ツイッター新CEOにヤッカリーノ氏を起用した「事情」
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ジャーナリストの佐々木俊尚が5月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。リンダ・ヤッカリーノ氏が新CEOに起用されたツイッター運営会社について解説した。
ツイッター新CEOにリンダ・ヤッカリーノ氏を起用
実業家のイーロン・マスク氏は5月12日、ツイッター運営会社であるX社の新たな最高経営責任者(CEO)に米メディア大手NBCユニバーサルの広告責任者、リンダ・ヤッカリーノ氏が就任すると発表した。ヤッカリーノ氏は2011年からNBCユニバーサルに入社。広告販売業務をデジタル対応に移行させた手腕が評価されている。
飯田)収入を増やさなければ、ということがツイッターの問題点として挙げられますけれども、この人事をどうご覧になりますか?
佐々木)イーロン・マスク氏が引退するわけではなく、議長もしくは最高技術責任者(CTO)などとして残って、役割分担するという話だと思います。
落ちている広告収益のテコ入れか
佐々木)仕事でツイッター広告の案件をたまに受けるのですが、ツイッターCEOがイーロン・マスク氏になってから、ガクンと減りました。先日も、ある外資系企業のツイッター広告案件が進行中だったのですが、「すみません、ツイッターに広告を出さないことになりました」と言われました。
飯田)そうなのですね。
佐々木)かなり広告収益が落ちているという話があるけれど、一方では上がっているという説もあるのです。イーロン・マスク氏は「上がっている」と言っているので、その辺りの実態はよくわかりません。
飯田)実態は。
佐々木)広告のテコ入れとして、ヤッカリーノさんを入れたのだろうと思います。ヤッカリーノさんは2020年ごろから、NBCでPeacock(ピーコック)という、Huluのようなサブスクの動画サービスの立ち上げにも携わった人なので、相当な手腕なのは間違いありません。60歳のイタリア系の女性です。
SNSで世界的に成功したのはFacebookとツイッターだけ
佐々木)SNSは特殊な世界で、うまく運営することが難しいのです。例えばGoogleはテック企業としてはトップクラスだと思いますが、過去にはGoogle+(グーグルプラス)やGoogle Wave(グーグルウェーブ)など、何度もSNSを立ち上げて、その都度失敗しています。
飯田)そうですよね。
佐々木)イーロン・マスク氏もスペースXやテスラを成功させているすごい人だと思います。しかし、両方とも製造業ではないですか。
飯田)ものづくり的な。
佐々木)ヤッカリーノさんもメディアの方ではあるけれど、どちらかと言うとコンテンツ事業の人です。皆さん、BtoCやBtoBなのです。SNSはCtoC……Consumer to Consumerで、人と人がどう関係するかをうまくつくることが、SNSの最も重要なポイントなのです。
飯田)SNSは。
佐々木)世界的に成功したのは現状、Facebookとツイッターしかありません。それ以外だとTikTokもありますが、TikTokはどちらかと言うとコンテンツなのですよ。みんなが交流するというよりも、AIのアルゴリズムで、次々と「この人が面白いと思うような動画を提供していきましょう」と。ある種のYouTube的なものなのです。
飯田)そうですね。
佐々木)人間と人間がつながり、そこでどんな力学が起きて盛り上がるか、バズるのか。そういうことをやって成功したのはFacebookとツイッターしかない。他の業種から参入して成功した例はあまりないのです。
飯田)なるほど。
佐々木)そう考えると、まだ混乱は続くのかなという感じがします。
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