陸自ヘリ事故 なぜ「メーデー」の交信もなく消えたのか
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国際政治学者で慶應義塾大学教授の神保謙が4月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。沖縄県・宮古島周辺で消息を絶った陸上自衛隊のヘリコプター「UH60JA」について解説した。
多用途ヘリコプター「UH60JA」
4月6日、沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊の第8師団長など10人が乗った多用途ヘリコプター「UH60JA」が行方不明になった事故で、陸上自衛隊は12日も周辺海域の捜索を続けたが、乗員の安否は依然不明。海に沈んだとみられる機体の主要部分は未だ見つかっていない。
飯田)海底はサンゴ礁が多く、捜索が難航していると報じられています。もう1週間が経つのですね。
坂本雄一第8師団長 ~かつて外務省・欧州局の担当を務めていた
神保)今回、行方不明になっている坂本雄一師団長ですが、私も一緒に仕事をしたことがあります。約20年前に坂本さんが陸上自衛隊から外務省の欧州局に出向して、外務省で働いていた時期がありました。そのときに日・OSCE共催会議の事務局を私がやっていて、欧州局の担当が坂本さんだったのです。深夜まで実直に働き、ユーモアを忘れず、いろいろな形でロジスティクスを完璧にこなす大変優秀な方です。今回、陸将に昇進されて第8師団長になりましたが、まさに西部方面隊の中核ですよね。
飯田)そうですね。
神保)熊本に司令部があるのですが、有事の際には南西諸島に展開していく中核を任されたということで、本当によかったなと思っていました。その矢先に事故が起きてしまい、大変、心を痛めています。
飯田)OSCE(欧州安全保障協力機構)は、ウクライナ情勢でもよく出てくる言葉です。
神保)日本もOSCEとの関係を深めながら、ヨーロッパにおける信頼醸成、各国がどんな形で軍事情報・安全情報を公開したり、軍同士の協力を深める方法を学んでいくようなセミナーを開いていたのですが、それを坂本さんが担当されていた時代がありました。
なぜ「メーデー」の交信もなかったのか
飯田)第8師団長として着任されたのが3月末ですので、まずは各部隊を実際に自分の目で見て把握している真っ最中でした。
神保)そうですね。九州もさることながら、機動展開していく南西諸島の地形がどういう状況になっているのか、自分の目で確認したいということで、低空も含めて確認する作業をヘリコプターから行っていた矢先の事故だったという印象です。
飯田)さまざまな憶測が事故直後に飛んでいましたが、いまのところ外的要因、撃墜などの可能性は低いと言われています。
神保)撃墜された可能性はかなり低いと思います。爆発音や破片が散らばるような状況はなく、状況証拠からすると事故だった可能性が極めて高い。
飯田)そうですね。
神保)ただし、交信が終わったあとの2分間でビーコンの信号がなくなったということです。一体何が起きたのかが把握できない。特にUH60という信頼性の高いヘリコプターが、このような短時間で、なぜメーデーの交信もなかったのか。この辺りは少し不可解に思っているところです。
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