日本が先端半導体の国産化を目指す「いくつかの理由」 ラピダスが千歳市に新工場建設へ

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ジャーナリストの佐々木俊尚が3月1日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。日本の主要な企業8社が出資し、先端半導体の国産化を目指す「Rapidus(ラピダス)」について解説した。

日本が先端半導体の国産化を目指す「いくつかの理由」 ラピダスが千歳市に新工場建設へ

記者会見後、写真撮影に応じる「Rapidus(ラピダス)」の小池淳義社長(左)と東哲郎会長=2022年11月11日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

「Rapidus」 ~先端半導体の国産化へ

日本の主要企業8社が出資し、先端半導体の国産化を目指す「Rapidus」の小池社長が2月28日、北海道庁で鈴木知事と面会し、量産化に向けた新工場を北海道千歳市に建設することを正式に表明した。

新行)トヨタ自動車やNTT、ソニーグループなどが出資する「Rapidus」は、自動運転や人工知能(AI)など、次世代の産業に欠かせないとされる「2ナノメートル」の先端半導体を4年後の2027年を目処に量産化することを目指しています。

佐々木)久しぶりに半導体の話をニュースで扱っているなという感じです。日本が半導体の先端国家だったのは80年代くらいまでで、そのあとは台湾や韓国などにすっかり抜かれてしまいました。現在の半導体のリーディングメーカーは、1位が台湾の「TSMC」、2位が韓国の「サムスン」です。この「2ナノメートル」というのは、実はすごい技術なのです。

超先端「2ナノ」半導体を約5年で生産へ

佐々木)現状出回っている半導体は7ナノメートルで、先端的なものは5ナノメートルです。世界最先端のリーディングメーカーであるTSMCが、2025年から「2ナノメートル」の製品の量産を予定していますが、それと同じものを、日本のRapidusがつくろうとしているのです。

新行)2ナノメートルのものを。

佐々木)ただ、専門家の間でも「本当にできるのか?」と言われています。日本は半導体産業から撤退して長い年月が経ってしまっているので。

新行)撤退してから。

佐々木)TSMCでさえも2020年くらいから開発を始めて、5年かけてつくると言っているのに、日本がTSMCとほぼ同じ約5年でつくれるのかと、専門家のなかでも疑問を感じている方はいらっしゃるようです。

経済安全保障の観点からも日本でも半導体をつくれた方がいい ~中国の台湾侵攻も視野に入れ

佐々木)そう言いながら、もう1つ大事なのは、日本では経済安全保障の観点がとても重要になってきています。TSMCは台湾のメーカーではないですか。もし中国が台湾侵攻を起こしたらどうなるのか。台湾侵攻は2025年~2027年ごろに起きるのではないかと言われています。もしそうなってしまったら、半導体供給が止まってしまう可能性があるのです。

新行)台湾侵攻が始まったら。

佐々木)経済安全保障の観点から、政府も言っているように「日本でもある程度、半導体をつくれた方がいいのではないか」という、ごく真っ当なロジックなのです。しかも、台湾が侵攻されるかも知れないと言われている2027年と同じ時期に重なるのは、偶然の一致なのか、それとも政策的な判断なのか。そこは少し気になるところではあります。

半導体をつくるための素材や製造工程に使う機械を輸出している日本 ~中間財に強い日本

佐々木)「つくれるのか、つくれないのか」という議論でもう1つ言われているのが、TSMCにしろサムスンにしろ、彼らは半導体そのものをつくる技術は持っているのですが、TSMCやサムスンに対して素材や製造工程に使う機械を輸出しているのは日本なのです。

新行)素材や製造工程に使う機械を輸出しているのは。

佐々木)ですから、日本がいないと半導体製造は成立しません。日本はいま、そういう国になっているのです。「世界的な電機メーカー」という分野では、日本は敗戦したと言われています。昔のように、海外のホテルに行くと必ずソニーのテレビが置いてあるような時代ではなくなってしまった。

新行)そうですね。

佐々木)でも実際、iPhoneもそうですが、日本が部品やモジュールを供給しているケースは多いのです。中間財と言いますが、「最終財」と「中間財」、「原材料」の3つがあります。中間財はいわゆる部品やモジュールですね。原材料から中間財になって、それが最終財に変わる。最終財をつくるのは、もはやアメリカや韓国や中国になりつつあるのですが、中間財は日本が圧倒的に強いのです。

新行)なるほど。

佐々木)日本は目立たないけれど、世界の製造業を支える国になってきている。それで食っているのが現状です。

新行)現状は。

佐々木)ですので、仮にTSMCが稼働しにくくなるような危機的状況になったとしても、日本の素材製造能力や加工装置製造能力があれば、最終消費財である半導体もつくれるようになるのではないか、という議論があるわけです。「やれるのならば、やってみようではないか」という心意気は応援したいと思いますね。

トヨタやソニーなどが全力で頑張れば可能

新行)半導体の製造工程は、なかなか複雑だと言われていますよね?

佐々木)半導体の話は、ものすごく複雑で難しいです。

新行)そうですよね。

佐々木)日本は20年くらい、この分野から撤退していて、かなり世界の最先端から離れてしまっているところがあります。いまさら追いつくのも大変だと思うのですが、やってもいないことを「できない」と言っても仕方がありません。やってみようと言うなら、みんなで後押ししましょうと。それもトヨタやソニーなど、錚々たるメンバーですので、全力で頑張ればできるのではないかと、我々としては期待するしかないと思います。

TSMCを中国に奪われてはならないアメリカ ~アメリカが台湾を守る理由

新行)経済安全保障の観点から言うと、アメリカが対中半導体輸出規制の強化へ舵を切っているのも気になるところですが。

佐々木)アメリカが台湾を守ろうとしているのは、そこに理由があるのです。TSMCはスマートフォンやパソコンなど、あらゆるものの基盤になっています。自動車もそうですよね。半導体なしには世界の産業が成り立たない状況ですから、TSMCを中国に奪われるようなことになれば、大変なインパクトが起きます。アメリカも守らなくてはならない。ですからウクライナとは違い、アメリカには台湾を守る理由があるのです。

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