「解散は秋」の「根拠」 鈴木哲夫が言及
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ジャーナリストの鈴木哲夫が5月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。衆議院の解散時期について解説した。
永田町の解散風
ウクライナのゼレンスキー大統領来日など、サミットの成果で支持率が上昇する岸田政権。5月24日に行われた衆議院予算委員会で、岸田総理は衆議院の解散について「いまは重要な政策課題に結果を出すことに専念すべきときであり、私自身、いま解散等については考えていない」と重ねて述べた。
飯田)解散の時期について、どうご覧になりますか?
鈴木)「当たった、当たらない」とまた言われてしまうので、言いにくいのですが。
飯田)発言は残ってしまいますからね。
解散風の「風」は吹いているが、実態は動いていない
鈴木)この件に関して取材していますが、「解散風」の「風」は、やはり永田町に吹いています。しかし、実態は動いていません。
飯田)実態は動いていない。
鈴木)空気はあるけれど動いていません。中枢で選挙に関係するような自民党の人たちは、選挙前なら情勢調査やお金のことなど、いろいろあるのですが、そういう動きはありません。
飯田)動きはない。
鈴木)実際の現場で「選挙が近い」と動いている感じはない。そういうところにいる人たちも「可能性は低いのではないか」と言っています。
サミット直後の足立区議選で自民党の現職5人を含む7人が落選 ~いま選挙をやっても勝てるのか
鈴木)他にもいろいろあるのですが、自民党がいま選挙をやって勝てるのか。平沢勝栄さんに話を聞いたところ、「そんなに甘い状況ではない」とおっしゃっていましたし、私も取材していてそう思います。衆議院・参議院の補欠選挙で4勝1敗と言いますが、あの勝ち方は全部「辛勝」です。ギリギリで勝っています。
飯田)参議院の大分県では300票余りの差で、本当にギリギリでしたし、千葉5区もそうでしたね。
鈴木)敵失ですよね。相手が割れたから勝てたのです。
飯田)7人が立ち、乱立という感じでした。
鈴木)強かった山口県でも、安倍政権のときの半分くらいしか獲れていませんでした。もう1つのところでは、5000票くらいの差に迫られています。
飯田)山口2区、岸信千世さんのところですね。
鈴木)お父さんが引退されて、代わりに出たという形でした。
飯田)ご病気だったようですね。
鈴木)5月21日の足立区議選に関しても、自民党の現職5人を含む7人が落選しました。いま選挙を行っても、自民党はそんなに強くないのではないかと思います。
公明党と東京の選挙区調整で揉めている間は解散はない
鈴木)報道されている公明党との関係もあります。公明党は、いまは選挙をやりたくありません。
飯田)統一地方選が終わったばかりだからですか?
鈴木)それほど成績もよくありませんでしたから。それに、いま選挙を行ったら、関西で維新がぶつけてくる可能性がありますし、東京でも選挙区調整で揉めています。揉めているということは、解散はないですよね。
飯田)それが落ち着かないと、打つに打てないということですね。
鈴木)自民党を支持するかしないかは、まだボールを投げ合って駆け引きをしている状態でしょうから、まだ続くと思います。そういった公明党の事情もあります。
飯田)ニュースにもなっていましたが、「ラジオ番組で萩生田光一政調会長が」とよく書かれます。萩生田さんは都連の会長ですよね。
鈴木)そうです。
飯田)「ただちに信を問うことではない」と言っています。
支持率は上がっているが、個別案件では反対意見が多い ~自民党内でも「いまは解散はないだろう」という意見が多い
鈴木)もう1つ付け加えれば、確かに世論調査の数字は上がっているのですが、個別に聞くと、実は反対が多いのです。
飯田)個別に聞くと。
鈴木)子育てについては岸田総理も一生懸命取り組んでいますが、個別に「子育て政策についてどう思いますか?」と聞くと、「いいと思わない」という意見が過半数以上あります。
飯田)政策については。
鈴木)世論調査でも支持率は上がっているけれど、「実態はどうなのか」という状況です。ベテラン議員など、いろいろな人に話を聞きますが、「いまはないだろう」という意見が多いです。
夏に人事を行い、秋ごろに解散か
鈴木)では「解散はいつなのか」という話です。これは5月24日夜の取材ですが、まず岸田総理は夏に人事を行うのではないかと思います。
飯田)内閣改造と党役員人事ですか?
鈴木)党役員人事は9月ですが、去年(2022年)は8月に行いましたよね。岸田総理の1つのタイムスケジュールのなかで、夏は人事というイメージを持っているのではないかと思います。そうすると、かなりの中心メンバーの交替も考えられます。あるベテラン議員が言っていた話なのですが、例えば官房長官や、幹事長など。
飯田)茂木さんですか?
鈴木)そういったところをうまく調整しながら、秋くらいに解散するのではないかと思います。冬以降は来年度予算などがありますので、増税の議論になってきます。その前にとなると、「夏に人事を行い、秋くらいに解散」と話す人が多いですね。
解散は総理が決断すること ~可能性がゼロではない
鈴木)ただ、解散は総理が決断することです。岸田さんは、サミットを終えて高揚感があることは間違いないですから、岸田さんがいつ打つのか。可能性はゼロではありません。
飯田)岸田総理は就任早々に解散を打ったこともあり、前倒しや奇襲において、1つの成功体験があるのかも知れませんね。
鈴木)その通りです。ですから、解散の可能性はもちろんゼロではありませんが、取材する限りでは現場も動いていませんし、本当に勝てるのかどうか。いろいろなことを考えたら、タイミングはもう少し先なのではないかと思います。
解散するならば、すべてを争点にするべき
鈴木)いつも言うことですが、解散するならば、してもいいと思うのです。そのかわり、いままで隠してきたものを、すべて争点にしましょうということです。
飯田)増税など。
鈴木)増税の是非、原発再稼働の延長の問題、エネルギー問題、子育て政策の中身と財源をどうするのかなどですね。あとは、何となく過ぎてしまいましたが、旧統一教会の問題もまだいろいろな議員がいろいろなことを言われています。こういったものを全部出して信を問うならば、堂々と解散していいと思います。
飯田)すべて出して信を問うならば。
鈴木)しかし、そういったことを隠して、勝つタイミングを考えての解散は……「それが権力闘争だ」と永田町ではよく言われますが、そこをスルーしてはいけないと思います。私はやるならどうぞやってくださいと思うのです。「そのかわり、すべてを争点にしましょう」ということです。
飯田)それを争点にするのなら、大義うんぬんではなく、国民に直接信を問う。それこそが大義だということですね。
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