戦狼外交から「関与する外交」に修正を試みる中国の狙い

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が3月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。習近平国家主席のロシア訪問について解説した。

戦狼外交から「関与する外交」に修正を試みる中国の狙い

<中国主席がロシア訪問>2023年3月20日、握手を交わす中国の習近平国家主席(左)とロシアのプーチン大統領=モスクワ(タス=共同)

ロシアを訪問した習近平氏の狙い

飯田)岸田総理がウクライナ訪問から帰国しましたが、ウクライナ情勢に関する中国の動きについて、木更津市にお住まいの“シュリンプ”さん(58歳)からのメールです。「中国とロシアの会談がとても気になります。アメリカをいろいろな意味で追い抜いてしまったら、日本はどうすればいいのでしょうか。EUは本当に力になるのでしょうか」といただきました。

宮家)岸田さんがウクライナに行っているときに、習近平さんはモスクワに行っていました。プーチンさん側が来て欲しかったのだろうと思います。

戦狼外交から「関与する外交」に修正

宮家)いろいろな見方があると思いますが、中国の外交は確かに変わってきています。少なくともアプローチの仕方が違う。いままでは「戦狼外交」で、自己主張ばかりしていました。しかし、それを言えば言うほど、敵が増えて孤立していったわけです。

飯田)戦狼外交を行った結果。

宮家)「そういうことはやめよう」と考えた人がいるようですね。去年(2022年)の共産党大会後の動きを見ると、人が代わったせいもあるのでしょうけれど、「戦狼外交はうまくいっていない」ことがわかったため、私なりの言葉で言わせてもらえば、関与する外交を試みるようになったのだと思います。

飯田)関与する外交。

宮家)本来、外交とは関与することであり、相手を批判すればいいというものではないのです。水面下でプロの外交により情報を交換し、説得して合意を持つことで、その国の立場や威信を高める。その一環として、いま彼らの頭のなかにあるのは「仲介外交」ではないでしょうか。

ロシアとウクライナとの争いに和平案を提案 ~ロシアが勝っても負けても困る中国

宮家)中国はウクライナ戦争に関して、12項目の和平案を出したではないですか。まったく和平案になっていないのだけれど、今回はそれを引っ提げて交渉、仲裁に行ったわけです。しかし、あの内容では仲裁なんて無理ですよね。

飯田)あの和平案では。

宮家)中国はいま、実は若干困っていると思うのですよ。なぜなら、ロシアが負けてしまったら大変なことになりますよね。

飯田)そうですね。

宮家)負けたら次は中国ですから。だからと言って、ロシアが勝っても「中国が加担したからだろう」と言われてしまう。だから、中国にとってはウクライナ戦争が消えてなくなることがいちばんいいのです。しかし、消えてなくならないではないですか。

飯田)終わる兆しは見えません。

宮家)どうすればいいかを考えると、これ以上悪くならないように、どちらにもつかない形で停戦に持っていくことです。そうすればアメリカはヨーロッパで忙しくなるし、その分、インド太平洋に来なくなるからこちら側で一息つくことができる。それが中国にとって最も利益になると思っているのでしょう。

どちらにもつかない形で停戦に持っていこうとする中国 ~国益を最大化するためにうまく立ち回り始めた

宮家)このままいけば消耗戦になります。ウクライナも大変だろうけれど、ロシアも苦しいですから、中国には「最新鋭の武器を送ってね」と言いたくなるわけです。しかし、習近平さんが「いいよ」などと言ったら、欧米と喧嘩になります。

飯田)中国が。

宮家)中国はロシアが好きではないのですよ。アメリカとは喧嘩したくないけれど、アメリカはけしからんと思っているわけです。だから習近平さんは頼まれても「でもね、でもね」と言って誤魔化すわけですよ。

飯田)「(武器を)送りたいのですよ、送りたいのですけれど」と。

宮家)今回発表された寄稿文や共同声明などを読むと、その意識が表れています。中国はとても賢い外交をするようになった。少なくとも前よりはよくなりました。それでも仲介はできないのだけれど、「中国の国益を最大化するためにうまく立ち回り始めたな」という気がします。

日本の決意を表明した非殺傷装備品の供与

飯田)意図したかどうかわかりませんが、岸田総理はウクライナへ行き、非殺傷装備品を出すのだと言った。好対照な感じですね。

宮家)非殺傷だけれど装備品を出す。要するに兵器ですよね。これもすごいことなのです。

飯田)いままでから考えると。

宮家)日本の決意をしっかりと表明した。いろいろなことを言う人がいますが、この表明は大事だったと思います。

林外務大臣の国連での演説

飯田)ウクライナ側も日本には「復興についても期待している」というメッセージを出しました。

宮家)日本が最も得意なところです。そのためには戦争が早く終わらないといけないのだけれど、中途半端に終わらせてしまうのは、間違ったメッセージを日本の近所にいる独裁者にも出すことになるからダメです。

飯田)林外務大臣も国連で演説した際、「ある常任理事国があなたの国を侵略し、領土を奪ったあとで敵対行為を停止し、平和を呼びかけてきたとしたらどうだろうか」と問いかけ、「私はこれを不当な平和と呼びたい。このような行為が許されるのであれば、それは侵略者の勝利となってしまう」と演説しました。この話は筋が通っているなと思います。

宮家)巧いこと言いますね、響くと思います。

 

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