自由民主党・衆議院議員で東京新17区支部長の平沢勝栄氏が5月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。衆院小選挙区において、東京都内の選挙区で自民党候補を推薦しない方向で調整に入った公明党との関係について解説した。

会見する公明党の山口那津男代表＝2023年4月4日午前、国会内　写真提供：産経新聞社

公明党、東京で自由民主党の推薦見送り　～28区は擁立せず

公明党は5月24日、衆議院小選挙区の「10増10減」で新設された東京28区（練馬区東部）の候補者調整に関する自民党の回答を受け入れられないとして、東京都内の選挙区で自民党の候補を推薦しない方向で調整に入った。なお、東京28区の独自候補の擁立は見送るとしており、25日に公明党の常任役員会で決定し、自民党側に伝える見通し。

飯田）平沢さんはまさに東京都連の当事者の1人ですが、この報道をどうご覧になりましたか？

平沢）起こるべくして起こったということではないでしょうか。お互いに、公明党を自民党が応援する、そして逆もあるという形で進めてきましたが、自民党からすれば「ギブ」があるのに「テイク」が少ない。逆に公明党からすれば「ギブ」ばかりで「テイク」がないと、お互いの考え方にズレがあり、それが今回、表にはっきりと出たのではないでしょうか。

飯田）平沢さんは、議員生活も非常に長いです。自公連立を最初のころからご覧になってきたと思いますが、このようなぶつかり合いは過去にもありましたか？

平沢）政策などではありました。ただ、そこから出て行くなど、そこまでに至ったケースはなかったと思います。

かつて公明党との調整が利かず、現在の公明党・山口代表と小選挙区で戦った平沢氏　～公明党の応援がなくても勝てた

ジャーナリスト・鈴木哲夫）平沢さんは、今回の自公の話を語るのに最高の適任者だと思います。なぜかと言うと、私も取材しましたが、約23年前に自公連立ができたのに調整が利かず、平沢さんはいまの公明党の山口那津男代表と小選挙区で戦いましたよね。

平沢）そうですね。

鈴木）あのときはお互いに大変でしたし、嫌な思いや苦労もされたでしょう。自公がどう棲み分けていくかについて、最も体験したのは平沢さんだと思います。今度の揉めごとはまだボールの投げ合いだと思いますが、調整する方向へいくのでしょうか？

平沢）時間が経ってみなければわかりません。いずれにしても自民党の候補者からすると、公明党の票がなければ勝てないとなれば、どんなに譲ってでも、公明党の言うことに従わざるを得ないのではないでしょうか。

今回、自民党が強気なのは平沢氏の例も影響か　～公明党の応援がなくても勝てる

鈴木）あのときの苦労を思い出すのではないでしょうか？

平沢）私の場合は、「公明党の応援をもらわなければ自民党は勝てないよ」とみんなから言われました。ここへきて、やっとわかったと思いますが、別に公明党の応援をもらわなくても勝てるのです。その証拠に平沢がいるではないかと。

鈴木）そうでしたよね。

平沢）今回、自民党が強気なのは、私のような例があるからでしょう。

自民党・中央と都連にある温度差　～東京北区を最初の段階で公明党に渡してしまうことはまかりならない

飯田）その辺りについて、自民党の中央と都連には温度差があるのでしょうか？

平沢）あります。中央は、少しぐらい譲ってでも早く収めて欲しいのです。都連からすれば、そう簡単に譲るわけにはいかない。譲るというのは、選挙区を公明党に譲り渡すことです。

飯田）そうですね。

平沢）東京北区を最初の段階で公明党に渡してしまうことになります。そうしたら、自民党には絶対に戻ってきません。その間に公明党が力をつけて、いまや北区で公明党が第1党、自民党は第2党になってしまいました。

飯田）区議会の方も。

平沢）途中で戻してくれるならいいのですが、戻さないでずっと公明党の選挙区とするなら、まかりならないという不満が強いです。

足立区でも公明党が第1党に

飯田）区議の選挙でも、足立区で公明党が第1党になるなど、いろいろと変わってきていますよね？

平沢）変わってきています。もともと東京は、自民党が強い選挙区ではないのです。強い選挙区ではないところを公明党の応援でかなり強いように見せてきたわけですが、ここでゴタゴタがあれば、今度の選挙はかなり厳しくなるのではないかと、私は思っています。

G7広島サミットの成功と選挙は別　～サミット後の足立区議会議員選挙では自民党の公認が7人落選

飯田）最近は主要7ヵ国（G7）サミットが成功したのと、支持率も上がったため、ここで打って出れば勝てるのではないかなどと言われています。そういう「風」のようなものは、ご自身の選挙区を歩いていて、平沢さんは感じますか？

平沢）ないですね。サミットで支持率は上がりましたが、それと地域の選挙で勝てるかどうかは、まったく別の問題です。例えば先日、サミットが終わったあとに足立区の区議会議員選挙が行われました。

鈴木）5月21日に投開票でした。

平沢）その結果を見ると、無残なものです。公認が全部で7人落ちています。

飯田）3分の1が落ちましたね。

平沢）かなり厳しかったと言えます。サミットで支持率が高くなったときでもこの結果ですから、相当厳しい情勢にあるという感じがします。

地道な選挙活動をしなければ票は獲得できない

飯田）そう考えると、平沢さんのように地元で地道に行動しなければ、なかなか足腰は鍛えられないのでしょうか？

平沢）おっしゃる通りです。ああいう票をあてにするのではなく、普段から地道に1票1票をいただくため、地べたを這いつくばった選挙をするかどうかの違いではないでしょうか。安易な道を行こうとすると、失敗してしまうと思います。