LGBT法案について安倍元総理と話していたこと 有本香

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ジャーナリストの有本香が2月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。LGBT法案について解説した。

LGBT法案について安倍元総理と話していたこと 有本香

第201通常国会の閉会を受け、会見で記者団の質問に答える安倍晋三首相=2020年6月18日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

LGBT法案をめぐる非公式会合で、議論再開時期決まらず

岸田総理大臣が自民党内での議論を進めることを指示した「LGBT理解増進法案」をめぐり、萩生田政調会長は2月17日、これまで党内や超党派で議論を進めてきた稲田元政調会長や古屋元国家公安委員長らと非公式に会合を開いた。出席者によると、党内で議論を再開する具体的な時期については結論が出なかったという。

飯田)超党派で進めるということでしたが。

2016年にLGBTのための特命委員会を立ち上げ ~その趣旨は「理解を増進していこう」というものだった

有本)意外に歴史があるのです。2016年に自民党がLGBTのための特命委員会を立ち上げて、その初代会長が古屋圭司さんでした。

飯田)古屋元国家公安委員長。

有本)2016年に古屋さんが会長として立ち上げたということで、当時、私が出演していたネット番組に来ていただき、趣旨を伺いました。

飯田)番組に出ていただいて。

有本)2016年当時、その趣旨は「理解を増進していこう」というものだったのです。何かを禁止するわけではなく、性的少数者は一定数いるので、そういう方々に対して無用な偏見が生まれないように、カミングアウトなどしなくてもいいように社会が包摂していく。「理念法として、そういうものがあってもいいのではないか」というお考えだったのです。

2021年に稲田元政調会長が中心になり、内容が変化

飯田)2016年当時は。

有本)それがいつの間にか変わってきた。一昨年(2021年)、稲田元政調会長を中心に、どちらかと言うとラディカルな法案が出るのか出ないのか、という方向になったのです。

「性自認」と「差別は許されないのだ」という文言がジョイント ~アメリカで起きているトラブル

有本)「自民党内の会合で怒号が飛んだ」と複数の人が言っているのですね。このときのポイントは何かと言うと、「差別は許されない」という文言がポイントだと言っているのですが、前提としてあったのは、「性自認」を含むかどうかなのです。

飯田)性自認を含むかどうか。

有本)つまり、性的指向と性自認は現実には違います。性自認も含め、「差別は許されないのだ」という文言がジョイントすることで何が起きるかと言うと、アメリカでも実際に起きていますが、肉体的には男性である人が性自認、つまり気持ちは女性だということで、女性の更衣室などに入ってくるのです。こういうことによるトラブルが起きかねません。

女性たちが女性の更衣室に「性自認が女性」の人に「入られては困る」と言った場合、法律を盾に「差別だ」とされたらどうなるのか

有本)そこで女性たちが「それは困る、やめて」と言った場合、法律を盾に「それは差別だ」と言われてしまったらどうなるのか、ということです。

飯田)法律を盾にして。

有本)いままでの私たちの日常からかけ離れた事態も起きかねないのではないかと予想されます。

飯田)我々からすると常識からかけ離れているように見えるけれど、問題はそれが実際に起こっていることですよね。

有本)既に日本でも類するようなことが起き始めています。いまは法律がないので、それは違法だという話で終わりなのですけれど。迷惑行為のような扱いになっているわけです。

LGBT法のようなものが行き過ぎた現象を生んでいるアメリカ ~周回遅れで日本が追って行って何になる

有本)アメリカではむしろ、いわゆるLGBT法のようなものが「行き過ぎた現象を生んでしまっている」ということで、揺り戻しが起きているのです。

飯田)揺り戻しが。

有本)日本がそれを周回遅れで追って行くことに何の意義があるのか、きちんと議論して欲しいですね。報道する際にも、「差別は許されないという文言が問題になっている」と言うと、一般の方々は「差別は許されない」ということは「いいではないか」と感じてしまうではないですか。

飯田)そうなりますね。

有本)そうではなく、前提としていま申し上げたようなことがある。これが一緒になっていくと、とんでもないことを誘発しかねないのです。

安倍元総理「世界的にLGBTを利用した大変な政治闘争が起きている」

有本)これは夕刊フジにも書きましたし、これから発売される雑誌にはもう少し詳しく書いているのですが、一昨年、自民党で話が紛糾した直後に、亡くなった安倍元総理とこの件について話したことがあるのです。

飯田)安倍元総理と。

有本)安倍さんからその話を振られて、話しました。安倍さんが当時おっしゃっていたのは、これは性的少数者への理解を進めていこうなどという流れではなく、世界的にLGBTを利用した大変な政治闘争が起きていると。

最も犠牲になりやすいのは子どもたち ~深い理解を持って議論されているのか

有本)最も犠牲になりやすいのは、子どもたちではないかとおっしゃっていました。アメリカのティーンエイジャーのなかでは「性自認を最大限尊重しよう」と、ティーンエイジャーであっても、「自分は生まれつきの性別と違うかも」と思ったとき、名前を変えたいとかホルモン治療をしたいと考えた場合、親も止めることができないような状況が起きているのです。

飯田)そうなのですね。

有本)あるいは学校で過度な教育がされている。子どもたちがその後の人生で、いずれ後悔してしまうようなことが起きてはいないか。「その辺りを十分に懸念として入れる必要があるよね」とおっしゃっていたのです。安倍さんはそんなことまでご存知なのかと驚きました。そういう深い理解を持って議論されているのかどうかということです。

飯田)社会の有り様を変えるかも知れないことを。

慎重な上にも慎重を重ねて議論しなくてはならない ~社会を一変させるきっかけになりかねない

有本)メディアもそういうことをあまり伝えないまま、上澄みだけを掬って「差別はいけない」というような話になってしまう。それは「どうかな」と思います。

飯田)差別がいけないのは当然ですし、誰も反論するものではないけれど、つなげる文言によっては難しい。

有本)性自認と簡単にはつなげられないと思います。

飯田)スポーツの現場でも、性自認は女性であるけれど、男性として生まれた筋肉を持っている人がいます。

有本)骨格や筋肉が。

飯田)その方がスポーツ大会に出て、圧倒的な成績を収めてしまうということが、実際にアメリカの水泳などでも起きてしまっている。

有本)社会を一変させるきっかけになりかねないのです。慎重な上にも慎重を重ねて考えなくてはいけないけれど、どうも軽薄な流れで議論が進むのではないかという懸念があります。

日本は元来、同性愛などについて寛容な社会 ~日本らしい形式を持つべき

有本)日本は同性愛などについて、もともと欧米社会と違い、とても寛容な社会であったわけです。

飯田)かつて欧米社会のなかでは、キリスト教の教義など……。

有本)宗教的な禁忌ですからね。日本は戦国時代から名だたる武将も「バイセクシャルだったのですか?」という話なわけです。

飯田)衆道というものがありました。

有本)社会の成り立ちがそもそも違うのです。欧米ではこうだとか、他の国や先進7ヵ国(G7)ではこうだなどと言っても始まりません。日本では日本らしい見識を持つべきです。本当に法律にしなくてはいけない問題なのでしょうか。

飯田)国ごとに違うのも多様性なのではないかと。

有本)そこも含めて多様性と認識すべきではないかと思いますし、そう思っている自民党の議員も多いはずです。

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