「防衛増税を回避」するために 海上自衛隊以外の「陸・空」も建設国債の対象にするべき 高橋洋一

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数量政策学者の高橋洋一が5月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。防衛費増額の財源確保のための特別措置法案について解説した。

「防衛増税を回避」するために 海上自衛隊以外の「陸・空」も建設国債の対象にするべき 高橋洋一

※画像はイメージです

防衛財源法案、きょうにも採決

与野党対決法案として今国会後半の焦点となっている防衛費増額の財源確保のための特別措置法案が、5月10日の衆議院財務金融委員会で与党による質疑終結の動議を経て、採決される見通しとなった。自民党などの賛成多数で可決される見通しで、与党は週内の衆議院通過を目指す。

飯田)財源確保法とも言われるものですが、よく見ると増税も載っているのですよね。

高橋)増税も載っていますね。

衆院財政金融委員会と安全保障委員会の連合審査会に参考人として高橋氏が意見陳述 ~4人の参考人のうち他3人は防衛増税に賛成

飯田)高橋さんはこの審議に関わりがあったということですが。

高橋)4月28日に、衆院財政金融委員会と安全保障委員会の連合審査会に参考人として呼ばれたので、行ってきました。

飯田)参考人として意見陳述を行い、議員さんたちからの質問にも答えたそうですね。

高橋)私への質問はあまりなかったです。参考人は私含めて4人で、他の3人は防衛増税に賛成でした。3対1だから、なるべく高橋に質問しないように、答えさせないようにという感じでした。アリバイ感もありましたね。

飯田)反対意見も含めていろいろ聞きましたよ、と。

高橋)私の反対意見は簡単なものでした。例えば国債で行うという話なのでしょう? 安倍さんが防衛国債について話していたので、それと同じく、ロジックとしては将来投資だと言ったわけです。財務省の方も、このロジックを破るのはなかなか大変だと思います。

海上自衛隊の財源は建設国債だが、陸と空が対象になっていない

高橋)海上保安庁の船は建設国債でつくっているのを知っていたから、「海上保安庁の船は国債ですよ」と言ったわけです。しかし、何と今度の予算では、海上自衛隊の船は国債なのです。私は「なぜ海上自衛隊だけなのですか? 自衛隊には陸も空もあるではないですか」と。「それを使えば増税はいらないでしょう」と言ったのですよ。

飯田)陸の方は兵舎など、建物に関しては国債でも行うというようなことを言っていますけれど、それだけなのか、と思います。

高橋)海の方は船舶も潜水艦も国債なのですよ。

飯田)そこには当然ながら、装備品も付いているわけですからね。

高橋)全部国債でできるではないですか。「その差がわかりません。理解できないです」と言いました。

自衛隊の空・陸も国債対象経費にすれば、増税はいらない

飯田)陸上自衛隊の人に話を聞いたことがあるのですが、確かに海上自衛隊の予算の付き方は、船1隻として、そこに全部の装備も含めて行います。しかし、陸は1個1個に予算が個別に付いているので、予算等々が大変だという話を聞いたことがあります。

高橋)すべて含めればいいではないですか。

飯田)1個欠けても部隊としては動けなくなってしまいますから、一緒ですよね。

高橋)自衛隊の空も陸も国債対象経費にすれば、増税はいらないでしょう。

財源は他に3つ

高橋)他にテクニカルな話を3つしました。テクニカルと言っても外為特会の話と、債務償還費の話と、防衛版のふるさと納税です。みんな簡単な話ばかりですが、何せ10分しかなかったので大変でした。

飯田)4人いると10分ずつで、計40分ということになってしまう。

高橋)増税への反対意見が10分。残り30分は増税賛成の話でした。

最初から「増税ありき」なのか

飯田)防衛財源確保法案に関してですが、「財源については税で」という話が出た時点で、安全保障関係の識者の方々も増税に傾いてしまうのかと思います。この政策に紐づけ、教育の方々に対しては「無償化するのだから増税して当然だ」というような話になったり、いろいろなものを絡めていきますね。

高橋)ロジックを聞いたときに苦笑しました。「国民が防衛について理解していないから、増税にして関心を集める」というようなロジックでしたが、それはないだろうと思いました。そういう経緯もあったので、「防衛版のふるさと納税を実施した方が、PR効果が高いのではないですか?」と言ったのです。

飯田)使い道について関心を持つという意味で言えば、消費税にする必要はないわけですよね。

高橋)最初から「増税ありき」の話なのですよ。

防衛財源確保法案が出た段階で増税への道筋はついている

飯田)この法案自体には予算の無駄を減らすなど、いろいろなことが盛り込まれていますけれども、「それで足りない場合は増税も」と書かれている。

高橋)予算の無駄を減らす、剰余金を使うようなことは、財務省のさじ加減1つでできてしまうのですよ。それをなしにしても、増税がないような財源を言ったのですけれどね。

飯田)これが採決されることになれば、ある意味、増税への道筋がつくわけですよね。

高橋)もうついていますよ。防衛財源確保法案が出た段階で、そういうことだと思います。

防衛財源のための増税は自公だけ

高橋)まだ増税の最終決定にはなっていないので、総選挙をやればちょうどいいですよ。

飯田)なるほど。こういう法案が通っているということは、もう増税の方向ですよと。

高橋)与党の方は否定できないはずです。

飯田)条文には載っている。

高橋)私が参考人で出たときに誰が質疑したのかをよく見て、その選挙区の人は増税の人か、反増税の人かをよく見極めたらいいと思います。質問ですぐわかりますから。

飯田)いまは内容がネットにも上がっていますし、しばらくすると議事録で出ますからね。防衛費を増やすことに対しては、世論調査で前向きな結果が出ることが多いのですが、増税に紐づいてくるとやはり反対が多くなる。

高橋)自公は防衛費を増やし、増税も行う。維新は防衛費は増やすけれど増税はしない。立民と共産は防衛費を増やさない、増税もしないという形になっています。

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