50歳以上の3人に1人が発症する「帯状疱疹」 原因は何か?

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が12月15日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。帯状疱疹の原因と対策について語った。

50歳以上の3人に1人が発症する「帯状疱疹」 原因は何か?

※画像はイメージです

子どものころに感染した水疱瘡の「水痘・帯状疱疹ウイルス」がずっと潜伏 ~成人の9割が保有している

飯田浩司アナウンサー)今回は帯状疱疹について伺います。帯状疱疹は体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが多数集まって帯状に生じるという皮膚の病気です。原因は何なのでしょうか?

森田)帯状疱疹の原因は水疱瘡と同じウイルス、すなわち「水痘・帯状疱疹ウイルス」というものです。このウイルスに感染すると水疱瘡として発症するのですが、主に子どものころに感染した人も多いと思います。

飯田)そうですね。

森田)1度感染すると、そのあともずっと体のなかに潜伏していて、日本の成人の約9割はこのウイルスを持っていることになるのです。

潜んでいるウイルスが、抵抗力が衰えたときなどに再び活性化して帯状疱疹を発症

飯田)潜伏していて、どんなときに帯状疱疹が現れるのですか?

森田)普段は悪さをしないのですけれど、ストレスや疲れ、抵抗力が衰えたときなどに、体のなかに潜んでいたウイルスが再び活性化してしまうのです。その際に帯状疱疹を発症すると考えられています。

赤みや水ぶくれが現れて激痛に ~痛みや感覚異常が数年続く「帯状疱疹後神経痛」になる場合も

新行市佳アナウンサー)注意しなければいけない症状はありますか?

森田)はじめは皮膚がピリピリするような痛みが生じます。次第に赤みや小さな水ぶくれのような症状が現れてきて、激痛になります。皮膚が治ったあとも、痛みや感覚の異常などが数ヵ月~数年にわたって続くことがあるのですが、これを「帯状疱疹後神経痛」と呼んでいます。

新行)数年にわたって続くことがあるのですか?

森田)ありますね。

加齢とともに抵抗力が衰えて、50歳~80歳までに約3人に1人が発症

飯田)帯状疱疹は何歳ぐらいで発症する人が多いのですか?

森田)発症者は50歳代から急激に増加して、80歳ぐらいまでに約3人に1人が発症すると言われています。結局、子どものころに感染したウイルスが体のなかにずっと潜んでいて、年とともに悪さをする可能性が高くなるのです。

飯田)加齢による衰えによるものですか?

森田)抵抗力の衰えによるものと考えられていますね。

50歳以上の3人に1人が発症する「帯状疱疹」 原因は何か?

新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー

発症後、72時間以内に抗ウイルス薬を飲んでウイルスの増殖を抑える

新行)治療法はどのようなものがあるのですか?

森田)帯状疱疹になってしまった場合の治療法は、抗ウイルス薬を飲んでいただくことです。ウイルス自体の増殖を抑える薬で、発症後、72時間以内に飲み始めることが大事です。

50歳以上が接種できる「帯状疱疹ワクチン」の効果

森田)最近は主に50歳以上の人に対して、「帯状疱疹ワクチン」が使用でき、帯状疱疹の発症予防が可能になってきました。帯状疱疹を予防するワクチンには、不活化ワクチンである帯状疱疹ワクチンと、生ワクチンの水疱瘡ワクチンがあります。

新行)2種類のワクチンは、具体的にはどう違うのですか?

森田)不活化ワクチンの帯状疱疹ワクチンですが、これは主に50歳以上の方に2ヵ月~6ヵ月の間隔で2回接種することで、90%以上の発症予防効果が認められています。費用は施設によって異なりますが、1回約2万円です。高めですが、自治体によっては助成を受けられることがあり、健康保険組合によっても助成を行っているところがあるようです。

飯田)助成があるところもある。

森田)帯状疱疹後神経痛の減少率も85%~100%と報告されていて、9年以上は効果が維持されるということなので、比較的、効果があるワクチンだと思います。

飯田)不活化ワクチンの帯状疱疹ワクチンの場合。

森田)もう1つのワクチンは、生ワクチンの水疱瘡ワクチンなのですが、1回の接種で50%~60%の予防効果があり、5年ぐらい効果が持続するということです。これも費用は施設によって違いますが、だいたい8000円前後です。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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