「トルコ・シリア地震」で日本がするべき支援は「被災者の救助」だけではない 青山繁晴議員が提言

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作家で自由民主党・参議院議員の青山繫晴が2月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。トルコ・シリア地震における日本の支援の仕方について解説した。

「トルコ・シリア地震」で日本がするべき支援は「被災者の救助」だけではない 青山繁晴議員が提言

トルコ地震 警視庁が特殊救助隊と救助犬派遣 警視庁本部で出発式=2023年2月7日午後2時25分ごろ、東京都千代田区の警視庁本部 写真提供:産経新聞社

トルコ・シリア地震で死者1万2000人以上、負傷者5万人

トルコ南部を震源に発生した大地震で被災したトルコ、隣国シリアの当局などによると、死者は2月8日までに両国で計1万2000人以上となった。被災地では懸命の救出作業が続いている。

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岸田総理)引き続き現地のニーズを踏まえ、被害を受けた地域への必要な支援について検討してまいります。また、現時点では在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるとの情報には接しておりませんが、今後も現地の被害状況についての情報収集、そして在留邦人の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

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飯田)既に日本から国際緊急援助隊が向かい、救助活動を始めているとのことです。

被災地をアサド政権が爆撃 ~国際連携で「爆撃を辞めさせる」ことも日本政府の支援

青山)許せない話ですが、シリアは内戦中であり、反政府系が強い被災地をアサド政権が爆撃したのです。

飯田)爆撃まで。

青山)日本ではあまり関心を持たれていませんが、欧米では大変な騒ぎになっています。日本政府の支援は、まず、そういう行動を国際連携でやめさせることです。政府系であろうが、反政府系であろうが、子どもたちが瓦礫の下に埋まり、推測も含めて言うと、瓦礫の下で出産もあったと聞いています。

飯田)そんな報道もありました。

青山)いかに「人々が生活しているところで起きた地震」なのかがよくわかります。その人々を救出する。そして、爆撃などというあり得ないことがシリアで起きているのを止めるのが第一です。

飯田)被災地を爆撃するようなことを。

今後の再建における「鉄筋構造」のノウハウを伝える支援もしなければならない ~鉄筋が入っていないために被害が甚大になったトルコ・シリア地震

青山)24年前に起きたこの地域の地震でも、「建物に鉄筋が入っていないから崩れる」と言われました。日本も阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大きな地震を経験して被害を受けましたが、日本は比較的、地震に強い建物が多いのです。

飯田)そうですね。

青山)震災からさらに耐震構造に変えられています。ところがトルコやシリアでは、高層の建物は別として、一般的な建物はレンガを積んでいるため、鉄筋が入っていないのです。今回のような地震が起きれば崩れ落ちてしまう。

飯田)鉄筋が入っていないために。

青山)それは既に四半世紀前ぐらいから言われていたわけです。事後の支援が足りていない。もちろんトルコ政府・シリア政府の責任がいちばん重いのですが、内戦で手が回ってないところもあります。人々の命はトルコの方もシリアの方も、日本人も同じです。日本人は耐震構造のノウハウを持っているのです。

飯田)そうですね。

青山)阪神・淡路と東日本という尊い犠牲のもとに、どういう鉄筋をどう入れたらいいのか。低層の建物でも、鉄筋が「入っているか、いないか」が人の命に直結することをいちばん知っている国です。

飯田)日本は。

青山)だから、地震のときだけ支援するのではなく、その後の再建の際も支援するべきです。トルコ・シリアでも内戦のあとは再建します。そのときに鉄筋構造にするという支援を行わなければなりません。

支援が「その場限り」になる日本

青山)日本は地震に限らず、支援がその場限りになっているのです。ラオスやカンボジアを歩いていたときに痛感しましたが、日本が建てた小学校がそのあとそのままになって、窓ガラスが割れたままになっている。あるいは日本が供与した教科書がボロボロになっているのです。

飯田)小学校を建設したけれど。

青山)そこに中国が入ってきて窓ガラスを入れたり、中国語の教科書を入れて、ラオスやカンボジアで中国語を普及させようとしているのです。日本には感謝しているけれど、つくっただけだと。日本国内ではそんなこと絶対にしないですよね。「日本が諸外国でやっていることは違う」と、主権者の方々に知っていただかなくてはならない。あれではダメですよ。

飯田)小学校を建てたあとの支援ができていないようでは。

青山)海外に行く場合、大臣、副大臣、政務官は想定問答集を持たされ、現地で日本語で紙を読み、それを通訳してもらう。通訳したら、例えば「日米同盟は大事ですか?」「大事ですね」と。でも、それは当たり前です。「地震になったら支援が必要ですよね?」というのも当たり前でしょう。そうではなく、全議員が自発的に自弁で行くべきなのです。

飯田)国の費用に頼るのではなく。

青山)今回、私は17日間、海外を回ってきましたけれど、すべて自費なので想定問答集はありません。役人に差配されず、行動は自由。連携はするけれど自由に発言します。そうでないと本当のことはわかりません。

被災者の救助だけで終わってはいけない

青山)今回も、「地震のときだけ救出に協力しましょう」ではなく、そのあとのことまで関わっていかなければならない。「内戦はあなたの国の勝手でしょう」ではなく、内戦が収まるように行動するべきです。世界で日本ほど信頼されている国はないのですよ。これは本当です。客観的事実として、信頼されている日本が入っていくと、よき影響があるのです。特にトルコは大の親日国です。

飯田)中東の国々もヨーロッパの人たちが来ると、過去のいろいろなこともありますし。

青山)パレスチナ紛争もフランス、イギリスのせいですからね。

飯田)そこへ日本が行くことはまったく別の意味がある。

青山)中国などは「日米べったり」と言うけれども、現実に1月の大半を使って私は世界を歩きましたが、そんなことは言われませんでした。むしろ「アメリカを諫めてくれるのは日本しかいない」という期待も強いし、安保3文書の改定や反撃能力に対しても、そういう解釈が多かったです。スウェーデン、オーストリア、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカを回ってきましたけれど、アメリカの受け止めも含めて、「日本はもっとものを言って欲しい」と言われました。

飯田)やっと日本がものを言ってくれるようになったかと。

青山)「ものを言えるようになるのではないか」という段階なのです。まだ言っていないですよ。

飯田)期待の部分もあるわけですね。

青山)それに応えなければいけない。まずは、日本の国際緊急援助隊が現地入りしていますが、子どもたちや弱者が瓦礫の下にいらっしゃるのを助けることが第一です。しかし、「そこで終わってはいけない」と考えるべきです。

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