「機密情報」をどう守るか 「スパイ防止法」をもう1度検討する時期がきた

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元統合幕僚長の河野克俊が4月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本における情報管理について解説した。

「機密情報」をどう守るか 「スパイ防止法」をもう1度検討する時期がきた

※画像はイメージです

セキュリティ・クリアランス制度 ~「スパイ防止法」がない日本

飯田)アメリカの機密文書流出について、21歳の空軍州兵が逮捕されました。日本でもセキュリティ・クリアランスに関する制度の導入など、いろいろ言われています。

河野)セキュリティ・クリアランスについて「アメリカは厳格だ」という認識が、私たちにはずっとあったのですが、流出などの問題があると「どうなっているのだ?」と思いますね。また、日本の場合は「スパイ防止法」がありません。例えば北朝鮮の人などが何かした場合も、日本では結局、別件対応なのですよね。

飯田)ある意味そうですね。

河野)抑止力としては弱いのです。「スパイ防止法」については、戦時中の反省から避けてきたところもあるのですが。

飯田)戦前の特高警察への批判はありますからね。

河野)国民の権限侵害に発展するのではないかという議論もあり、避けてきたところがあるのだと思いますが、これからは厳しい処置を取らないと(情報が)抜けますよね。

飯田)これだけサイバーが発展すると。

河野)何でもし放題という話になってしまいます。国民の権利を侵害しないという前提で、スパイ防止法についてはもう1度、真剣に検討することを考えた方がいいと思います。

機密情報をどう守るか ~官民一体として体制を整える時期にきている

飯田)法整備の部分では、「特定秘密保護法」などが制定されました。今後は適格性をどう審査するかという問題があります。特に民間で防衛関係の情報を扱う人などが対象になってきますか?

河野)いまは防衛と言っても、官民一体なのです。防衛は自衛隊だけが行う話ではなく、民間の方々にも共有しないと成り立ちません。しかし、それを外に出してもらっては困ります。経済安全保障の体制は徐々にできつつありますが、秘密保護についてはまだ法律ができていません。官民一体で機密情報をどう守るのか、分け隔てなく体制を整える時期にきていると思います。

リクルーティングが難しい自衛隊のサイバー部隊 ~ITに強い人材が集まりにくい

飯田)今回の米機密文書流出事件に関しては、テシェイラ容疑者が自分の腕を見せたいというような動機もあり、さまざまな機密情報を取ってきたのではないかということも言われています。河野さんは現役時代、サイバー部隊などの整備を行いました。若い人をどう連れて来るかというリクルーティングが難しいようですね。

河野)自衛隊としては人材の養成、教育も自前で始めているのですが、民間にはそういうことが得意な人が多くいるわけです。ですから、「Tシャツにハーフパンツの格好でいいから自衛隊に来て欲しい」と思います。

問題になるのは「忠誠心」 ~恰好はTシャツにハーフパンツでもいい

河野)自衛隊では、破格の処遇とはいきませんが、そういう人に働いてもらうことは大事です。アメリカもそうですが、古い言葉かも知れないけれど、「忠誠心」が問題なのです。

飯田)忠誠心。

河野)自分の立ち位置を理解していて、なおかつ技量がある人が必要です。今回逮捕された州兵のように、自分の技量を見せたいと考え、情報を外に出すような人に来てもらっては困るわけです。

飯田)裏切らない人に来てもらわないと。

河野)そういう人を見つけることも必要ですので、なかなか難しい面があります。

自衛隊員は公務員なので「破格の待遇」で迎えることはできない

飯田)アメリカはそこを金額で担保するようなところがありますね。

河野)自衛隊の場合は、公務員の枠のなかに収まらなくてはいけないので、破格の待遇にはできません。

飯田)俸給表がありますものね。「事務次官がこの給料なのに、これはマズイだろう」ということになってしまう。

河野)次官より上というわけにはいかないので、難しいです。自分としては「それでもいい。国のために尽くしたい」という人が来てくれればいちばんいいのですが。

飯田)心意気の部分によりますね。

河野)そういう気持ちがあるのなら、Tシャツにハーフパンツでどうぞと思います。忠誠心、英語では“Loyalty”と言いますが、アメリカでも「この問題を乗り越えるのがいちばん難しい」と言っていました。

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