中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が3月3日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。新型コロナウイルスを季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げたあとの医療費について解説した。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを「5類」に引き下げたあとの医療費
新行)新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げたあとの医療費について、どうご覧になりますか?
野村)どんな感じになるかですね。
新行)政府がウイルス検査や陽性確認後の外来診療を原則として、自己負担とする方向で検討していることがわかりました。自治体と調整した上で、3月10日にも正式決定されるようです。
野村)「新型コロナがどのような病気なのか」ということがわかってきました。感染後の症状が2つに分かれるのです。
新行)2つに。
野村)1つは、風邪のような感じで治ってしまう人がいる。つまり感染はするけれど、軽症で済む人がいるわけです。しかし一方で、基礎疾患がある人や高齢者の方の場合、感染すると重症化するリスクがまだ残っている。それを食い止めるために、薬を処方する必要性がある病気だとわかったわけです。
重症化した人の高い治療費をどのタイミングで有料にするのか
野村)前者の人たちの場合、風邪やインフルエンザのときには通常、自分で数千円のお金を払って、それなりの治療を受けてみんな治っているという状況です。そのため、ここは無料にしなくてよいのではないかという議論になってきているわけです。
新行)軽症で済む人の場合。
野村)一方で、重症化しそうな方々に対しては、いま投与している薬がかなり高いので、これを3割負担や1割負担の形にすると、「高額すぎる」という話が出てくるのだと思います。
新行)重症化した方へ投与する薬は。
野村)これについては「当面、無料での提供を続ける」と言っていますが、次はそれをどんなタイミングで有料にするのか、また議論しなければいけないのです。
「新型コロナ患者に対する治療を拒んではいけない」というルールもセットで
新行)2類相当から5類に移る際の移行期間ということですよね。
野村)新型コロナは、これまで治療を受けられる病院が限定されていたのです。新型コロナを診る病院が限られていたけれど、今後は街のクリニックのどこでも受けられることになります。
新行)5類になれば。
野村)我々がインフルエンザになったときは、いろいろなところで治療を受けることができます。しかし、(新型コロナに関しては)本当に可能なのかという問題があります。
新行)どこでも治療を受けられるはずなのに。
野村)新型コロナになった人がたくさん来ると、「他の患者さんが怖がって来なくなってしまう」と嫌がる医院が出るのではないかということです。そういう対応をされると治療を受けられなくなってしまうので、今回は「新型コロナであることを原因として、治療を拒んではいけない」というルールもセットにしようとしています。
「病床確保料」をどのようにしてやめていくか
野村)これまでは、新型コロナの入院患者を受け入れる病床を確保した医療機関には、「病床確保料」と呼ばれる交付金が支払われて、大きな額になっていたのです。これを早くやめてもらわないと、財政負担が大きくなってしまう。ただ、これまで交付金を受けていた人たちからすると、既得権化しているところもあります。「それをどうやってやめていくのか」ということも重要な論点になると思います。
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