「米機密文書流出問題」が及ぼす台湾問題への大きな影響
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元統合幕僚長の河野克俊が4月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。アメリカの機密文書流出問題について解説した。
アメリカの機密文書流出問題、州兵の男を逮捕
米CNNテレビによると、アメリカの機密文書がSNSに流出した問題で、捜査当局は4月13日、マサチューセッツ州の空軍州兵ジャック・テシェイラ容疑者(21)を逮捕した。
2013年に起きた「スノーデン事件」
飯田)ワシントンポストがスクープで報じていますが、日本時間の夜に逮捕に至ったということです。情報管理についてはいかがですか?
河野)日本においても情報管理には問題があって、最近も海上自衛隊の1等海佐が特定秘密をOBに洩らした事件がありました。あるいは「スノーデン事件」もありましたよね。
飯田)2013年にありました。
河野)いまは想像を絶するようなネットワークの時代になっています。日本も含めて、アメリカも十分に対策を講じなくてはいけないと思います。
飯田)エドワード・スノーデン氏の場合は、米国家安全保障局(NSA)の職員でした。ある意味、内部の人間で権限もあったため、そこで得た情報が流出したということです。
河野)同盟国の関係で、日本の秘密情報の管理には問題があると、アメリカからよく言われます。しかし、元締めのアメリカがこういう状態になってしまうと、「どうなっているのだ?」と思いますね。
州兵と連邦軍の兵士との違い
飯田)そもそも、よく我々が目にする海軍や陸軍などが所属する連邦軍の兵士と、州兵にはどんな違いがあるのでしょうか?
河野)州兵という感覚自体が日本にはないと思います。都道府県が軍隊を持っているようなものです。アメリカは合衆国なので、外交での防衛は国が合衆国として行うのですが、内政については州が権限を持っていて、州ごとに法律やシステムが違うのです。
飯田)アメリカはそうですね。
河野)州に大きな権限があり、州が軍隊を持っている。ただし、州兵は州の兵士であって、基本的には国としての機密や極秘事項には触れません(※編集部注:テシェイラ容疑者は業務上必要なため、機密情報へのアクセス権限があった)。
飯田)よく言われるのは、州兵の人たちを中心に合衆国を守り、合衆国の軍隊は外に展開していくようなイメージがあります。
河野)場合によっては、州兵も外に出ることがあるかも知れませんが、基本的にはありません。
飯田)今回流出した情報は、ウクライナにおける作戦行動や武器の調達などでした。「韓国がウクライナにどう武器を出すか」というようなことを話し合っている様なども含まれているようです。
同盟国の信頼性を傷つけるアメリカの傍受 ~日本の情報管理の緩さを指摘してきたアメリカだが
河野)今回、韓国に関する情報が出ましたが、以前、ドイツの首相だったメルケル氏のやり取りを盗聴したというようなことがありました。アメリカはそういうことをしているのかも知れませんが、同盟関係の信頼性を傷つける話であり、相当な打撃です。アメリカにそういう動きがあるのは、いかがなものかと思いますよね。
飯田)スノーデン事件のときも、当時の鳩山元総理などが話を聞かれていたと報道されていました。今回は国連事務総長も対象だったという情報もあります。
河野)アメリカはそこまで動いているのですが、それが外に出てしまうと、「管理はどうなっているのか」と思います。日米同盟の関係で「日本は緩い」といつもアメリカに言われますが。
飯田)「スパイ天国だ」などと言われていますね。
河野)でも、こういう事件があると「あなたはどうなのだ」という話ですよね。
台湾問題にも大きな影響を及ぼす
飯田)アメリカが構築している同盟のネットワーク全体に対して、大きな影響がありますよね。
河野)これが出たということは、そういうことですね。韓国も表向きはあまり大げさにしないという態度を取っていますが、水面下では相当なやり取りをしていると思います。
飯田)「何をやっているのだ」と。アメリカで逮捕に関する報道がヘリコプターの映像で出たのは、それだけ大きなニュースだったと思われます。日本で報じられている以上の危機感でしょうか?
河野)そうでしょうね。今回のことで、同盟関係はいかがなものかという話になってくるわけです。これから台湾問題など、厳しい状況になってくるときに、アメリカの信頼性の問題につながるわけです。
飯田)そうですよね。
河野)このような状況でこういう問題が起きると、台湾の人たちも「アメリカは頼りにできるのか?」と思いますよね。大きな問題だと思います。
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