いよいよ「野党第1党」へ向けて始動する日本維新の会の「可能性」
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ジャーナリストの須田慎一郎が5月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。臨時党大会で馬場代表の続投を決めた日本維新の会について解説した。
日本維新の会が臨時党大会を開催、馬場伸幸代表の続投が決定
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日本維新の会は5月14日、臨時党大会を開き、馬場代表の続投を決めた。4月の統一地方選挙における目標議席達成を踏まえ、今回は代表選を実施しないことを賛成多数で決定。馬場代表は次の衆院選に向けて党内の結束を呼びかけた。
統一地方選挙では、目標の600議席を上回る775議席を獲得 ~次の国政選挙にも大きくプラスに働く
飯田)次の衆院選では、できるだけ多くの候補を出すのだ、ということをおっしゃったようです。
須田)今回の統一地方選挙の結果と相乗効果をもたらすとも言えます。振り返ってみると、目標600議席というのは日本維新の会から見てもかなり高いハードルだったのです。
飯田)600議席獲得という。
須田)あくまでも目標であって、クリアできなくても馬場さんは辞めなくてもいいのではないかという声もありました。しかし、それを上回る775議席を獲得したのです。
飯田)首長と地方議員で。
須田)それがいまの日本維新の会の勢いだということです。とにかく日本維新の会の地方議員は活動量が多い。それが有権者を惹きつけ、結果的に国政につながっていくというやり方を取っています。地方議員をたくさん獲ったということは、次の国政選挙にも大きなプラスに働いてくるのだろうと思います。
いよいよ野党第1党へ向けて始動
飯田)いままでは大阪が発祥ということで、近畿圏、特に大阪のイメージが強かったのですが、今後は徐々に全国政党へ脱皮していくことになるのですか?
須田)以前の参議院選挙では、東京において、選挙区と比例区でともに議席を獲りました。単純に関西・大阪の地域政党というよりも、全国政党に展開し始めたので、この動きは今後も続いていくだろうと思っていたら、案の定、和歌山での補欠選挙を獲りましたし、その前には奈良県知事選挙も獲りました。東京の都議会でも一定程度の議席を獲ったところから考えて、いよいよ野党第1党へ向けて動き始めたのだと思います。
解散時期は秋の臨時国会が最も可能性が高い ~時間が経てば経つほど岸田政権に苦しい展開に
飯田)「サミット後にも解散するのではないか」というような噂もありますが。
須田)選挙は勝てるときに行うものです。その判断を唯一下すことができるのは、岸田首相だけです。「サミット後に勝てる」と思ったら、解散に打って出る可能性もないわけではありません。
飯田)広島サミットのあと。
須田)その一方で、公明党は「統一地方選後、3ヵ月間は次の選挙の準備があるので解散を打ってくれるな」ということを強く言っています。公明党やその最大の支援団体である創価学会に対する配慮を考えると、サミット後は厳しいのではないでしょうか。
飯田)統一地方選の第2ラウンドが4月23日だったことを考えると、3ヵ月後の7月~8月辺りということですか?
須田)秋の臨時国会というのが、可能性としては最も高いと思います。
飯田)年を越してしまって、来年(2024年)の通常国会となると、そちらの方が総裁選挙には近いということも言われています。なかなか難しいですね。
須田)今後の内閣支持率や政党支持率の展開を見ていくと、党内で積極財政派と緊縮財政派が全面的に衝突し、増税というキーワードが出てきかねない。その一方で、財政規模もあまり期待できるようなものにはならない。上がり目になるような政策や成果はあるのだろうか、と考えると、時間が経てば経つほど苦しい展開になるのではないかと思います。
身を切ってリターンしたために関西地区での子育て世代からの支持が厚い維新の会
飯田)今回、当選した日本維新の会の地方議員の人たちも、活動をさらに続けていけば、地盤はさらに強固になっていきますよね。
須田)東京の方はあまり気付いていませんが、維新は保守ではあるけれど、改革する、無駄遣いを減らす、身を切るのだという方針です。そして、身を切った分を教育費や給食費など、特に子育て世代に対する手厚いリターンを実現してきた。だからこそ、子育て世代からの支持が関西地区ではものすごく厚いのです。
異次元の少子化対策に見える増税の影 ~立憲民主党も増税に反対ではなさそうだとなると、「では維新の会に」という流れも
須田)既存政党、特に自民党はどちらかと言うと高齢者向けの政策を行ってきた政党です。それに対して、本来は立憲民主党がアプローチをかけるべきなのに、立憲民主党は労働組合の方にばかり目が向いてしまう。そこに維新が「ドン」と入ってきた。戦略的なやり方だと思います。
飯田)岸田さんも異次元の少子化対策を打ち出してはいますが、これには増税の影が見えます。一方で、消費税に対して立憲民主党はどうかと言うと、必ずしも反対ではなさそうだとなれば、「では維新に」という人たちが出てきてもおかしくないですよね。
無党派層への取り組みは日本維新の会の一人勝ち
須田)これからの鍵を握るのは、組織化されていない無党派層なのです。これにどう接近して取り組むか。自民党にしても立憲民主党にしても、また国民民主党にしても、どれも中心にいるのは組織化されている支持者です。労働組合や個人の後援会、各種業界団体などです。それを固めても4割程度にしかなりません。残りの有権者の6割は組織化されていない無党派層です。ここにどのように接近するかが、今後の政党の昇沈につながっていくのではないかと思います。
飯田)その辺りを最も上手くやった党が勝っていく。いまのところは維新が上手くやっているように見えるということですか?
須田)組織化されていない無党派層の取り込みという点では、維新の一人勝ちです。
日常の活動量によって有権者の期待に結果を出してきた
飯田)一方で、その人たちは風によっていろいろ変化しますし、それによって民主党政権が誕生したとも言われています。その辺りを上手く掴み、しかも政策がブレないようにするのは、かなり難しいような気もするのですが。
須田)冒頭にも申し上げた通り、日常の活動量が大事です。どのようなメリットが有権者の目に見える形であるのか。それを自治体単位で実践し、大阪でやってきたことが奈良や和歌山でもできるようになれば、有権者としてはこれまで何も変わらなかったのだから、そちらに期待したい思いが出てきます。維新の会は、その期待に対して結果を出す政党でもあるのです。
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