「脱炭素」による危機感と野心 サウジアラビアの石油政策の「変化」

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が6月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。6月4日に会合を開くOPECプラスについて解説した。

「脱炭素」による危機感と野心 サウジアラビアの石油政策の「変化」

※画像はイメージです

OPECプラス ~6月4日に会合開催

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国でつくる「OPECプラス」は、6月4日に追加減産を実施すべきかどうか協議する予定。4月には日量約116万バレルの減産を決めて市場を驚かせ、原油価格を押し上げた。今回の会合に先立ってOPECプラスが発しているメッセージからは、さらに減産する可能性があるのかどうかはっきりと読み取れず、最近の原油価格は不安定に推移している。

飯田)足元の米国産標準油種(WTI)は、1バレルあたり70ドルくらいです。

政策が変わったサウジアラビア ~昔の政策は石油の値段を高くせず「安く長く」だった

宮家)昔は数ドルでしたけれどね。私が外務省に入った時代、サウジアラビアは圧倒的に埋蔵量と生産力がありました。ここ10年くらいのサウジアラビアの動きを見ると、野心的な皇太子に代わったこともありますが、サウジアラビアの政策が昔とは違ってきているような気がします。

飯田)サウジアラビアの政策が。

宮家)昔、私が学んだのは、サウジアラビアは世界で最も埋蔵量が多い。埋蔵量が多いということは、石油の値段が高すぎると脱石油の傾向になって、代替エネルギーが開発されてしまう危惧があります。だから、「そこそこの値段」にする。

飯田)高すぎる値段にはしない。

宮家)それがサウジアラビアにとって、有り余る豊富な埋蔵量の全体的な価値を最大化する方法なのです。適度に安く長く、決して高値を狙わない。

飯田)安く長く。

人口が4倍になり、脱炭素もあり、強い危機感を持つ皇太子 ~以前のやり方ではもう持たない

宮家)それに対して、埋蔵量が少ない産油国は頑張って値段を上げようとするのです。あれから40年、サウジアラビアの人口は4倍になりました。しかし生産量は変わらないので、値段が仮に40~50ドルだとしたら、1人あたりの国内総生産(GDP)は「ガクッ」と下がってしまう。

飯田)人口が増えた分。

宮家)4分の1になってしまうかも知れないわけです。しかも現在は脱炭素が推進される時代です。昔原油の値段は安くてもよかったのかも知れませんが、サウジアラビアの政策がやはり変わったのだと思います。

飯田)政策が変わった。

宮家)脱炭素があるから、ある程度早めに売ってしまった方がいいと考えているのかどうかはわかりませんが、判断の基準が経済合理性だけではなくなってきているのだと思います。つまり、サウジアラビアの皇太子は強い危機感を持っている。その危機感に基づき、彼の野心と言うべきかも知れませんが若干、値段は上げ気味です。

飯田)そうですね。

宮家)70ドルの値段だって、彼はきっと安いと思っているのです。昔のインフレを考えたら、実質的には原油価格の水準はそれほど変わらないのであれば、もう少し国家収入を増やしたい。そうしないとサウジアラビアが持たなくなると思っているのではないでしょうか。

飯田)サウジアラビアが持たない。

宮家)「これで本当にいいのかな」とつくづく思います。マーケットの人はいろいろな見通し言いますが、大きな流れでサウジアラビアの変化について、サウジアラビアの将来を考えて注視しなくてはいけないと思います。

飯田)イエメンに突っ込んでいったり。

宮家)やりすぎです。サウジアラビアとバイデンさんとの関係が悪いのもわかりますし、アメリカとの関係が悪いからロシアに近付くのもわかるけれど、それが本当に中東の安定にとっていいのでしょうか。そこは気になるところです。

 

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