ウクライナ情勢の影響によるエネルギー不足で「BEVよりもハイブリッド」となる可能性も 佐藤恒治次期社長の手腕にかかる「今後のトヨタ」

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ジャーナリストの佐々木俊尚、岩田明子が2月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。トヨタ自動車名誉会長である豊田章一郎氏の死去について解説した。

ウクライナ情勢の影響によるエネルギー不足で「BEVよりもハイブリッド」となる可能性も 佐藤恒治次期社長の手腕にかかる「今後のトヨタ」

会見で記念撮影に応じるトヨタの佐藤恒治次期社長(中央)、中嶋祐樹次期副社長(右隣)、宮崎洋一次期副社長(左隣)=2023年2月13日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

豊田章一郎さん死去

トヨタ自動車創業者の長男で、海外生産拠点を強化し世界トップクラスの自動車メーカーに育てた名誉会長の豊田章一郎氏が2月14日、心不全のため亡くなった。97歳だった。

「世界のトヨタ」の基盤をつくった

飯田)今朝(15日)の朝刊各紙には、アメリカ進出をはじめさまざまなエピソードが掲載されています。

佐々木)80年代にトヨタの社長に就任し、GMと合弁して北米生産を始めました。私は子どものころ、豊田市に住んでいたのですよ。

飯田)そうなのですか。

佐々木)父親がトヨタの工場に勤めていました。あのころはまだ、愛知県の三河にある「田舎の会社」という感じでした。しかし、GMとの合弁を始めたころから、一気に「世界のトヨタ」になっていくのです。豊田章一郎さんはその基盤をつくった人です。

トヨタ独自の生産方法を確立

佐々木)「かんばん方式」とも呼ばれる「ジャスト・イン・タイム生産方式」を世界に広め、その基盤をつくった豊田章一郎さんを継いで、先日、社長を退いた豊田章男さんが世界一の自動車メーカーにした。そのように2代続いて世界一に発展させた功績者だと思います。

飯田)いまに続くものを。

トヨタがEVで巻き返せるかどうか ~厳しい戦いを強いられる佐藤恒治次期社長

佐々木)一方、この先「トヨタがどうなるのか」ですが、50代の若い佐藤恒治さんが次期社長に決まりました。今後、かなり厳しい戦いを強いられると思います。

飯田)豊田章男さんを継いで次期社長に決まった。

佐々木)テスラなどに追い上げられていて、電気自動車(EV)に切り替えるというような話になってきています。しかし、日本のメーカーは「完全なEVよりもハイブリッドだろう」とか、前社長の章男さんは「水素だ」と言っていました。

飯田)そうですね。

佐々木)水素もハイブリッドも正しい方向性だったと思うのですが、欧米中心のグローバル市場だと、「それは違う」と言われてしまう。否定されてしまって水素もなかなか進まず、ハイブリッドについても、やはりBEV(バッテリー電気自動車)だろうという話になってしまった結果、そちらに引きずられているところがあります。果たしてトヨタがEVで巻き返せるかどうかは、難しいところです。

ウクライナ情勢が長く続き、エネルギーが足りなくなれば、「BEVよりもハイブリッドだ」と戻される可能性はなくはない

佐々木)今回のウクライナ侵攻で、エネルギー問題が急浮上しているではないですか。実際、いま日本で走っている車のすべてがEVに切り替わったら、電力がまったく足りなくなると言われています。

飯田)いま、すべての車がEVになったら。

佐々木)「その状況をどうするのか」と章男さんは言い続けていました。ウクライナ侵攻の事態が長く続いたら、この問題はそう簡単には終わりません。「それならば、やはりBEVよりもハイブリッドだ」という考え方に戻される可能性もなくはない。欧米も「EVだ」と言っていたわりには、エネルギーが足りていません。

飯田)欧米でも石炭を燃やしているではないかと。

この状況をどう判断して舵取りしていくのか ~トヨタ次期社長の手腕にかかる

飯田)もはやトヨタ一企業の話ではなくなっています。

岩田)世界の話になっていきますので、これからも電力不足は続くと思います。「EV化」という、自動車業界で100年に1度と言われる大変革期に直面したものの、ウクライナ侵攻でまたハイブリッドや水素が見直される可能性が出てくる。

飯田)ウクライナ情勢が続いて。

岩田)この状況をトヨタが「どう判断して舵取りしていくのか」は、まさに次の若い社長の手腕にかかってくることになります。

飯田)働いていらっしゃる方もたくさんいますし、経済そのものの話になってきます。

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