スーダンから外交官を退避させる米英 日本は「邦人保護」が優先
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が4月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。スーダン情勢について解説した。
スーダン邦人退避、航空自衛隊の輸送機が周辺国ジブチに到着
飯田)戦闘が続くスーダンの情勢についてです。アメリカの外交官らが脱出するなど、いろいろなところでオペレーションが始まっているようです。
自衛隊による邦人救出が可能に ~現地在留邦人をどう助けるか
宮家)2つポイントがあります。まず、自衛隊の使い方です。私が似たような状況に遭ったのは、イラン・イラク戦争が始まった1980年のときです。当時は「自衛隊を使うなんてとんでもない」という感じで、考えもしませんでした。
飯田)当時は。
宮家)それがいま、ようやく輸送機が近くまで行けるようになった。事実上の駐屯地のような拠点がジブチにあって、これからどう動くかですよね。結構なことですが、2つ目に私が気になったのは、「一般人をどう助けるか」ということです。今回、国によって対応が違うことがわかりました。
飯田)国によって違う。
まずは外交官を退避させる米英 ~日本は邦人保護が優先
宮家)新聞を読むと、「米英外交官がスーダン退避」とあります。おかしいと思いませんか? 米英の一般人はどこに行ったのでしょうか。
飯田)確かにそうですね。
宮家)イギリスもそうなのですが、アメリカはまず外交官を避難させます。
飯田)そうなのですね。
宮家)私の知る限り、どこの国のアメリカ大使館でもそうです。アメリカはまず軍が大使館を守るのです。ところが、もし日本が外交官だけ逃げたというようなことになったら、「とんでもない。何をやっているのだ」となりますよね。
飯田)邦人保護はどうしたと。
イラン・イラク戦争での邦人保護
宮家)1980年にイラン・イラク戦争が始まったとき、たまたま私はスーダン経由でクウェートにいたのです。そして戦争が始まりました。私は研修生でしたが、国境まで行き、イラクから逃げて来た方々を支援しました。研修生の時代に邦人保護の経験をしたのでよく覚えているのですが、一般の方々は最初に動きます。場合によっては大使館と連携せずに動きます。
飯田)大使館と連携せずに。
宮家)私はバスラから逃げて来た方々を一生懸命お手伝いしました。それで彼らは日本に帰ったのですが、「大使館は何もしてくれなかった」とマスコミに言われて、非常に胸を痛めた覚えがあります。
飯田)そうなのですね。
宮家)いまはそんなことはないと思います。でもアメリカは一般人について、国務省は救出はやるとは言っていますが、具体的にはまだ何も表明していません。日本なら「まずは一般人をどうするか」という考えになります。そのための大使館員ですから。邦人保護を行い、最後まで残るのが普通だと、私もそこにいたらそう思います。
飯田)邦人保護を行い。
宮家)いろいろなアイデアを出し、実行していると思いますが、下手に動くとフランスなどのように……。
飯田)陸路で逃げようとして襲撃されることがありましたね。
宮家)襲撃されているようです。せっかく民主化の動きがあったのですが、スーダンの混乱は当分まだ続くでしょう。その意味では、まずは一般の方を慎重に、とにかく最初に避難してもらうような仕事をしているはずだと思います。
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