キャスターの辛坊治郎が5月24日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。沖縄県宮古島沖で4月に起きた陸上自衛隊ヘリコプター事故で、回収されたフライトレコーダーの記録から、墜落の直前にエンジンの出力が急激に低下していたことが分かったと読売新聞が報じたことを巡り、「謎もある。残る情報はいつ公表されるか」と注視した。
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陸上自衛隊 UH-60JA 多用途ヘリコプタ
読売新聞の24日付朝刊によると、沖縄県宮古島沖で4月に起きた陸上自衛隊ヘリコプター事故で、墜落の直前にエンジンの出力が急激に低下していたことが分かった。海底から回収されたフライトレコーダーに録音されていた機長らの音声記録から判明した。
辛坊)このヘリコプターの最後の交信から、機影がレーダーから消えるまでの時間が約2分だったことは既に分かっていました。その2分間に何かが起きたのだろうと考えられています。回収されたフライトレコーダーには、急に変わったローターの回転音や、機長らが事態に対処している会話が録音されていました。これにより、エンジンに急激な不調が起きたことが分かったわけです。ただ、謎もあります。エンジンに不調が起きてから、ヘリがどのくらいの時間、空中にとどまっていたかが分からないのです。
捜索では機体がなかなか見つかりませんでした。ヘリが当時、高度約150メートルという低空を飛んでいたことや、最後の交信から機影がレーダーから消えるまでの時間が約2分間だったことなどから、当初はレーダーから機影が消えた辺りの海域を集中的に捜索していました。ところが、実際に機体が見つかったのは、約4キロも離れた海域でした。ヘリが空中を飛んでそこまで行ったのか、海に墜落してから流されたのかは、いまだに謎です。
その点については、フライトレコーダーの解析により、既に分かっているはずです。しかし、読売新聞の記事には、その時系列が書かれていません。関係者によるリークとみられる情報の対象になっていなかったということかもしれません。
事故を起こしたヘリは、アメリカ軍で「ブラックホーク」と呼ばれています。エンジンが2基搭載され、1基が壊れても残の1基で飛行できるようになっています。それにもかかわらず、墜落しました。2基が同時に壊れることも考えにくく、なぜ墜落したかが分かりません。
事故後、この番組にゲスト出演された海上自衛隊ヘリの元パイロットで笹川平和財団上席研究員の小原凡司氏は、高度約150メートルという低空からでも、惰性で回る主回転翼の力だけで竹とんぼのように徐々に降下するオートローテーションは可能だと解説されていらっしゃいました。しかし、このヘリは墜落しました。
同型ヘリの過去に起きた事故を全世界的にみると、多くは機体の異常ではなく、パイロットの操縦ミスです。今回も当初はそうした見方もありましたが、フライトレコーダーの解析から、その可能性はなさそうで、機体の突然の故障で墜落したという蓋然性がかなり高くなりました。報道されている情報以外に、もっと詳細なデータが既に分かっているはずなので、あとは未公表の情報がいつ公表されるかに注目したいと思います。