政策アナリストの石川和男が5月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。韓国・ソウルで行われた日韓首脳会談について解説した。
日韓首脳会談、岸田総理大臣が日韓の信頼関係を強調
韓国を訪問していた岸田総理大臣は5月8日午後、日本に帰国した。総理にとって韓国訪問は就任後初めてで、帰国に先立つ記者団の取材に対し、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との首脳会談について、意義と成果を強調した。尹錫悦大統領は19日に開幕する主要7ヵ国(G7)の広島サミットに合わせて来日する予定。
飯田)日韓の動きが活発になってきています。自民党の麻生副総裁も、11日に韓国訪問を調整していることなどが報じられています。今回の一連の外交をどうご覧になりますか?
石川)今回は韓国でしたが、トップがその国に行くということは、事務的にもそれなりにセットされているでしょう。「大体こんな言葉をお互いのトップが交わし、大体このような両国関係になる」という内容が事務方とセットされている場合がほとんどだと思います。
改善加速が強調される日韓関係だが
石川)これまで韓国とはいろいろな言い合いをしていますが、戦争をしているわけではありません。あくまでも平和的に交流しています。そのなかで総理が訪れたのは、日韓関係が改善していく動きの1つだと思いたいです。
飯田)思いたい。
石川)岸田総理大臣の訪韓や、尹大統領の日本に対するコメント、政策についての発言などを聞いていると、前の政策・政権では日韓関係は慰安婦問題などもあってギクシャクしていたけれど、「これからはいい関係になり、何か言われることが少なくなるのではないか」と、多くの日本人が思っているのではないでしょうか。
飯田)明るくなるのではないか、と。
石川)マスコミの論調などもそのような捉え方が多いですし、自民党の麻生副総裁も韓国訪問を調整しています。日本側も胸襟を開き、いままでが悪過ぎたのだから、これから日韓関係を改善に持っていこう、という動きに見えることは見えます。
「これからは韓国と仲よくできるぞ」と思っていたら、大間違い ~「いつまで続くか」と冷静に考えるべき
石川)今回はたまたま韓国なのですが、外国との関係を考える際、本当にその国との関係で日本がどんな立ち位置なのか、日本人はどう思われているのか、日本人はどのように思っていくべきなのか。特に韓国は隣にあり、最も近い国ではないですか。
飯田)そうですね。
石川)近いが故に喧嘩してきた歴史を我々は見ています。政治的にも日本人からすれば、言いがかりのようなこともいろいろと言われてきたわけではないですか。そのような国が尹政権になって、ようやく「いい雰囲気ではないか」となること自体はいいのですが、いい雰囲気になったからといって「これからは韓国と仲よくできるぞ」と思っていたら、大間違いだと思います。
飯田)大間違いですか。
石川)経済関係では、日本と韓国はそれほど悪くないのです。
飯田)そもそも論として。
石川)私も韓国の製品を使っていますし、韓国人だって日本の商品やサービスなどを使っています。商業ベースでは、それほど悪い関係だとは思いません。
飯田)商業ベースでは。
石川)ところが、政治になった瞬間にイデオロギーなどが入ってきてしまう。慰安婦問題などもあります。貿易関系でも、日本はホワイト国として貿易上有利になることを認めていましたが、何年か前にホワイト国の指定から外した経緯もあります。それを今回、もう1度ホワイト国として認定するということですが、「これで完全に大丈夫」というわけではないのです。そう思うのはいいのですが、「いつまで続くか」については常にクールに考えるべきです。明日、何が起こるかわかりません。
反日感情を持つ韓国国民もいる ~支持率が下がれば尹大統領もどうなるかわからない
飯田)韓国で政変が起きて、尹さんが辞任する可能性もないとは言えない。
石川)日本と韓国の政治的な交友関係について、岸田総理は「新たな時代を切り開く」と言っていましたが、本当にそうなったとき、韓国国民が尹大統領を見て「なぜ日本に甘い顔をしているのだ」と言う韓国人もたくさんいると思います。
飯田)反日感情を持つ国民が。
石川)そのような状況で韓国の世論や支持率が下がっていったときに、尹さんは大統領なので、どうなるかわからない……と思っておいた方がいいのです。
クールに距離を置いて付き合う方が日韓関係はよくなる
飯田)かつて「親日ではないか」という人が、任期の最後に敵対的な対応をするようなことが何度かありました。
石川)トップレベルの人がそうではなくても、韓国の団体などが反日活動を行っている場面をわざとメディアで映し、それをおめでたいことに日本メディアも大きく報道して、「日本が悪いのではないか」と自虐的に報じることもあります。
飯田)謝罪が足りないから韓国でこうなっているではないか、という。
石川)そういうことを言っている日本の政治家はたくさんいます。「そのような状態に戻るかも知れない」と常に思っておくことが大事です。むしろ、心のなかでは距離を置いてクールに付き合っていく方が、日韓関係や外国との関係はよくなると思います。
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