東京・銀座の強盗事件 さまざま感じた現代の世相

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「報道部畑中デスクの独り言」(第326回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、東京・銀座の強盗事件について---

東京・銀座 強盗事件の現場 捜査員が集まる(5月8日午後6時39分撮影) ※画像を一部加工

画像を見る(全2枚) 東京・銀座 強盗事件の現場 捜査員が集まる(5月8日午後6時39分撮影) ※画像を一部加工

「キンキュー!」

国会関連の取材を終え、近々会う知人への手土産を探すべく、東京・銀座4丁目付近を歩いていたとき、けたたましいサイレンとマイクを通した大きな声が鳴りました。しかし、直後にそれらはやみます。この辺で何かあったか……付近は不穏な空気に包まれました。

それが何かを確認しながら新橋方向に歩を進め、手土産の候補となる洋菓子店に行くと、その先にはすでに黄色いテープの規制線が張られています。周囲に聞くと「強盗事件」とのこと。銀座という東京の中心地で「ただごとではない」と、私は事件取材のイロハである目撃者探しに走りました。

何人かにマイクを向けてたどりついた男女2人の目撃者からは、克明な証言を得ました。男女は通りの向かい側にいて、スマホで動画も撮っていました。

「ガッシャーンとガラスが割れる音がして、何かと思ったら強盗が入っていた。バールのような鈍器でショーケースのガラスを割って、高級時計……数百万から高いものは数千万円のものがあると思う……を詰めていって、2~3分で事を終わらせて、道路に白い大きな車があって、そこに乗り込んで走っていった」

「白いお面をかぶった男性3人が、店に入って時計をどんどん盗んでいった。黒い服、黒い上下を着て、結構細身の男性だった。音が鳴って何だと思ってみたら、もうやられている感じだった。うそ……と思った」

やがて、現場向かいの歩道にはTVカメラがずらりと並びました。

逃走した車はワンボックスカー。車内で別の人間が運転役として待機していたとみられ、目撃者は「おそらく実行犯3人に運転手1人の4人組ではないか」と話していました。しかし、警視庁のその後の調べでは、現場から逃げたのは5人という別の目撃情報もあるということです。

事件があったのは大型連休も明けた5月8日午後6時15分ごろ。被害に遭ったのは、東京・銀座8丁目にあるロレックスを扱う高級腕時計店でした。逃走した車は港区赤坂のマンション付近で見つかり、男4人が建物への建造物侵入容疑で逮捕されます。その後の調べで、4人組は16~19歳、横浜市に住む高校生やアルバイトが含まれていました。

近くに乗り捨てられた車のそばからは、目撃証言にもあったお面……犯行に使われたものと同じマスクも押収されたということで、警視庁は4人が強盗に関与した疑いがあるとみて調べています。その後、逃走車両の近くで腕時計約30点が入った黒い袋も見つかったということです。

犯行の動機、組織的犯罪の有無といった事件の“本筋”についてはこれからですが、今回特徴的だったのは、犯行の一部始終をスマホに収めていた人が何人もいたことです。誰もが発信できる時代……けが人がいなかったことは何よりです。

銀座という繁華街のど真ん中、往来のあるなかでの犯罪。大胆かつ稚拙さを感じさせる一方、何か「やらされているような」機械的な犯行は組織的なにおいを感じます。そして、凶悪犯罪を多くの人がスマホ画像に収めている状況……今回、銀座で起きた事件は、現代の世相が凝縮されていました。

蛇足ながらもう1つ付け加えれば、手土産の候補としていた洋菓子店のクッキーは残念ながら品切れ。折からの卵不足で商品がなかなか入ってこないとのことでした。ここにも、現代の世相がありました。(了)

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