衆参補選自民4勝で「解散は6月」とする「2つの根拠」
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数量政策学者の高橋洋一が4月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。衆参補選の結果を受けて行われた岸田総理と公明党・山口代表の会談について解説した。
衆参補選を受け、総理が公明・山口代表と会談
衆参5つの補欠選挙を受けて岸田総理大臣は公明党の山口代表と会談し、自民党が4勝したものの票差がわずかだった選挙区もあったとして、政策課題で着実に成果を上げることで、国民に政権への理解を求めていく方針を確認した。
薄氷の勝利であっても、「自民党4勝1敗」で勝ちは勝ち
飯田)衆参の補選では、衆議院の千葉5区、山口2区・4区、そして参議院の大分選挙区を自民党が獲りました。一方で衆院・和歌山1区は維新の林佑美さんが当選。これを4勝1敗と見れば、「自民党が勝った」ということになりますが。
高橋)結果はそうでしょう。票差が何であれ、勝ちは勝ちです。勢いがあるのは間違いありません。勢いがなかったら2勝3敗だったでしょう。
飯田)薄氷であっても勝ったことは勝ったと。
高橋)勢いはあると思います。
自民党総裁選の前に解散しなくてはならない ~維新の会の体制が整う前に
飯田)「ギリギリだったではないか」というところで、この勢いをどう見ていくか。それによって今後の政局も変わってきますか?
高橋)来年(2024年)の9月から総裁選がありますよね。
飯田)自由民主党総裁選。
高橋)その前までにやらなくてはならないのです。
飯田)解散を。
高橋)要するに、解散を総裁選のあとまで待って、「いい話がどれだけあるか」ということです。維新の方が力をつけているではないですか。
飯田)維新の会が。
高橋)そこまで強くならないうちに、そして立憲民主党が弱いときにやるのが鉄則だと思います。そうすると、「(解散は)早い方がいい」という答えしか出てこないのではないかという気がします。
飯田)維新の勢い、体制が整わないうちに進める。
高橋)サミットが終わったあと、1ヵ月ほどあるわけでしょう。
飯田)通常国会の会期末までは。
税制改正大綱の前に解散すれば、いろいろな政策の財源について説明しやすくなる ~国会会期末間際の6月解散も
高橋)公約についても「骨太の方針」だけ言っておけばいいわけだから、気楽ですよね。
飯田)骨太の方針は6月に出てきます。
高橋)骨太の方針では、増税の話は言えないですからね。
飯田)税の話は税制改正大綱などのあとになる。
高橋)その前に解散する方が説明しやすいです。財源について何も否定せず、「すべて幅広く検討していく」と言っておけばいいから。
飯田)ぼかした言い方ができる。
高橋)いちばん言いやすいですね。あとになればなるほど政策の話は言いにくくなるので、早く動いた方がいい。維新が力をつけないうちに、立民が弱いうちに進める。そして増税についてぼかすことができると考えれば、今国会のうちにやるのが得策だと思います。
年が明けての解散になると防衛増税や少子化対策の財源としての増税を言わざるを得なくなる ~今国会の会期末であれば「財源はいろいろあります」と言える
飯田)年が明けて来年になってくると……。
高橋)財源について具体的に言わなければいけなくなります。
飯田)増税など。
高橋)防衛増税の話などは、年の後半になったら具体化してしまいます。いろいろな財源があっても、「これはダメ、これもダメ」と見えてきますからね。防衛増税は必ず言わなければいけなくなるし、少子化対策の話も大きくなると、財源をどうするのかという議論が出るでしょう。そうなると増税の話をせざるを得ません。
飯田)増税を背負いながら選挙を行うと、相当不利になる。
高橋)いまなら「財源はいろいろありますから」と言って、増税を否定しなければいいのです。
飯田)含みを残しておきながら。
高橋)「いろいろありますから」と言っておけばいいでしょう。
飯田)国会の会期末が6月半ばぐらいなので、そこで「解散」という可能性もあると。
