるいはインフルエンザなど、他の感染症も増えているからです。2020年冬には、脳卒中や心筋梗塞や骨折などは増えませんでした。
飯田)そうなのですか。
猪口)なぜかと言うと、2020年の冬は人の出が急に収まったからです。みんな家に留まっていた。不思議なもので、人流が増えれば増えるほど、病気も起こりやすくなるのです。
飯田)感染症だけではないのですね。
猪口)そうですね。動いていると心臓には負荷がかかりますし、いろいろなことで興奮もしますから、血圧が上がりやすくなり、病気を引き起こしやすくなる。不思議な話ですが、そういう傾向があります。
飯田)家を出たときの寒暖差なども、体に負担をかけるのでしょうか?
猪口)そういうことでしょうね。2020年の冬にそれがはっきりとわかりました。「人が外に出ないと通常の病気も減るのだな」ということがわかったのですが、いまは逆に人流が増えていますので、通常通りの病気が増えています。
2020年には起こらなかった通常の病気に加えて新型コロナの感染者にも対応
飯田)通常通りの病気の対応も行い、一方でコロナ発症者の増加にも対応しなければならない。
猪口)そういうことになってしまいます。
飯田)赤い色(警戒レベル)が出るというのも、ある意味そうならざるを得ない。
猪口)「もうそろそろ何とかして欲しい」と皆さんお思いでしょうが、大変なのです。
飯田)お話を伺うと、中身も変わってきているのがわかります。コロナだけでなく、いろいろなところに対応しなければならなくなっている。
猪口)その通りです。
波ごとに違う顔をする新型コロナ感染症
飯田)先生としては、常に新しいことに向かい合ってきた1年でしたか?
猪口)「危機は違う顔をしてやってくる」というのは経済で使われる言葉ですけれど、コロナの波は波ごとに違う顔をしています。今回の第8波と呼ばれるものも違う顔をしている。かつての経験の準備だけでは追い付かないことが必ず起きるのが、新型コロナのすごいところですね。
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