岸田総理の欧米5ヵ国歴訪は「どのような成果」を残したのか
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ジャーナリストの須田慎一郎が1月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。1月15日に帰国した岸田総理の欧米5ヵ国歴訪について解説した。
岸田総理大臣、欧米5ヵ国歴訪から帰国
欧米5ヵ国を訪問していた岸田総理大臣が、1月15日夜に帰国した。帰国前にワシントンで会見を行った岸田総理は、G7が結束して法の支配に基づく国際秩序を守り抜くため連携していくことを確認できたと、成果を強調した。
飯田)フランス、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカを訪問しました。一連の岸田外交をどうご覧になりますか?
須田)2022年末の防衛3文書の改定に伴う防衛費の整備、つまり対GDP比2%のNATO基準を満たすという実効性を盛り込んだところを受けて、アメリカやヨーロッパとの防衛関係や同盟関係を対等なものへ持っていく方向に踏み込んだと思います。実際、そのようなことを背景に、「友好国との関係をどのように強化していくのか」が今回の外遊に大きく関わっていたのではないかと思います。
二国間の関係を相互に結んでいくことによって、最終的には集団的自衛権や安全保障体制を組み立てる
飯田)イギリスとの間では円滑化協定を締結し、フランスとの間でも安全保障協力を進めることを申し合わせるなど、各国との対話のなかに成果はあったと見ていいのでしょうか?
須田)これまでであれば、法の建て付けや運用の点から、やりたくてもできなかった分野だったのだと思います。加えてAUKUS(オーカス)やクアッドなどの関係を結んだのだけれども、実効性の面ではやれるところとやれないところがあり、不十分だった。そこに踏み込んでいけるということで、有機的にワークし始めるのではないかと思います。
飯田)AUKUSはアメリカとイギリスとオーストラリアの枠組みであり、クアッドは日米豪印の枠組みです。NATOのようなものではないけれど、それぞれの分野でつながりのようなものが重なっていく感じですか?
須田)アメリカと日本も、日米同盟や安全保障条約などがありますが、それに続く形で、オーストラリアとも防衛関係を結びました。日本ではそのような報道のされ方はしていませんが、オーストラリアの報道を見ると「日豪軍事同盟」という形で捉えられており、それが本質だと思います。
飯田)なるほど。
須田)このような二国間の関係を相互に結んでいくことによって、最終的には集団的自衛権や安全保障体制を組み立てていこうという戦略です。
「防衛3文書」の改定が大きく踏み出す要因に ~「防衛力整備計画」によって意思を具体化させるための体制が整ってきた
須田)もう1つは防衛3文書の改定です。日本は日米同盟1つをとって見ても、「矛と盾の関係」とよく言われるではないですか。あくまでもアメリカが矛の役割を果たし、日本は盾一辺倒というような。それを日本が両方やるという、いろいろなことが整備されて両方できるようになったということが、1つ大きく踏み出していく要因になったのだと思います。
飯田)3文書にも書き込まれた反撃能力が、具体的な例になるのでしょうか?
須田)そうですね。ただ反撃能力については、「整備します」と言っても、裏付けとなる防衛装備品があるのか、予算が付いているのかを考えなくてはいけません。そこもようやく、向こう5年間で約43兆円という「防衛力整備計画」が出てきました。言ってみれば、意思を具体化させるための体制が整ってきたのだと思います。
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