大阪市議選で大阪維新の会が単独過半数の議席を獲得 ~関西で公明党が議席を持つ6つの衆院小選挙区への候補者擁立の可能性も
飯田)そこで大きなファクターとなってくるのが、今回の統一地方選です。前半・後半とありましたけれども、やはり日本維新の会、大阪維新の会が注目されています。
高橋)圧勝しましたね。馬場さんが「600議席を獲れなかったら辞める」と言いましたが、はるかに超えてしまった。
飯田)770議席くらいでした。大阪はもちろん、奈良、兵庫と首長を獲って、和歌山は1区の議席を獲った。
高橋)おまけに大阪市議会は過半数を獲ってしまった。いままでは過半数を獲っていないから公明党に配慮して、大阪・兵庫の6つの衆院小選挙区への候補者を出さなかったのですけれど。
飯田)公明党が立つ選挙区には。
高橋)そこに出してしまうでしょうね。ひょっとしたら6勝0敗で、維新がプラス6、公明党はマイナス6になるかも知れません。
飯田)馬場代表も「(公明党との協力は)白紙に」との発言があったというような報道もあります。あるいは藤田幹事長の「立てられるところは立てる」という発言もありました。
高橋)いままでは維新が大阪市議会で過半数を獲れず、公明党に協力してもらっていたので、「出さない」ということだったのです。でも過半数を獲ってしまったのだから、もう(協力は)いらないでしょう。連立の枠組みにも影響が出る選挙になるかも知れませんね。
日本維新の会が野党第一党になる可能性も
飯田)このまま選挙になると連立の枠組み、あるいは野党第一党も交代するかも知れないのですか?
高橋)いまの勢いから考えると、「野党第一党は維新が取る」というかなりの公算がありますね。立民はチャンスのときに「小西文書」で時間を潰してしまった。「ホームランだ」と言って空振りしてしまいました。何も出てこないし、小西さんもいまは沈黙しているでしょう。
飯田)そういえば。
高橋)しかも馬場さんに対して小西さんが詫び状を持って行くときに、ツイッター投稿をプリントアウトし、名刺を付けて詫びを入れてしまったでしょう。それに馬場さんは怒ってしまった。維新はこれ幸いと、「立民とは協議しない」と言う口実ができてしまった。
飯田)それまでは国会では共闘するような方向でした。
高橋)維新としては、「立民と協力しない方が票を集められる」ということなのでしょうね。
飯田)独立路線を行くと。
日本維新の会の勢いが出ないうちに解散と考える自民党
高橋)そうなると、地方選で維新はますます勢いづきます。関東でもそこそこの議席を獲っています。だから自民党は「勢いが出ないうちに」と思うでしょう。
飯田)結局、自民に対して批判的であり、他の投票先を探している人たちの受け皿になってきている。
高橋)そうなるのでしょうね。立民と共産は受け皿にはならなくなってしまったのです。維新と国民民主しかいない。
飯田)受け皿になるのは。
高橋)そういうことを考えながら、岸田総理は山口さんと会ったのだと思います。でも、山口さんも尻に火がついている感じがします。今回、公明党は全勝ではなかったわけでしょう。だいぶ取りこぼしていて、危ないですね。
飯田)10議席ほど取りこぼしたという話が出ています。
高橋)本来であれば、「統一地方選挙のあと、すぐに総選挙を行うのはやめてくれ」という話になるはずですが、いまは言いづらいでしょう。
飯田)一方、「10増10減」で衆議院の小選挙区の組み換えが行われています。そこで公明党はさらに出そうとして、自民党とぶつかっているところもある。
高橋)それは大阪の方が議席を失う可能性があるからでしょう。
飯田)なるほど。
高橋)だから他のところでカバーしないといけない。関東であればそこまで心配ないということで、「マイナス6をどうやってカバーするか」を考えているのではないでしょうか。
飯田)保守的な票で維新と自民がぶつかって割れることになると、今度は逆に第3の野党が伸びるかも知れないとも言われています。
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