厚生労働省が語る“働き方改革”の現状と今後!1人1人の意識が社会全体を変えるきっかけに!

By -  公開:  更新:

日本を支える人々にスポットライトを当て、商品の開発秘話や独自の取り組みを紹介する『ニッポン放送ビジネスオンライン』。1月31日(火)~2月3日(金)の放送では、箱崎みどりアナウンサーの進行で、厚生労働省の方から直接、働き方改革にまつわる現状について紹介した。

まずは、厚生労働省・労働基準局の本安氏が残業時間の上限について、未だにその規制が適用されていない業種があることについて解説した。

箱崎 働き方改革、よく耳にします。残業時間の上限が法律で規制されていると理解しているんですが、一部、まだその規制が適用されていない業種があると聞きました。それはどういった業務や業種なのでしょうか?

本安 トラックドライバーなどの自動車運転の業務や、建設業、医師などです。こうした業務や業種では、2024年4月から特例が設けられる形で残業時間の上限の規制が適用されます。

箱崎 そのような業務や業種では、何故働き方改革での残業時間の上限規制の適用が猶予されていたり、適用後も特例が設けられたりしているのですか?

本安 物流やインフラ等の維持のため、自動車運転の業務や建設業などでは、他の産業よりも労働時間が長い実態が見られました。働く方の健康と安全を守るための働き方改革が急務となっております。「働く方の健康と安全」、「物流、インフラの維持」、この2つの重要な課題に対応するため、適用猶予期間を設けた上で、特例をもって残業時間の上限の規制が適用されることとなりました。

箱崎 重要な課題を2つ、バランスをとりながら取り組んでいくということですね。政府は今後、自動車運転の業務や建設業の働き方改革のためにどのようなことを行っていくのですか?

本安 労働時間の改善に取り組みやすい環境作りを行うことが重要と考えております。そのためには、トラックでの荷物の積み下ろしの際の長時間の待機や、建設工事での短い工期での発注など、取引慣行の問題が課題となっていて、その改善には、荷物を送る方、受け取る方、工事を依頼する方といった関係者の方々に加え、国民の皆様一人一人の御理解と御協力のもと、社会全体で取り組んでいくことが必要です。例えば皆様も、荷物の再配達が無料だからといって、自分の都合で何度も再配達を依頼したことはありませんか? 土日にも工事を行うことが当たり前と思っていませんか? 普段の行動が相手の長時間の残業に繋がっている可能性があります。行動を変えるきっかけとなるよう、広く周知啓発していきたいと考えています。

続いて、ドライバー(トラックやバス、タクシーなどを運転する方々)の業務について、今後、残業規制がどうなっていくのか、労働基準局の前田氏に伺った。

前田 トラックなどのドライバーの業務には、時間外労働の上限は原則として1か月45時間・1年360時間まで、特別な場合でも、時間外労働の上限は、1年960時間までといった上限が適用されます。一般の労働者の方の上限とは違って、1か月や、複数の月を平均しての上限は設けられていませんが、その一方で、ドライバーの勤務の間の休息期間などを定めた自動車運転者の改善基準告示が定められています。この基準も見直しが行われ、2024年の4月に時間外労働の上限の規制とともに適用されます。

箱崎 対象となるドライバーの改善基準告示について詳しくご説明いただけますか?

前田 ドライバーの1日の拘束時間の上限や、最低限の休息の時間などを定めたものが改善基準告示です。こうしたルールを守り、ドライバーの長時間労働を減らすためには、運送事業者だけでなく、企業や消費者の皆様の協力が必要です。

箱崎 私たち消費者の協力といいますと……。

前田 私たち消費者は、毎日スーパーや自宅で手にしている商品を届けてくれているドライバーがいることを忘れてはいけません。例えば、宅配便の再配達を減らすなどの取り組みが、ドライバーの負担軽減につながります。ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いします。

箱崎 配達時間の指定などをして、確実に受け取れるように気をつけるようにします。

前田 そうしていただけると負担軽減につながりますね。

さらに、ドライバーの改善基準告示について、その見直し内容と遵守にあたってのポイントついても詳しく伺った。

前田 例えば、トラックドライバーの場合、勤務の間の休息期間については、現行、「継続8時間以上」が、改正後は、「継続11時間以上を基本とし、継続9時間」を下回らない、1か月の拘束時間については、「原則284時間」まで、最大でも「310時間」までとなります。同様に、バスや、タクシーのドライバーにも、それぞれ基準が定められています。改善基準告示の内容については、リーフレットを作成し、周知を行っているところですが、今後、運送事業者のみならず、荷主などの関係者の皆さまにも幅広く周知を行う予定です。

箱崎 荷主とは、具体的にどういった方を指しますか?

前田 例えば、パンを工場からスーパーに運ぶ場合、発注する工場はもちろんのこと、受け取る側のスーパーも荷主となります。

箱崎 荷物の運送を依頼する人、その荷物を受け取る人、両方を荷主と理解すればいいですね。

前田 はい、その通りです。

箱崎 トラックドライバーの拘束時間や休息期間をしっかり遵守するには、どのようにすれば良いのでしょうか?

前田 運送事業者の皆様には労働時間管理をしっかり行っていただく必要があります。また、荷物の積み下ろし時の待機時間を減らすことも重要ですが、そのためには、荷主の皆様にもご協力していただく必要があります。

厚生労働省では、トラック運送事業者や荷主の方に向けて、労務管理や取引環境の改善を無料でお手伝いするための「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」を設置している。詳しくは、「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」をご覧頂きたい。

ここまでは、ドライバーに関することを主に伺ったが、建設業についても解説して頂いた。建設業での残業規制はどのようになるのか――

前田 基本的には一般の労働者の方と同じ規制となっていて、残業の上限は原則として1か月45時間・1年360時間まで、特別な場合でも、1か月45時間を超える残業は年間6回まで、残業時間の上限は、1年720時間まで、残業と休日労働を合わせて、1か月100時間未満、2か月から6か月間の平均80時間以内といった上限が適用されます。

ただし、特例も設けられているとのことで前田氏曰く「災害の復旧・復興の事業を行う場合には特例があり、残業・休日労働の合計が1か月で100時間未満、2か月から6か月間の平均で80時間以内という規制は適用されません」とのこと。

残業規制の円滑な適用に向けて、厚生労働省では今後、どのような取り組みを行っていくのか――

前田 厚生労働省では、中小企業の方々等が生産性を高めながら、労働時間の削減等に取り組めるよう「働き方改革推進支援助成金」での支援や、関係省庁と連携して、工事の期間を適切なものとすることを呼びかけるなどの取り組みを行っています。また、人材確保や資格取得に向けた支援や、労働者への職業訓練、求職者等への就職支援も行っています。さらに、今年4月以降には、「働き方改革推進支援センター」に、建設業の専門的な相談窓口を新たに設置することを考えています。

最後に前田氏は、今後の厚生労働省としての抱負について――

前田 残業時間の上限規制が適用猶予されている業種、業務については、業務の性質や取引の慣行などから、それぞれの事業者の皆様の努力だけでは働き方改革を実現することが難しく、取引先など関係者の皆様、国民の皆様の御理解と御協力が必要不可欠です。厚生労働省としても、社会全体で働き方改革を推進できるよう、取り組んでいきたいと思います。

事業者や関係者だけではなく、利用者を含めた国民1人1人がドライバーや建設業の方々の“働き方改革”について意識し、行動に移すことで社会全体としてより良い労働環境が実現されていくに違いない。

Page top